パニック・パーティ (ヴィンテージ・ミステリ)

  • 原書房
3.12
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本棚登録 : 61
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562045983

感想・レビュー・書評

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  • 莫大な遺産を相続した大学時代の教授から、孤島へのプライベートクルーズへと誘われたシェリンガム。そこには互いにさほど親しくない15名の男女が集められ、ホスト役が全員を集め、「この中に、殺人者がいる」と言い放つ。
    クルーザーの故障により、すぐには救出が来ないという孤島に閉じ込められた極限状態の中、ある人物の死を切っ掛けに疑心暗鬼に陥った人々はーー

    金持ちの道楽で主催されたこのツアー。何度も早いうちからホスト役が作中でしゃべっているように、「このメンツでどんな心理的作用が起こるのか観察したい」 まさにコレ。ミステリ的要素ももちろんありますが、閉鎖空間での極限状態での人間心理を描いた小説でしたね。
    各登場人物の描き方や、視点の置き方はやはりバークリー。今までのシェリンガムシリーズからすると、ミステリ的な鮮やかさは劣るかもしれませんが、この斜に構えたブラックユーモア風味のテイストはバークリー好き的に満足です。

  • ロジャー・シェリンガム・シリーズ。シリーズ最後の長編。孤島もの。
    登場人物が狂いまくっていく展開。あまりミステリっぽくない。探偵役とか全然役に立ってないし…
    ロジャーが事件に関わりたくなくなるのも分かる。

  • シェリンガムものは今までも、ミステリの「お約束」みたいなのをひたすら外し続けてきたシリーズだけど、今回は特にひどい(もちろんいい意味で)。読みすすめるのが楽しくてしょうがなかった。

  • どうやら、有名な作家の有名なシリーズ最終巻らしい(「毒入りチョコレート事件」すら読んだことがない私)。
    ここでがっかりしたアナタ、目のつけどころがシャープですね。本作にはクローズド・サークルの禁じ手「絶対安全領域」が存在するのです。

    無人島に漂着して殺人事件が勃発しますが、「みんなしてパニックに陥る阿鼻叫喚の地獄絵図」ではなく、「パニックに陥る愚民を白眼視しつつ秩序の立て直しに奔走する主人公」を眺める趣。
    「なんか『蠅の王』みたい…」と思いました。四半世紀前に一読したきりですが。
    主人公が醒めているので、深刻なシチュエーションにも、いまいちノレない。しかもこいつは死ぬ…のはともかく、犯人では絶対にないわけですからねえ。
    「本格に挑戦」みたいな、お友達作家宛ての序文がついていて、実際にトリック&ロジック的な見せ場はほとんどありません。
    読後感を端的にまとめるなら、「いかにも斜に構えた英国人が書いた哲学的小説」てところでしょうか。それはそれで面白かったですけども。

    2013/9/7〜9/9読了

  • 最初は何度も人物表を見直したけど覚えてからはスラスラと読めた。
    犯罪者と共に無人島に取り残されてしまった人達が、精神的にどう追い詰められていくのか。
    登場人物達の冷静なフリが剥がれ落ちていって、本質が露わになっていくのが面白かった。

  • クローズドサークルで本格かと思ったらそんなことはなかった……よな? シェリンガムさんがあんまシェリンガムさんらしくなかった印象。ともあれ、これでシェリンガムシリーズ長編はすべて読了。

  • ロジャー・シェリンガムシリーズ最終作。
    クルーザー旅行に招待され、その故障で無人島に取り残された15人の人々。招待者が「この中に殺人者がいる」と言ったことから、人々は次第に疑心暗鬼に陥っていく。そして一人の死体が発見され…
    以前からシリーズの中では今ひとつの評価だと聞いており、訳されることはないかと思っていたので原書房に感謝。
    最初の50ページくらいは誰が誰やらわからず巻頭の登場人物表と首っ引きだったが、それを過ぎると一気読みだった。
    確かにミステリとしての面白さという点では弱く、犯罪者と島に閉じこめられた状況で人々がどのように振る舞い、パニックに陥っていくかというサスペンス的な興味で読み進むことになるものの、十分に面白かったと思う。
    しかしシェリンガムシリーズの他の作品のような捻りや皮肉さはあまりなく、バークリーにしては真っ当な話なので、シリーズの中で評価が低いのも納得できた。

  • ミステリという”形式”そのものや、その”お約束”をおちょくったかのような相変わらずのバークリー節。シニカルに描写される登場人物たちの右往左往っぷりも愉しい。バークリーの意地悪を堪能しました。

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