図説 世界史を変えた50の動物

  • 原書房
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562048007

作品紹介・あらすじ

動物の興味深い物語を美しい写真とともに紹介。
人類の発展に大きく貢献し、生活様式に多大な影響を与えた動物と、人間とのかかわりを、幅広い視点からとらえる。

感想・レビュー・書評

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  • どの1つが欠けていても、世界の歴史は違っていた!?

    歴史の中で重要であった50の動物をまとめた百科事典的読み物。
    学名順に配されているが、最後の生物だけは例外。なぜか、は本を見ればわかります。
    姉妹図書として、『世界史を変えた50の植物』もあり。

    各動物に割り当てられたページ数は2~8ページ。
    コンパクトに文系的知識と理系的知識がバランスよく配されていて、興味深い。
    動物の原産地、種類、大きさ、利用法(食用・医療用・商用・実用のいずれか)が欄外にまとめてあって見やすい。

    通読して、印象に残ったものは以下。
    ・ウシ、ラクダ、ヤギ、ヒツジなどの反芻動物がおもしろい。イスラム教やユダヤ教の戒律では、割れた蹄を持つ反芻動物が「コーシャ」(適正に処理され、食べてよい動物の肉)として認定されている。ブタは蹄が割れているが、反芻動物ではないからダメなのだそうだ。

    ・ネコの用途が「実用(practical)」になっているのは、何か違和感が(^^;)。上記4つのうち、どれかといわれれば、これしかないのかもしれないが。

    ・ヒルは、古くは、瀉血と呼ばれる治療法で使われていた。中世ヨーロッパでは、4つの体液「血液」「黒胆汁」「黄胆汁」「粘液」のバランスを取ることが大切とされていて、血液が過剰とされた場合に、ヒルを吸い付かせて(!)血を抜いていたんだという。その結果、病気や怪我による出血ですでに弱っている患者が死んだりする、頓珍漢な事態もあったそうだ。

    ・ミドリゲンセイ。ツチハンミョウの仲間だが、催淫剤として使われたという。これに含まれているカンタリジンは毒なのです!(ツチハンミョウには毒があるって『楽しい昆虫料理』にもありました)。皆様、ゆめゆめお試しめされるな。

    ・ウサギ。繁殖力が強いあまりに、天敵がいないオーストラリアで大増殖(6億匹!)。1950年代に、粘液腫を起こすウイルス(Myxomatosis cuniiculi)を導入してやっと減らした。だがウイルスが弱毒化した上、生き残ったウサギはこのウイルスに免疫を持っているため、近年、再び増加傾向にあるのだそうだ。ちょっと怖い話だ。

    ・シラミ。フランス革命前のかつらは宮廷でシラミが流行ったせいだという。シラミは発疹チフスを媒介することでも知られる。多くの人々がシラミのために命を落としている。病原体の媒介といえばノミも同様。発疹チフスや黒死病(腺ペスト)を媒介し、大災厄をもたらしたのはこの小さな生きものだった。

    ・トナカイ。北極圏に住む、この反芻動物は、実は完全には家畜化されたことがない。古くからトナカイと暮らしてきたサーメ族のトナカイに関する神話が紹介されており、興味深く読んだ。

    ・タマオシコガネ(フンコロガシ)。エジプトではよみがえりのシンボルとされている。埋葬品や印章、護符、装飾品など、至る所に描かれた。

    おもしろい本であるし、手元に置いて、リファレンス的に使うのもありだと思う。
    ただ、図版の出典が不十分なのは少々気になった。末尾にまとめてあるのだが、著作権のあるものしか載っていない感じ(すべて©付き)。特に絵画で、あれ、この絵、見たことあるけれど何だっけ?と思うものには、簡単でよいのでひと言説明が欲しかった(北斎の鯉亀図のように思い出せたものもあったが、思い出せないものや知らないものも多かったので)。ついでにいうと、目次では「図版出典」になっているのに、本文では「図版出版」になっているのは誤植だと思う。

  • 人類の歴史に影響を与えた50種の動物について書かれた図説。図が素晴らしく、要点が簡潔に書かれていて読みやすい。ミニコラムのようなものも記載されていてさらに興味深い。世界史に興味がある人も、動物に興味がある人も両方とも満足できる本だと感じた。

  • 世界史を変えた動物……蚊から人間までの50種類を解説している。知的好奇心を満足させるだけの内容があるのだけれども、惜しいのは「もっと知りたい!」と思うところだろうか。


    採り上げられている50種類の動物は「世界史への影響」という点では納得のいくものではあるものの、一つ一つの紹介文が短いのでもっと多様な文化的側面の紹介をしてほしかった。概説的な感じなので、歴史的な教養を肩が凝らずに身につけられる程度には有用だと思う。


    個人的には物足りない部分が多々あったものの、本としての作りがしっかりしていて評価は高い。特にイラストはとても良かった。図鑑の魅力の8割くらいはイラストの善し悪しだと思うんだよね。

  • 歴史を変えたかどうかはともかく(実際に大きな影響を与えた生物もいただろうが)、結局は、多くの生き物の恩恵を受けながら、人は生きながらえているということ。人が与えているものは恩恵などではなく脅威ばかりかもしれないが。
    力でねじ伏せるようなやり方に、いつかしっぺ返しをくらうのだろうな…。いつかではなく、もう始まっているか。
    そんなことを思いながら、歴史的文化的背景を織り交ぜつつ、ウィットに富んだコメントを挟みつつ解説される50の生き物たちについて読んだ。

