図説 世界地下名所百科 イスタンブールの沈没宮殿、メキシコの麻薬密輸トンネルから首都圏外郭放水路まで
- 原書房 (2021年2月18日発売)


- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784562059072
作品紹介・あらすじ
カッパドキアの人々が戦乱をさけてつくりあげたトンネル都市、メキシコとアメリカの間にある麻薬密輸のトンネル、「地下神殿」こと首都圏外郭放水路など、世界中の地下の魅力的な名所のなりたちを、写真、地図を添え解説。
感想・レビュー・書評
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地表の上からは見えない地下の名所40か所を紹介。
第一部 自然の造形・・・ワイトモ洞窟、古代巣穴等、10か所。
第二部 古代・・・秦の始皇帝陵、クムラン洞窟等、等、10か所。
第三部 近代・・・クチトンネル、首都圏外郭放水路等、10か所。
第四部 現代・・・オタイメサ、ヘルシンキ地下都市等、10か所。
4~8ページの本文に様々な地図とカラー写真での構成。
参考文献有り。
洞窟は実に様々で、長い、深い、遥かな垂直の崖の上の開口部。
鍾乳洞、溶岩チューブ、迸る流れや川、泉。硫酸を含む水までも。
そこは、稀なる生物の住処であったり、信仰の対象。
生ける者、死せる者の住居でもあった。
生存のために、死者のために建築された地下の都市や遺構。
埋められた地下には、征服者の都市の下の古代遺跡や
ペストの猛威の痕跡。現代では墓地の不足も地下へ。
戦争や脱出のために人の手で作られた、トンネルやシェルター。
荒ぶる自然の驚異や気候変動に備えるための、
氷河の奥深くに設けられた世界種子貯蔵庫や、
世界各地の氷河から集められた氷床コアを保存する施設。
二酸化炭素の固体化(玄武岩)への実験は、希望に繋がるかも。
名所と言うのはどうかと思いますが、
その地下の場所の成り立ちや歴史等が分かり易い内容でした。
東京の台風事情も詳しく記述されています。
添えられる写真や地図も良い。
グアテマラシティの陥没穴の、ゾッとすること。
よくぞここまで判明した、驚愕のベトナム戦争時のトンネル網。
ただ、本文に記述された場所が地図に無いことが幾つか
あったのは、残念。ロンドンのペストピットも位置不明。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不思議と言われる場所は、数多くあるが地上のみならず、地下にも存在する。
古代から現代にかけて存在する世界の地下名所を案内するのが今回の本。
地下名所で思いついたのがメキシコの「セノーテ」だ。セノーテとは、メキシコ南東部のユカタン半島に点在する泉。
「世界ふしぎ発見」で以前、みたことがあるが、不思議な空間だなと思った。
現在の研究で、セノーテは独特の孤立した陥没穴の一種であることが判明した。
昔の人は、そんなことを知る機会もなかったので、民間伝承では、セノーテは冥界につうじる神聖な通路だとされている。
ロマンをかきたてる地下もあれば、恐ろしい地下もある。それが「オタイメサ」だ。メキシコとアメリカを結ぶ数十本の密輸トンネルだ。
メキシコ北部とカリフォルニア州南部の間の国境線上に、密輸業者が掘ったトンネルが2019年8月に見つかった。
この付近でこれまでに発見されたトンネルでは最長の1313メートルだ。大人が立って歩ける高さがあり、照明、換気設備、高圧ケーブル、不要な水を排出する仕掛けや両端にエレベーターを設置していた。
「白い粉」などの怪しいものがせっせと運び込まれた欲望のトンネルだな。
気になるといえば、ツイッター買収などで話題の電気自動車メーカー・テスラやロケット開発のスペースXの設立者イーロン・マスク。
2017年、「ボーリングカンパニー」と名付けた会社が、ラスベガス、シカゴ、ボルティモアなどの大都市の下にトンネルを掘って、最大速度250キロメートルで走ることができる事業に着手したと発表した。
建設中の区間と計画の区間が載っている。実際に使えるようなったら都市交通がどうなっていくのか気になる。 -
他の方の『世界のダンジョン』の感想からこちらへたどり着く。それぞれの洞窟にまつわる説明が書かれている点で『世界のダンジョン』より入り込める。「自然の造形」「古代」「近代」「現代」と時代ごとに分類されていて、ランダムに並んでいるよりは、スッキリした印象を受ける。ユカタンのセノーテの配置は、隕石衝突によりクレータに関して、論より証拠という感じの圧倒的説得力。洞窟というと横向きなイメージだけれど、ジョージアのベロブキナ洞窟とウズベキスタンのダークスター洞窟の縦方向の洞窟(2000m以上)は圧巻。半世紀燃え続けているというトルクメニスタンのダルバザ・ガスクレーターは想像しただけでも恐ろしい。願わくば地下の写真が各箇所もう一枚ずつくらい多くあったら、よりイメージが膨らんだかも。
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簡単な説明で終わっているのが、実に惜しい…実際に行ったことのある場所もあり興味深い。