ミステリー・アリーナ (ミステリー・リーグ)

著者 :
  • 原書房
3.37
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本棚登録 : 376
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562051830

作品紹介・あらすじ

『最後のトリック』の著者による、多重解決の極北! 
ある屋敷で起こった不可解な殺人事件、これに挑むのは
いずれも腕に覚えのある〝ミステリ読みのプロ〟たち。
勝てば一攫千金のバトルロワイヤル、結末は〝真実〟か!

感想・レビュー・書評

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  • 2016・本格ミステリーベスト10、第1位作品。

    人里離れた別荘に集まった数人の男女。予想通り大雨で橋が崩壊し別荘は陸の孤島に。そして、死体発見。これは、まさしくクローズドサークル!
    わくわくしながらページをめくると、『今年もやってきました!…《推理闘技場(ミステリー・アリーナ)》!』と、突然司会者の声が…。

    ミステリー・アリーナとは推理小説を読んでいき、真相を見抜いた人から犯人を解答していくクイズ番組。賞金はキャリーオーバーが溜まりに溜まって20億円。今回はミステリーヲタ大会とあって強豪揃い。

    問題小説、解答者の推理と交互に読んでいくと、少しずつもやもや感が…いったい何が起きているのか?推理小説の犯人は誰か、解答者から真実に辿りつける者はいるのか?

    解答者たちの推理は見事で、色んなトリックが出てきてとても勉強になる。どんな小さな記述をも見逃さず、そこからひとつの結論を引き出す。小説というより本格ミステリを読む時の参考書を読んでいるようだった。
    次に推理小説を読む時は私ももっとやれる!そう思えた。

    見事な多重解決、本格ミステリーへの愛を感じた作品でした。

    ただ、すべての人にお勧めできるかというと微妙かも。私はちょっと思っていたのと違って…司会者に品がなく好きになれなかったのも大きい。

  • 作中作のミステリーの犯人を早押しで当てる推理バトルもの。
    年末の国民的特番という設定でどこかきな臭い現実世界と、出題問題であるクローズドミステリーが交互に展開される。莫大な報奨金は一番早くトリックと犯人を論理的に推定した人の総取りということで、物語の序盤からどんどん解答者の推理が披露されていきます。
    自分自身は(邪道かもしれませんが)ミステリー小説を読む時にはあまり推理をせずストーリーを楽しむタイプなので、トリックや犯人を自分で推理しながら読む人たちはこんなにも用心深く文章を読み解いているのだなと感心。
    各解答者の推理はどれもそれらしく聞こえて、でも次の章でその理論が覆されて…その繰り返しで2つの世界を行き交うことでミステリーの奥行きがどんどん深くなっていきます。(同時にどんどん状況が怪しくなる現実世界…)
    ミステリー小説という世界を構築するときに、犯人とトリックが先にある場合と、無限にある可能性をひとつひとつ無くしていって最後に残ったものが真実であるとする場合の2つがあるのかな。
    この本では特に後者の世界の作り方を意識させられました。
    ミステリーの奥深さと作家さんの偉大さを感じた一冊。

  • 推理闘技場というテレビ番組の問題としてミステリーのテキストが順次披露され、それに回答する形で犯人を当てるという流れで話しが進む.司会者の樺山が大げさなナレーションで番組を進める.ミステリー研OBOGが鞠子の別荘に集まる年次会が最初の場面.丸茂、文太、ヒデ、紗耶加、恭子、三郎などが最初に集合する.程なく鞠子の死体が発見され、話しが展開する.回答者が次々に推理を展開して犯人を指摘するが、樺山とのやり取りが面白い.14人の回答者の推理はそれぞれ楽しめる内容だが、途中で「臓器くじ法」なる法律の話しが出てくる.最終的に意外な結末を迎えるが、楽しめる内容だ.

  • 151211読了。
    こういう結末かぁ。試みの面白さは認めるが、カタルシスを期待していた身としては少しがっかり。深水さんならでは、と思わんではないが。

  • とってもwkwkしたのですヽ(*´∀`*)ノ.+゜♪.+
    ここ最近は、wkwkする様な設定や状況のミステリでも、ちょっと結末が思ってたのと違う……ora とゆーの、結構あったのですよねあったのですよね(´Д`;)
    んがしかしヽ(〃Д〃)ノミステリーアリーナ良いのですね!!1
    ちゃんと伏線をいろんな角度で回収してて、しーなの好みの謎解きもちゃんとあったああああ(* ´ェ` *)
    なんとゆーか、霧舎の《開かずの扉》シリーズの解決編を最初から最後まで持ってきた感じヽ(〃Д〃)ノ大好物なのですよ!!1
    ただ……。
    ただ、結末がバカメタっぽくなってしまってるので、再読は……どうだろう……(*´・ェ・)当分良いかも。
    けど、お腹いっぱいになってかなり満足できたのです(* ´ェ` *)