    ・ヤギが特に面白かった。意外に有用な動物で驚いた。
    乳を利用してよし、被毛も利用してよし、肉を利用してよし、挙句になかなかの健脚で山岳地帯に住むこともでき、頭がよくて好奇心旺盛、そして食べ物にうるさい。汚れていたり傷んでいたりするものは食べない。
    またヤギのお乳は乳化しやすい脂肪なのでチーズが作りやすい、などなど。
    そうか~、だからハイジはあんなに簡単にチーズ作ってたんだね、と合点がいった。
    人が持っているものなどをすぐ食べようとするのは好奇心からで、決して頭が悪いからではないらしい(頭が悪いせいだと思ってました、ごめんなさい)。
    近所の空き地に、そこの地主さんが飼ってるヤギを放して「草刈り実験です」なんて言ってたけど、ヤギはどちらかというと木の若芽なんかが好きで、草を喜んで食べるのは羊なんだそう。そういえば、地主さんが植えてた梅の木の芽をムシャムシャ食べてるのを見たことがあるなあ。
    地主さんに、羊にしたほうがいいですよ、と教えるべきか。

    ・ジャンボという巨大を意味する言葉、これはもともとアフリカからイギリスに連れてこられた象の名前で、サーカスに売られたことから名が知られ、今のように使われるようになったらしい。

    ・サバクバッタ、これは先日読んだ前野ウルド浩太郎氏の研究しているサバクトビバッタのことのようだ。密度が高まることで、大群になり色も黒くなって農作物へ被害をもたらすとある。

    ・ビアスの言葉がいくつか引用されているが、これは『悪魔の辞典』からだろうか?出典を見たけどよくわからなかった…。
    内容が多岐なのに、巻末に紹介されている参考文献が少ないような気がするのだが、どうなんだろう。

  • 図書館の返却棚でタイトルを見て即借り。
    その場で何が出てくるだろうかと予想したうえで
    家に持ち帰り読み始めた。

    歴史系シミュレーションをプレイしてるため、
    馬、豚、牛、羊、ロバ、ラクダ等は載っているだろうな
    と予想していたが、
    最初に紹介されるのはなんと「蚊」なのだ。
    まさかいきなり虫から始まるとは思わなかった。
    ノミ、ミツバチ、ヒルなど虫が結構多いが、
    逆に虫の中で予想していたクモはのってなかった。

    また、説明内容は
    その動物の具体的な生態・飼育、
    その動物がどのように役に立ってきたか・害を与えてきたか、
    その動物の取引が拡大していく様(カイコやカイガラムシなど)、
    その動物の象徴的な意味(ライオン、玉押しころがし、ドードー)
    ぐらいまで広くわたっていて見ていて面白い。

  • 動物の興味深い物語を美しい写真とともに紹介。
    人類の発展に大きく貢献し、生活様式に多大な影響を与えた動物と、
    人間とのかかわりを、幅広い視点からとらえる。

    内容説明
    ミツバチ、カイコ、ネコ、ヒツジ、ライオン…世界の発展に大きく貢献し、生活様式に大きな影響をあたえてきた50の動物の興味深い物語を、美しい写真とともに紹介。

    目次

    ミツバチ
    ミンククジラ
    アメリカヤギュウ
    アクキガイ
    カイコ
    ウシ
    ラクダ
    オオカミ
    イヌ〔ほか〕

    著者等紹介
    シャリーン,エリック[シャリーン,エリック][Chaline,Eric]
    歴史および哲学のジャーナリスト、ライター。現在、イギリスのロンドン在住、ロンドン・サウスバンク大学で社会学の大学院研究指導にあたっている

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99423776

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/8467

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  • 2018/11/20 詳細は、こちらをご覧ください。
    『あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート』 → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1070.html
     
    2014年 (平成26年)の干支は、 午(馬)です。
     2014 is the year of the horse in Chinese Zodiac.

    2012/11/6 記
    人間と深く関わってきた動物 49(と人間1)です。
    太古からどんなふうに関わってきたか? 科学が発達したこれからは? 興味があります。
    犬、猫、牛、馬、豚、羊、山羊、鶏、兎 など人間の身近で役に立つ動物は思いの外 多い。
    ラクダ、ラマ、ロバ、シチメンチョウ、ミツバチ、カイコ、ハト、コイなども。
    ビーバーがダムを作るのは、どうなんでしょう? 毛皮は役だってきたでしょうね。

     役に立つからといって乱獲して 絶滅させた動物は これまで数知れず。
    すでに絶滅したドードー、イグアノドン。
    絶滅寸前か 時間の問題か・・・、ゾウ、オオカミ、アメリカヤギュウ、ミンククジラ、
    単なる食料として重要なものも乱獲すれば、今後は恩恵を受けられません。 ニシン、鱈(ニシマダラ)。
    染料・顔料などの色素として使われるもの。 アクキガイ(紫色)、カイガラムシ(赤色)。

    一方、嫌なやつもいますよね。  蚊、蚤、虱、住血吸虫、、サバクバッタ(害虫)。 
    科学や医学、農業などに役に立つ。 ハエ(ショウジョウバエ)、ネズミ、ヒル、ミミズ、ダーウィンフィンチ、チンパンジー。

    強さや権威の象徴、宗教などに担ぎだされていても 扱いはひどい事が多い。 白頭鷲、ライオン、ハヤブサ、コブラ、タマオシコガネ。

    そのほか、50に含まれているもの。
    アザラシ、トナカイ、コウモリ、真珠貝。
    初めて聞いた名前 「ミドリゲンセイ」

    2012/10/19 新刊棚で見つけて借りる。 10/20 読み始める。11/6 読み終わる。

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