グラン・ギニョール城 (ミステリー・リーグ)

著者 :
  • 原書房
3.19
  • (3)
  • (10)
  • (29)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 90
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562034628

作品紹介・あらすじ

グラン・ギニョール城に集った老若男女は、所有者の親族と友人、知人たち。それぞれが腹にいちもつを抱えているかのように、アマチュア探偵ナイジェルソープには映っていた。そこへ突如としてあらわれた謎の中国人、そしてやがて雷鳴とともに事件が…。いっぽう、ところかわって森江春策は、たまたま乗り合わせた列車内で起こった怪死事件に巻き込まれていた。被害者は息を引き取る直前、たしかに言ったのだ。「グラン・ギニョール城の謎を解いて…」と。森江はわずかなヒントと手がかりをもとに、やがて導き出されたグラン・ギニョール城へと向かうことになるのだが…。本格探偵小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • これはとても私の好みの作品でした。
    小説の世界と現実の世界が交互に書かれていてテンポよく話が進んでいきました。
    掲載本が廃刊となった為解決編が未発表となった「グランギニョール城」という推理小説、この話だけでも凄く面白かったです。
    この小説を書いたのは誰か?この人の作品をたくさん読んでいるファンならば「おぉ~」って感じのラストだったのだろうか。
    小説よりも現実の方が残酷で胸が痛くなりました。

  • 多分、いろんなミステリの知識がないと面白さが半分も伝わらないんだろうけど、それ抜きでも面白かった。いや、知識のある人にとって面白いかは不明だけども。
    しかし一般的な読者というのは、どれくらい古典を読んでいるものなんだろうか。だって一般人ならシェイクスピアなんて読まなくね?ていうか読んでも面白くなくね?
    っていう文句が出る瞬間もあるけどね、まぁしゃあない。
    一番のお気に入りは金持ちになって変貌するビルくんで、そんなありがちだけどなさそうなー、っていう展開が微笑ましい。

  •  1930年代、老若男女が集まったグラン・ギニョール城で起こった事件と、森江春策さんが列車の中で偶然出くわした事件の現代が、交互に描かれながら話は進みます。

     もしかしたら、こういう書かれ方(構成)をした作品は好みが分かれるのかもしれませんが、私は好きだな。

  • グラン・ギニョール城に集った老若男女は、所有者の親族と友人、知人たち。
    それぞれが腹にいちもつを抱えているかのように、アマチュア探偵ナイジェルソープには映っていた。
    そこへ突如としてあらわれた謎の中国人、そしてやがて雷鳴とともに事件が…。
    いっぽう、ところかわって森江春策は、たまたま乗り合わせた列車内で起こった怪死事件に巻き込まれていた。
    被害者は息を引き取る直前、たしかに言ったのだ。
    「グラン・ギニョール城の謎を解いて…」と。
    森江はわずかなヒントと手がかりをもとに、やがて導き出されたグラン・ギニョール城へと向かうことになるのだが…。
    (アマゾンより引用)

    何かシリーズ物だったみたい(´・ω・`)
    読み進めていく内に「何だ、そういうことかぁ」ってだんだん分かってゆく過程が面白かった(*´∀`*)

  • 森江春策は「グラン・ギニョール城の謎を解いて…」というメッセーのもと、事件に巻き込まれていく。

    現実と虚構の世界が交錯してどんどん物語に引き込まれていく。中世を舞台にした探偵小説を楽しみつつ物語の後半に向けて収束していく様は驚かされた。

  • 好きっす。ただ、謎解きは難し過ぎ。
    4.5点

  • 探偵のナイジェルソープは列車の中で彼と同じくグラン・ギニョール城に向かう面々と顔を合わせていた。城の現在の持ち主の親族と友人であるという彼らには、早くも不穏な気配が漂っていて…。

