厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)

著者 :
  • 原書房
3.44
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  • (17)
  • (7)
本棚登録 : 401
レビュー : 87
  • Amazon.co.jp ・本 (457ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562039838

作品紹介・あらすじ

憑き物筋の「黒の家」と「白の家」の対立、「神隠しに遭った」ように消える子供たち、生霊を見て憑かれたと病む少女、厭魅が出たと噂する村人たち、死んだ姉が還って来たと怯える妹、忌み山を侵し恐怖の体験をした少年、得体の知れぬ何かに尾けられる巫女-。そして「僕」が遭遇した、恐るべき怪死を遂げてゆく人々と謎の数々…。奇才が放つ、ミステリーとホラーの禍々しい結晶、ついに昇華。

感想・レビュー・書評

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  • 閉鎖的な村、奇妙な民間信仰、仰々しい村や人の名前…と横溝正史的な雰囲気があふれていて、手にとったとき、ワクワクしました。(以下ネタバレ感想)

    「カカシ様」という神を信仰する村。そこは不思議な神隠しがおこり、恐ろしい体験をする人々がいた。
    代々同じ読みの名前を受け継ぐ双子の巫女のいる一族がそれを奉り、憑き物落としを生業としている。
    と同時にその一族は「憑き物筋」であり、畏怖の念を人々に持たれていた。
    そこに怪奇小説作家・刀城言耶が伝承を聞くために訪れる。
    滞在する村で自殺とも、他殺とも、祟りともとれる事件が起こり、刀城はその調査も兼ねて、この村の成り立ちを探って行く…

    思い出したのは横溝作品以外には、山岸涼子の短編「時じく香の木の実」やゲームの「零」シリーズ。大好きな雰囲気です。
    …でも、とても時間がかかりました。人間関係やまず、読み方を忘れる!人も村の名も(汗)初めのページの人物関係図をいちいちめくって見てましたが、面倒になり、コピーして横に置いて見てました(笑)
    後は勝手に脳内キャスティング!〜の若い頃、とか時を越えたキャスティングです。ちなみに紗霧はくつなしおり(漢字思い出せず)さん、刀城言耶は西島秀俊さんで想像して読みました。
    最後はくるくると変わり、まるで、意地悪なクイズ出題者みたいな感じ?
    問題〜(ピンポーン)…ですがぁ〜問題続く…みたいな感じ)でした。そして最後の最後が…
    このスッキリしない感じがみなさんがおっしゃってた感じなのね、と納得しました。作中で刀城言耶が、不思議な出来事を信じ込んで恐れるすぎるのもいけないが、頭から否定してしまうのも傲慢だ(正確な引用ではありません。どこに書いてあったかな?)、というようなことを言ってましたが、まさにそれを感じるエンディングでした。

    久々に時間がかかる本に出会いました。シリーズをよんでみたいです。

  • 話題作ということで、手にとるが、
    とにかく読みにくい。
    読了して思ったのは、やはり、前半要らないだろ、ということ。

    とにかく、前半が読みにくく、文章もおかしい。
    「こりゃ、ねーわ」と思い、読み進めたが、
    後半で、一気に盛り返す。
    怒涛のドンデン返しである。
    この手のもののパターンとして、
    「ここで終わってくれるなよ」という
    新「説」待ち状態というのがある。
    とりあえずの「解決」が腑に落ちない場合、
    ここで終わるな、もう一押ししろ、と思う。
    しかし、残念ながら、腑に落ちないままに
    「最終解決」が宣言されてしまうことが多い。
    ところが、この作品、「ここで終わるな」という
    期待に答えて、見事に「腑に落ちる解決」まで
    持っていってくれる。
    ここまでされると、評価としても、☆4つ以上を
    付けざるを得ない。
    トリックが小粒になりがちな、連続ドンデン返しパターンの中で、
    本作は、トリックも、しっかりと印象に残るものになっている。
    そこらへんも評価が高い。

    途中までは、法月の「誰彼」を上回る複雑さだが
    (なにしろ双子が3組出てくる)、
    複数ドンデン返しを狙う場合は、こうなってしまうのか、という気がする
    (「誰彼」もたしか複数ドンデン返しだった気がする)。
    論理展開は、ホームズ、クイーンの流れをくむ、
    オーソドックスなもの。
    誰であれば、犯行が可能か(犯行を行える情報を
    持っていたか)という、「論理」面から、ひたすらに、
    真相に迫り、クイーン風の絞り込みで、容疑者がふるいにかけられる。
    伝奇的なので、京極と比較されがちだが、それよりは
    はるかに、オーソドックスで、正統派のミステリーである
    (「うぶめ」なんて、ひどかったし…)
    しかし、薀蓄部分に限れば、さすがに京極の方が面白い。

    黒子というマスクマンが出てきて、犬神家か?とか
    都会に行っているという、一切出てこない人物、
    神隠しにあって失踪した男、儀式の失敗で葬られた少女など、
    いかにも「入れ替わってそう」な人物の数々に、
    「こうではないか?」という推測は次々に浮かぶが、
    これが見事に計算された「ミスリード」であり、丁寧に
    否定されていく。そのたびに、あ、違うのか、と、
    ミステリーに親しんでいるほど、
    はまりやすい罠になっているところが、面白い。

