- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784561217398
作品紹介・あらすじ
【野中郁次郎一橋大学名誉教授推薦!】
上司が代わって職場の雰囲気が、良かれ悪しかれ一変するとき、
なぜそうなるのか、答えが出るまでとことん考え抜いたことが
あるだろうか?
「人の話を聴いてくれる人」と「聞く耳をもたない人」との違いは
いったいどこからくるのだろうか?
好きな仕事に向かってお互いの積極性が活かされる共創的職場の実現には、このような問いに直面し本当の原因を突き詰めようとする態度が必須となる。
本書は、経営学者と現象学者が学問領域の境界を越え、具体的な職場の事例に即しつつこれらの疑問に対し、読者と共に思索を重ねる。
現象学は、上司と部下、同僚同士といった職場での人間関係での悩みの真の原因を、各自のそれまでの経験の積み重ねに求めようとする哲学である。といっても精神分析をするわけではなく、各自がそれまでに身につけてきた「人々と共に生きることの意味と価値の形成」をたどろうとするものである。
こうして「共に働くことの意味」が、具体的な4つの職場を例にしてどのように身をもって実感されるのか、分かりやすい言葉で丁寧に説明され、どこの職場でも起こり人々が日々頭を悩ませ、心を砕いている職場での「人間関係」や、創造的な職場のあり方について、普遍的な理解が得られる。
露木氏は大学院で野中郁次郎氏に師事、山口氏は野中氏と共著の『直観の経営』(KADOKAWA)のヒットが記憶に新しいところである。
本書では、経営に直接携わらない方にも身近な、日々の仕事に密着し充実した議論がなされている。
感想・レビュー・書評
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非常に重厚な本だった。普通のビジネス書のようには読めない。私のお世話になった先生が「経営学は宗教書」と冗談交じりに言っていたが、本書は良い意味で実直に経営学と哲学を架橋して、学際的なアプローチにより「職場」というものをかなり丁寧に考察している。露木の博士論文の知見が下敷きにあることも大きな要因となっている。現象学という哲学の理論を用いて経営の現場を考察する手法は斬新だ。組織の人間関係を考慮するとき、意外にもその対象は他者ではなく自分を対象とし、「何のために生きる自分か」、「本当の自分とは何か」(p.32)を見出すことが重要としており、まさにこうした立場が哲学的(現象学的)と感じる点である。そうした作業を経て、他者との見解とじっくり突き合わせで話し合う・対話することが肝要と読み取った。決して「会話」をすればよいのではない。問題解決の方向は、自分が間違いないと実感できることをベースに、それと「考え」の世界を作ることという。創造的なことは「人と人との関係のなかからしか生まれてこない」(p.346)というメッセージを、私なりに職場で展開していきたいと感じた。
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著者プロフィール
露木恵美子の作品