  •  基本的に本は書店で買う派の僕が、たまにamazonを利用するのは、書店で見つけるのが難しそうなときである。深水黎一郎さんの新刊も、amazonで入手した。

     実は、本作だけでなく、前作『大癋見警部の事件簿』や、『世界で一つだけの殺し方』も、amazonで入手した。失礼ながら、これらの作品は一般受けはしないだろう。ライトミステリが好き程度では敷居が高い。本格マニア向けの作品なのだから。

     マニア向けの本は、当然ながらマニアにしか売れない。ビジネスとして見れば効率が悪いし、実入りも少ない。しかし、それでもマニア向けの本を書く著者と、刊行する出版社の心意気を、僕は愛おしく思う。買って読んで、少しでもこのジャンルに貢献したい。

     さて、本作はいわゆる多重解決ものである。犯人当ての年末テレビ特番に集う、十四人の猛者たち。見事犯人を当てれば一攫千金。早い者勝ちだが、一度解答するともう変えられない。この番組に恐ろしい裏があることは、終盤近くに明かされる。

     多重解決ものの難しさといえば、最初の方の推理は外れで、最後の推理が正解なのが見え見えということだろう。それなのに、おいおい、事件発生から間もないのにどんどん解答していくではないか。案の定、後から後から新情報が…。

     本作は、多重解決ものの難しさを逆手に取っている。十四人十四様の、裏読み、深読み、先読みに、唸らされると同時に笑わされる。その推理が外れかどうかは問題ではないのである。普通、ミスリードはいかにフェアに読者を引っかけるかが勝負だが、ミスリードとわかっていて読ませる、こんな作品がかつてあっただろうか。

     本格を茶化している面もあるだろうが、真剣に茶化している。古今東西、多くの先駆者たちがひねり出してきた、騙しのテクニック。本作は、そのすべてへのオマージュでもある。苦労の割に低く見られがちなこのジャンルの火が、どうか消えませんように。

     さりげなくテレビ批判している辺りは、ご愛嬌。

  • よくあるクローズドサークルミステリーからいきなりサイレントヒル2のエレベータークイズばりのノリの犯人当てクイズ番組に移行して、えっ??そういう話??解答者が次々と犯人とトリックを解答していくが次の展開で否定されていく繰り返し。解答者のトリック説には「そうはならんやろ!笑」なモノが多く笑ってしまった。司会者はクセが強くとにかくディスりまくりブラックジョーク満載でちょっと疲れたね。ミステリー小説には色んなトリックがあるんだねーと入門書にはいいかも。最後は…何も言いません。。(そうはならんやろ!)

  • ミステリ好きを逆なでしすぎてる。

  • これは…
    とりあえず考えるの大変そうだったけど
    楽しかっただろうな。
    だけどお話としては楽しめず。
    2015年にしちゃテレビの仕組みが古いな

  • これは中々評価が分かれる内容かなと。
    概要としては、年末特番(リアタイ!)で「参加者がミステリーを解いて賞金ゲット」な内容なのですが、まあ色々と隠されてるわけで…。

    ミステリ読みたいと手に取ったらトリック自体には不満が残る結果になります。消化不良というか。
    出題のミステリと参加者の回答が交互に来るのでテンポもいまいちですが、こういう作りは結構好きです。
    ミステリってこういう点に着目していくと違った世界が見えるんだなあとも。
    全体的にはデスゲームかなっていう雰囲気でした。

    ちょっと評価が上がったというか、共感した部分があるので引用しておきます。

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著者プロフィール

1963年、山形県生まれ。2007年に『ウルチモ・トルッコ』で第36回メフィスト賞を受賞してデビュー。2011年に短篇「人間の尊厳と八〇〇メートル」で、第64回日本推理作家協会賞を受賞。2014年、『最後のトリック』(『ウルチモ・トルッコ』を改題)がベストセラーとなる。2015年刊『ミステリー・アリーナ』で同年の「本格ミステリ・ベスト10」第1位、「このミステリーがすごい!」6位、「週刊文春ミステリーベスト10」4位となる。

「2021年 『虚像のアラベスク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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