- Amazon.co.jp ・本 (566ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562047963
作品紹介・あらすじ
大人気の刀城言耶シリーズ最新書き下ろし長編!
戦前、戦中、戦後にわたる三軒の遊郭で起きた三人の花魁が絡む不可解な連続身投げ事件。
誰もいないはずの階段から聞こえる足音、窓から逆さまに部屋をのぞき込むなにか……。
感想・レビュー・書評
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刀城言耶シリーズ。
戦前、戦中、戦後の遊郭を舞台に、緋桜という名の花魁と、連続する謎の身投げ事件にまつわる怪異が描かれる。
言耶の謎解きが、あくまで合理的に考えればこういう解釈もできる、という程度のもので、一応解決はするけど、ラストでやっぱり幽女の呪いだったのかも…という余韻を残して終わるところが、さすが刀城言耶シリーズです。
今回は、ホラーもミステリもどちらも控えめな感じでしたが、遊郭での花魁たちの暮らしや過酷な労働条件、遊郭へ売られた悲しい身の上などの話がとても読み応えがあり、遊郭の歴史を描いた小説として興味深く読みました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歴史ホラーミステリー単行本。
【刀城言耶シリーズ】
昭和初期から戦後に至る遊郭を舞台に、歴代花魁「緋桜」を中心に起きた不可解な事故をめぐる物語。
遊女の日記として廓の辛い日々が綴られ、女将の証言、作家の絶筆と、シリーズとして展開が少し異なり、本格的に言耶が登場するのは最終盤。
歴史時代物として重厚なミステリー作品と感じた。
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初の刀城シリーズ
とにかく装丁がコワイので、惹かれました
内容は花魁の話で、戦前〜戦後の遊廓が舞台となっています。
なかなかよく調べてらして、ミステリーやホラーとして以外にも、タメになりました。
花魁たちの深い悲しみや、理不尽さ過酷な労働条件なんかが、胸をうちます。
最後、うやむや感に似た読後感がありますが、ホラーって案外そんな感じでおわったほうがいいのかも。
詠み手の想像力が、膨らんで。
読みながら、頭の中で吉原炎上を思い浮かべていました。
緋桜さんは、名取裕子で -
いつもの三津田さんのようなおどろおどろしいオープニングでなく、まったりとのどかな女の子の手記からのスタート。
とはいえ、読み進めるうちに哀しい遊女の日常と、そして不可思議な自殺・・・いよいよミステリーか?
最後まで読むと一つ一つが伏線となっていてもう一度読みたい気分に。いや、怖いからもういいか・・・
読んでいる部屋の蛍光灯が、パチパチしてきた。替えたばかりなのに。本から何か得体のしれないモノがにじみ出ているかのように。
ふと窓に目をやるとそこには・・・「!!!!」 -
遊廓を舞台にした物語が、あまりにも上手すぎ。
時代背景、人間模様が見事。ここが良すぎて、そして書き込みすぎか。
結果としてミステリーの度合いが弱くなってしまっている。
ミステリーの醍醐味が薄いので、トリックは納得できるものだけに非常に残念。 -
戦前、戦中、戦後にわたる三軒の遊郭で起きた、三人の花魁が絡む不可解な身投げ事件。
誰もいないはずの三階から聞こえる足音、窓から逆さまに部屋をのぞき込む何か・・・。
という、刀城言耶シリーズ新作長編。
これはよかったなぁ。
戦前「金瓶梅楼」、戦中「梅遊記楼」、戦後「梅園楼」と名をかえ営業された三軒の遊郭。
そこで感じられた「モノ」と、繰り返される三人の花魁の身投げ事件。
非常に不穏な空気の中、展開される不可解な出来事。
これらが花魁の日記、女将の語り、作家による記事、といった3部構成で語られ、第4部でようやく言耶による謎解きがなされます。
これまでと違っているのがその構成で、言耶が直接遭遇した怪異ではなく、遺された資料などから事件を読み解く形になっています。
これが大成功。
馴染みのない遊郭という世界について、非常に興味深くじっくり読むことができ大満足。
そのため世界にすんなりと入ることができ、起こる怪異についても、さもありなん、という気にさせられます。
これまでの作品ではホラー部分の投げっぱなしが気になったりすることがありましたが、今回は妙に納得。
こういった構成のためこれまでのシリーズの登場人物が直接登場しないので、初めての方でも楽しめるはず。
ぜひ読んでみてほしいなぁ。 -
3.3
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“刀城言耶”シリーズ第六長編。三津田さんの刀城言耶シリーズを読むのも久しぶりだ。どのくらい久しぶりなのかというと最後に「生霊の如き重るもの」を読んだのが2012年6月だったので10年以上前だ。久しぶりに刀城言耶が登場(失礼!)したら懐かしく感じた。さて本書。シリーズ中では異色作であるといわれる。個人的には第一部「花魁」が凄すぎてミステリ部分である第二部~第四部がかすんでしまった様に感じた。第一部で借金のため年若くして遊郭に売られる少女が花魁へと変わっていく様はエロくもあるが同時に悲哀に満ちている。とにかく第一部のリーダビリティは凄いが、この部分はこの作家でなくても書けるものだろう。はっきり言えば他の参考資料を用いれば筆力があれば書けるような。むしろ三津田さんの持ち味が発揮されるのは第二部以降だ。だが・・・その後のミステリ部分はシリーズの中でもやや落ちるクオリティに感じた。残念。全体を見れば第一部と第二部以降のバランスが悪くなってしまったかな。でも遊郭の歴史も知れたし読み物としては悪くなかった。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou14508.html