    という出だしで始まるのは実はクイーンが編纂した雑誌「ミステリー・リーグ」に事件編のみが掲載され廃刊により中絶した「グラン・ギニョール城」、いわゆる作中作である。

    探偵の森江春策は偶然にこの雑誌および遺産相続にまつわる奇妙な出来事に関わり合うことになる。
    作中作と現実が前後する構造が、「鏡の中は日曜日(殊能将之著)」を読んだ直後だけにまたかよという気がしてしまったのは確か(不運としか言いようがなくて申し訳ない)。それでも、仕掛けも結末も全く違うものなので前半を乗り切って後半に入ってからはなかなか楽しく読むことが出来た。

    この作品の面白いところは作中作がただの作中作で終わらずに、後半戦で新たな意味を持ってくるところだろう。あまり言うとネタバレになるので言えないのだが、あっと驚く展開が待っていることだけはお約束できる。
    この作中作の雰囲気が一昔前の海外ミステリィっぽい雰囲気を醸し出しているところなどは、作品全体の雰囲気を盛り上げる点でも効果を上げていると思う。個人的には好きな雰囲気。ただ、やっぱり次はストレートに読める単純なものを読みたいなぁ…。視点や時間軸がころころ変わるのはそれなりに読むのに神経を使って疲れるんだよね…。 (2003-07-11)

  • グラン・ギニョレスクというか、怪物的というか、むしろキメラ。良い意味でバカミスかもしれない。

  • 森江春策シリーズです。

    作中作のヨーロピアンミステリの絡んだと思われる殺人あるいは自殺を追ううちに時代も場所も全く異なる現代と物語が重なりついには現実へと浸蝕を果たす。

    という話です。
    本格って何だろうな。
    本格と新本格は違うものだよね。
    ううむ。どうでもいい。

  • ときは1930年代。
    中世ヨーロッパの面影を残すアンデルナット城がアメリカの大富豪に買い取られ、解体移築されることになった。
    その工事を前にして集まったのは大富豪の親子と姪、前城主の友人だったイギリスの退役軍人とウィーンから来た博士、パリジャンの美術コラムニスト、移築のために雇われた建築技師に弁護士、そしてアマチュア探偵レジナルド・ナイジェルソープに城を守る氷のような女執事。
    そこへ謎めく美人や怪しい中国人も現れ、やがて“グラン・ギニョール劇”めいた惨劇の幕が開く・・・。
    一方、関空特急の中で毒に斃れた男から「グラン・ギニョール城の謎を解いて・・・」と伝言を残された刑事弁護士・森江春策。
    男の足取りを追ううちに「グラン・ギニョール城」という未完の推理小説に遭遇した春策は、その物語に引き込まれ・・・。

    初めての芦辺作品。
    謎がとっても魅力的で、虚と実が入り混じってくるあたりは春策ならずとも引き込まれるように読み進めました。
    ところが、謎解きがとても肩透かし。
    虚の真相は、まあこのころの探偵小説ならアリなのかなぁとも思えますが、実のほうはあまりにも納得できず。
    それまでのワクワク感が風船のように萎んでしまいました。トリックといい動機といい・・・。

    けっこう好みかも、なんて思っていたのですが他の作品に手を出すべきか、今は迷っているところです。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

一九五八年大阪市生まれ。同志社大学法学部卒業。
一九八六年、「異類五種」が第2回幻想文学新人賞に佳作入選。
一九九〇年、『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞受賞。
代表的探偵「森江春策」シリーズを中心に、その作風はSF、歴史、法廷もの、冒険、幻想、パスティーシュなど非常に多岐にわたる。主な作品に『十三番目の陪審員』、『グラン・ギニョール城』、『紅楼夢の殺人』、『綺想宮殺人事件』など多数。近著に『大鞠家殺人事件』(第75回日本推理作家協会賞・長編および連作短編集部門、ならびに第22回本格ミステリ大賞・小説部門受賞)。

「2022年 『森江春策の災難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

芦辺拓の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×