玉藻の前 (岡本綺堂伝奇小説集)

著者 :
  • 原書房
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本棚登録 : 74
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562032020

感想・レビュー・書評

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  • 「飛騨の怪談」のお葉といい玉藻といい、綺堂の「悪女(道徳から外れてしまった人)」の魅力的なこと!
    それにひきかえ千枝松のへたれていること!
    しょうもなさが一周して最後には好感を持ってしまったじゃないか。
    …うん、あれは玉藻様もほだされちゃうよね。しょうもなさすぎて。

    紡ぎだされる世界の美しさにうっとりしているうちに物語に引きずり込まれて、あれよあれよという間に読み終わってしまった。

    「封神演義」を読んでおいてよかったと初めて思った。

  • 岡本綺堂伝奇小説集3冊のうち中の2巻目を参照したく、それにあたり全3巻を手にしてまず1巻目から読み出したところ、あまりの名文に頁をくる手が止まらなくなった。目の前に情景の浮かぶ美しい描写を読むだけでも価値があると思わせるが、話自体にも引き込まれる。物語を読む楽しみを味わえる。

  • 奥付を見ると1999年の第1刷、なぜか購入以来20年近くもちゃんと読むことのないままうち置かれていた本書を、今さらながらに通読した。

    なぜこれほどの名著を積んでおいたのだろうか…。
    広く知られる古典の妖怪物語を岡本綺堂氏が再編したものだが、素晴らしいアレンジと言う外ない。
    およそ100年も前に書かれたとは思われぬほど読み易く、それでいて流麗としか形容のしようがない見事な文章が独特の心地よいリズムを保ちながら綴られており、さぞ壮大な絵巻を堪能したものだ…と読後に嘆息していると、なんとこれが僅か221ページに収められているとは! 恐ろしいまでの完成度。
    それを知るのが本当に遅まき過ぎて、誠に恥ずかしい。

    他の九尾の狐伝説には登場しない千枝太郎という人物を登場させ、玉藻との道ならぬ恋物語としての筋も一本通しているが、これがまた終いに至るまで美しい。
    まさに足すところも引くところもない、完璧な作品だ。

    玉藻の魂は旅を続けながら長い時を生き、今も世界のどこかで妖魔として存在しているのではないだろうか…、そんな夢想もしてしまう。

  • ヤンデレ幼なじみものも、岡本綺堂の手に掛かればこの妖しさ美しさになります。

  • ちょっぴり切ない。

  • 語り口が、今まで読んでいた綺堂作品と異なり、歌舞伎の舞台を見るような、そうでした、著者は脚本家でしたね。
    難をあげれば、解説者までも、玉藻の前に惑わされているところでしょうか。

  • 綺堂さんの「初めて本」
    玉藻の前の妖しい魅力が読者の自分にもオーラのように降りかかってくるようでした。

  • 「人外の者への恋」
    愛する人が人間でないと知ったら別れますか?
    愛は永遠ですか。

  •  那須高原の殺生石伝説でも有名な「玉藻の前」の故事を岡本綺堂が妖しくもせつない恋物語へと昇華させた傑作です。

     正体が九尾の狐という妖怪である玉藻の前の妖艶な魅力にとらわれた主人公の陰陽師が、妖怪とわかったあとも恋焦がれ、苦しみ続けるという内容なので、はっきり言うと男性目線です。女性には受けないかもしれません。

     でもこんな経験をしている男は意外と多いと思います。
     (こんな経験ばっかりだった気がする…)

     谷崎潤一郎の『痴人の愛』の主人公と似ています。

     『痴人の愛』がすごく好きで、しかも伝奇小説が好きな方は是非!

  • 金毛九尾の狐の伝説を、半七捕物帳の作者が悲しい恋物語として表したのが本書。九尾の狐伝説ってこんな話だったのか・・・まず、タイトル読めんかった・・・天竺から中国に渡り殷を滅亡に導き、絶世の美女として日本の宮中に潜入しようとする。そこに表れるのは陰陽師安倍晴明の子孫とその若く悩める弟子。この作品が何年に書かれたのか確認していないのですが、昭和14年に著者は亡くなられているので、かなり前のはずなのです。全く古びない作品。半七捕物帳でも感じたのですが、描かれる情景には詩情さえ感じられます。浄瑠璃や歌舞伎を取り込んでいるとう、その言葉の選び方が凄い。岡本綺堂、すごいです。図書館で偶然見つけたのですが、この伝奇小説は何巻かのシリーズになっているようです。また楽しみが増えた。

    • マオさん
      こんにちは。
      岡村綺堂って興味はありながら読んだことがなかったのですが、すごくよさそうですね。
      Wikipediaには戯曲版が「大正7年」と...
      こんにちは。
      岡村綺堂って興味はありながら読んだことがなかったのですが、すごくよさそうですね。
      Wikipediaには戯曲版が「大正7年」とありますが、小説版もその頃でしょうか。美しい文章に触れられそうで、俄然読みたくなりました。
      すてきなレビュー、ありがとうございます!
      2011/07/28
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著者プロフィール

岡本綺堂

一八七二年(明治五)東京生まれ。本名は敬二。元御家人で英国公使館書記の息子として育ち、「東京日日新聞」の見習記者となる。その後さまざまな新聞の劇評を書き、戯曲を執筆。大正時代に入り劇作と著作に専念するようになり、名実ともに新歌舞伎の作者として認められるようになる。一九一七年(大正六)より「文藝倶楽部」に連載を開始した「半七捕物帳」が、江戸情緒あふれる探偵物として大衆の人気を博した。代表作に戯曲『修禅寺物語』『鳥辺山心中』『番町皿屋敷』、小説『三浦老人昔話』『青蛙堂鬼談』『半七捕物帳』など多数。一九三九年(昭和十四)逝去。

「2019年 『玉藻の前』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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