ブックセラーの歴史 知識と発見を伝える出版・書店・流通の2000年

  • 原書房 (2022年2月24日発売)
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感想 : 10
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  • 本 ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562059768

作品紹介・あらすじ

古代から今日に至るまで、時代・国を超えて知識と情報を獲得し、思考と記憶を深めるツールとして人々の手を伝わってきた書籍という商品について、どのように人から人へと伝わり、交換・販売されてきたのか、その歴史をたどる。

感想・レビュー・書評

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  • ブックセラーの歴史 - 原書房
    http://www.harashobo.co.jp/book/b599197.html

  • ちょっと文章が読みにくかったです。期待してた感じではなかった。
    地名や店名や人名の羅列が多いし、重要そうな語句の解説も省かれてるし(なのである程度のフランスの歴史や書誌学の基礎知識がいりそう?)、ジャン=フランソワ・ファヴァルジェの移動ルートくらい地図があったら良かったかも。
    反ドレフュス派is何。→ドレフュス事件
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%95%E3%83%A5%E3%82%B9%E4%BA%8B%E4%BB%B6
    これかぁ。ジャコビアンはうっすら知ってた。英ジェームズ1世の時代ね。
    図版、あるにはあるんだけど挿絵程度の物で、文章の解説に役立つものではなかったので雰囲気は良かったけど若干マイナス。
    大部分はフランスでの話だけど、始まりはギリシャ・ローマ、中国からユダヤ世界イスラム世界、中世ヨーロッパ。そして現代のフランス事情。
    スーパーマーケットの上はハイパーマーケットだったのね。郊外型の大型商業施設。

    古書販売は相当昔からあったんだなぁ。
    ギリシャ人解放奴隷で自分の主人の朗読係。それから写字師。
    1世紀の書籍商は柱に巻物の広告をくくりつけて宣伝していた。
    ポンペイの書店は白い壁に赤字で発売日や再販予定を書いていた。
    紙というアドバンテージがあったので、本格的な書籍商は4世紀の中国は長安に誕生。
    現金での売り買いの他に現物交換も。古典、医学書、暦、仏教経典など。
    行商の書籍商は本以外にも紙、墨、筆、糊などの文具類も取り扱っていた。
    宋や元の時代に重要な大都市(北京、南京、蘇州、杭州)でおおむね月一回、決まった日に書籍市が開かれていた。
    イスラム圏の書籍はコーランが最重要。美しいカリグラフィーの発展と共に。
    千夜一夜物語にも出てくるハールーン・アッ=ラシードの命令で紙(羊皮紙よりも傷つきにくく偽造されにくい為)が強制的に使われることに。
    十字軍由来のキリスト教圏とイスラム教圏の文化面の競争。

    飛んで17世紀には王宮の城壁内で大手の書籍商が店を出していた。
    中にはシテ宮、宮殿大広間などにも。
    パリの他リヨンも出版の重要な地。
    小間物商や雑貨屋も兼ねる書籍行商人。
    18世紀にヨーロッパ各地で発生した貸本図書館(キャビネ・ド・レクチュール)。
    年会費、あるいは月会費を支払うことで書店の目録に登録している本をその場で読んだり、借りて家に持ち帰ることもできた。
    ブッククラブというのもあって、こちらは会員による推薦と承認が必要な若干閉鎖的な物。社交が大事。
    戦時下に娯楽を奪われたパリ市民が貸本図書館(貸本屋)に殺到した。
    当時の大図書館は名士や学者向きで一般大衆向きでは無かったため。
    19世紀新聞連載した八折判の小説が一冊あたり7.50フラン、三巻で22.50フラン(現在の価値で100ユーロ以上、2021年時点で約1万3000円)。
    その後1853~55年に1つの小説を全巻購入したとしても1フラン(現在の価値で5ユーロ、2021年時点約650円)で済むようになった。
    1853年以降、フランスでは鉄道が普及すると駅の図書館という店名のキオスクが新しい本の流通網となる。
    この流通網はイギリスの鉄道駅で雑誌や新聞、書籍を置いている一角を見て、それにならったルイ・アシェットが始めた。
    現代でもアシェット・コレクションズ・ジャパンなどのグループ構成企業に名前が残っている、大元の人!

