死の相続 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)

  • 原書房
3.33
  • (3)
  • (6)
  • (12)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 65
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562040360

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いちおうはちゃんとネタがあるクローズド・サークルものなのだが、あまりに過剰なB級臭や、どいつもこいつも共感を阻むキャラクター像が評価を困難にしている。シリアスな本格ミステリでないのは、館ものなのに館の見取り図がない時点でお察しなのだが…筆致とキャラを変えたら、クローズド・サークルの佳品になれたかもしれないと思うと惜しい気がする。

    2016/7/6〜7/7読了

  • ハイチに住むアンクル・イーライの遺産相続の為にやって来たパトリシアとカート。他殺の疑いのあるイーライの死。指名された遺産相続人と相続人候補7人。遺産相続人が24時間いないに死ねば次つに候補者に遺産相続人が移る。遺言発表の夜に殺害されたドクター・セヴェレスト。殺害されていく相続人たち。ハイチ憲兵隊ナルシースの捜査。カコと呼ばれるブードゥ教徒たちの暴動。ゾンビの王の登場。

  • あのデタラメな殺人事件に一応の説明つけたのはさすがだと思ったけど、よく考えるまでもなく無理がないかと

  • 急死したハイチの農園主の遺言に従い集められた8人の相続候補者たち。そして彼らが遺言状に従うかのように次々と殺されてゆき……。

    いやぁ、バカだねえw。けど大好き♪。いかにもパルプ小説らしい勢い重視の無茶な展開が続く中(だってゾンビまで出てくるんだよw)、巧妙に張り巡らされた伏線が見事。唐突で強引ながらも、小道具の使い方や舞台設定の巧みさが光る解決編も素晴らしい。

  • ハイチに住む実業家が死に、屋敷には七人の相続関係者が集められた。「私の遺体は丘の上に深く埋め、棺には杭を打ち込むこと。相続の条件は屋敷に24時間留まる事。これを満たした場合は第一相続人にすべて譲る。第一相続人が24時間以内に死んだ場合は第二相続人に権利を譲る。…」と奇妙な遺言が読み上げられた。急な呼び出しに実業家の遠い親戚であるピートはニューヨークから画家で恋人のカートを連れて遺言発表の場に辿り着いたが、彼女は最後の第七相続人という。しかも他の相続人は誰もかれも変人ばかり。これで何も起こらないはずはなく…。これは…予想外に面白い!!相続人たちが集められた屋敷は物理的には密室ではないのだが、「24時間屋敷を離れてはいけない」という遺言によって心理的なクローズドサークルを作り上げ、さらに後に起こる殺害の多くも密室で起こるという面白い仕掛けになっている。相続人の面々も癖のあるいかにも胡散臭い輩ばかり。こんなところ、一刻も早く脱出すべきだと思うのだが、怪しげな遺体の埋葬に付き合わされた挙句もたもたしているうちに殺人事件が起こってしまい、警察が介入し、屋敷内待機が義務付けられてしまう。と、ここで密室ものではあまり好まれない『警察の介入』となるわけだが、この作者の巧いところはと、ある理由(暴動)をもって一度介入した彼ら警察を退場させてしまう点にも表れている。(この作品の方が先に書かれたことがさらに驚きだが)クリスティの某代表的クローズドサークルものさながらに、相続人がひとり、またひとりと権利どころか命を失い、残り僅かな容疑者のだれが一体犯人か?という推理の醍醐味を味わうことができる。終盤のクライマックス、ゾンビまで登場するまさかの展開(この時点で犯人はあのひとしかいないのだが)は、ちょっとバカミスっぽい匂いも醸し出すが、真相をオカルト現象としてうやむやに誤魔化すのではなく、犯行の数々を現実的な説明のつくものとして解明される点が、意外な正当性を見せてくれて面白い。【以下ネタバレどうしても含むため注意!!】犯人が自ら死を装うことで嫌疑の外に出るというトリックを用いて仕掛けた、膨大で悪質な殺人計画である。墓を掘る深さ、杭を打つことなど埋葬のこと細かい指示にも意味があり、ゾンビとして生き返るというとんでもない荒業で復活してしまう大胆さに驚嘆した。当初は遺言自体がいかにも怪しげなのでアンクル・イーライが死後に作動する仕掛けを用意していて、実行するのは一見常識人のトゥーセリーネ弁護士かと疑ってしまった。まさか本人自らあんなにこそこそと…その姿を想像すると(恐ろしい行為にもかかわらず)呆れと失笑を併発する。ゾンビを演じた犯人が死んだはずの人間に驚いて死んでしまうというラストのオチがブラックユーモアに満ちている。(ネタバレ終了)帯の「密室ミステリの歴史に燦然と輝く、恐るべき快作〜カーの大仕掛け、クリスティのサスペンス」の文句もそのとおり!とは言えないまでもこう表現したくなるのは無理ないかな。ヴードゥー教の儀式の太鼓が鳴り響き、悪趣味な葬式と遺言など不穏な設定、ハイチ憲兵隊隊長ナルシースの強引で雑なな捜査、次から次へと人が殺されていくサスペンス、ゾンビに率いられた地元民ゲリラの反乱までが起きる段階に至っては、もはやパニック小説として終わるのではないかと不安もよぎったが、納得のいく形で収束してくれて満足。これが1935年の作品だというのも驚きだ。(★的には4つ付けてもいいくらいちょっと意表を突かれた作品かも。あとで評価が変わる可能性大)

  • 6月21日読了。七人の相続関係者。奇妙な遺言。

全8件中 1 - 8件を表示

横山啓明の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
高野 和明
ピエール ルメー...
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×