    トリックの分類としては「見えない犯人」もの。
    短編以外では、ほぼ見かけないタイプである
    (それだけ、作る側としては、リアリティを持たせるには
    難易度の高いタイプのトリック)
    有名なバカミスとして、犯人が竹馬に乗っていた、とかあるが。
    「斜め屋敷」が館1つを使ったトリックであれば、
    本作は、村1つを使ったともいえる大仕掛けである。
    このオチに持っていくための、リアリティを出すための、
    粘着的ともいえる、書き込みだったことが分かる。
    もちろん複数犯なんて「何でもアリ」なことはせず、
    いさぎよく単独犯。

    そして結論がここまで腑に落ちるということは、
    着地点をあらかじめ決めた上で、
    途中、何回転させられるか、という方向で試行錯誤しているのであろう。
    ネタの練り込み具合が、半端じゃない、といえる。

  • 怪奇幻想作家・刀城言耶が民間伝承蒐集のために訪れた村で、連続怪死事件に巻き込まれる。シリーズ1作目。

    神隠しのように子どもが消える村、憑き物筋の旧家、そして美しい双子の巫女。こういう時代がかったおどろおどろしい雰囲気や、蛇と神の民俗学的解釈は興味深くて好き。
    探偵役の言耶自身が謎解きをしながら、考えをまとめていくため、終盤数十ページで二転三転。最終的にもやもやする部分もあるけれど、どこか含みを持たせたラストはホラー的恐さを煽る。
    ただ、屋敷内の構造や村内の位置関係が分かりにくく、しかもそれが事件に関わってくるため、見取図が欲しかったかな、と。

  • 「幽女~」を買う前に時間があったので再読。
    ホラー+ミステリ、どちらかというとホラー色強め。
    横溝正史のような、京極夏彦のような、どちらにしても私の趣味ドストライク。
    どんなに読みにくくても、地図がなくて混乱しても(方向音痴)、大好きな本です。

    うん、でもやっぱり地図が欲しかったなぁ、と思います。
    文庫版には載っているのかな。

  • ホラー系、ウンチク系、本格系ミステリー。地図が無いので方向音痴には辛い

  • 視点の描写、設定練りこまれとる。

  •  民族学に精通するライター刀城言耶が、因習に縛られる山奥の村の怪奇現象や殺人事件を解き明かすというストーリー。

     憑き物筋で「黒」扱いされている家系とそれより上位とされ神事を執り行う「白」とされている家系に取り巻く因縁、「巫女」と「憑坐」となる双子など、あまり読まないジャンルであったが、時々盛り込まれる民族学に関する説明が詳しく、興味深く読めた。
     同じシリーズはぜひ読んでみたい。

     物語は刀城言耶の取材メモによる刀城目線、憑坐となっている「黒」の家の少女沙霧視点の日記、沙霧に恋心を抱く「白」の家の青年漣三郎視点の記述録、そして刀城による「神」の視点という複数の視点が交差するストーリーのため、時系列がやや交錯している。
     
     私は推理せずにさらっと読むタイプなのだが、この作品は見取図などを書いてじっくり読んだ方が楽しめそうだった。

  • 20190414 読了
    3.6評価で四捨五入☆4つ
    刀城言耶シリーズ①

    覚書
    黒:谺呀治家 白:神櫛家  
    九供儀礼 山神様 カカシ様 
    さぎり 黒子 刀城言弥

    メモ取りながら時間をかけて読了。
    世界観は好み。相関図の他に地図が欲しかった。
    色々な意味で、ややこしさが売り?
    シリーズ第一作なので、今後の刀城言弥に期待。

  • 単行本にて再読。
    やっぱり怖い…。怖くてミステリー部分がちょっと吹き飛ぶ(笑)

    犯人が(一応)分かっても、怖さが無くならないところがすごい。

  • ミステリーとホラーの禍々しい結晶。刀城言耶シリーズの1作目。
    怪奇幻想作家の彼が向かうのは山深くにある村。そこでは古くから恐ろしげな因習があり、憑き物を祓う巫女と憑座(よりまし)が存在した。
    村のあちこちに山神様を模したものがあった。かつて起きた神隠し、これから起きる惨劇…この村には一体“何”がいるというのか…?

    金田一シリーズを彷彿とさせるような雰囲気があります。じめっとした日本のいわゆる怪談とミステリーの融合、
    好きな人はわくわくしますね。沢山ある続編を読むのも楽しみです。

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著者プロフィール

2001年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。10年『水魑の如き沈むもの』で第10回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、映画化もされ話題を呼んだ『のぞきめ』、『禍家』『凶宅』『魔邸』からなる〈家三部作〉、『黒面の狐』『わざと忌み家を建てて棲む』『忌物堂鬼談』など多数。

「2021年 『死相学探偵最後の事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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