    シャルルさん、スペイン人女性と結婚したことからカルロスと呼ばれるようになる。
    そんな事あるのね…。
    スペイン人女性の名前がフランス読みになるみたいな、逆パターンはないのかな?

    『世界の書店を旅する』は邦訳出てた!これは読んでみたい。
    書店のあり方が多様化しているのに一部のフランス人は書籍売り場に近寄らないままでそれが全国的な傾向というのは、日本もそうだよなぁと。
    フランスのフナックは書籍も扱う大型量販店(家電、ゲーム、映像、コンサートチケットなども)。
    ラング法は書籍を定価で売ることを定める法律(ただし小売店は値引きは5%以内で可。
    これができるまで大型店舗では2~3割引で本を売ることが可能だった。
    2014年には反amazon法と呼ばれるインターネット書店が送料無料での書籍を販売することを禁止する法律も可決された。
    本屋へ行け、行くのだ!って圧を感じる(笑。
    まぁ実際amazon進出で大手の書店チェーン店が倒産してるので、笑い事ではありませんが。
    日本も本屋さん減ったものねぇ。

    ビアリッツの伝記ブックフェア、コニャックの推理小説祭、サン=マロの毎年特定の国を取り上げてその国の本を紹介する美しき異邦人たち(レ・ベル・ゼトランジェール)というブックフェア。
    テーマ性の高いブックフェアおもしろそう。
    オンデマンドに特化した書店。
    エスプレッソ・ブック・マシンという製本機能のある印刷機でデータベースに登録されている300万冊の本から選んだ1冊を、コーヒーを楽しむ時間で印刷できる。
    日本では三省堂書店が2010年に導入。
    https://www.books-sanseido.co.jp/service/ondemand/
    印刷業者さんのレポ
    https://magazine-k.jp/2010/12/20/on-demand-publishing-at-bookstore/
    機械が空いてれば10分くらいというのは早い。
    今は楽天やヤフーでも注文できるそうだけど、タイトルは限られているので…。
    オンデマンド印刷はAmazonのをやったことがあるけど、印刷の質にこだわらなければまぁ。
    お値段も高めだけど、そこでしか買えない物しか買ってないのでしょうがないかなって感じですねぇ。
    絶版の手芸本なんかバンバン登録してくれてもいいんですよ?とは思う。
    だいたい入手に苦労するような値段まで跳ね上がってることが多いですし。
    流石に60pに満たない本を7~8千円かけて古本で買うのはきついので、2千円程度でオンデマンドで出してくれたら普通に買うわぁ。

  • テーマ:本の本

  • フランスで書かれた本。他の国についても書かれていないわけではないが、やはり主にフランス国内の書籍流通の歴史について述べられている。署名は「”フランスの”ブックセラーの歴史」がより実際を反映していると思う。
    当然ながらフランスの書店や出版社等の固有名詞が多く登場し、それらに馴染みのない読者としてはやや退屈だった。

    本書の記載によれば、書籍流通が今日のような形になるまでには紆余曲折があり、また地域による違いも大きかったようだ。
    印刷技術が発展し、出版行為が比較的容易になってからも、出版社や書店が徐々に発展するといった単純な方向性にはならなかった。書籍や出版は時として政治に規制されたり利用されたりしやすいために、一時的に書籍流通が発展しても、政治の規制によって衰退してしまうといった歴史をたどったらしい。
    そして、こういった歴史も、たとえばフランスではナポレオンの政治の影響が大きかったりしたので、他の国でも同様だったと一概にいうことはできないようだ。

    また、ヨーロッパでも、一般庶民が書籍を保有するということは、第二次大戦頃まであまり一般的ではなかったらしい。本を持っているのはお金持ちで、庶民の本のアクセスは図書館が主だったということのようだ。今日一般的な公共の(無料の)図書館とは異なる、貸本図書館という形態がヨーロッパでは広がっていたらしい。

    庶民が本を手にする機会を図書館に多く依存していたというのが本当だとすると、以前に読んだ『あの図書館の彼女たち』という本の見方も変わってくる。
    これは第二次大戦時にパリにあった図書館が、命の危険も顧みずに市民に図書を届けていたという実話に基づく話なのだが、そもそも個人が書籍を保有するのが一般的でなかったという前提があるとすると、この活動が切実なものだったのだなと感じられた。

  • フランスでの書店や本の流通の歴史を記しているが、本の行商の件は、ふと内田洋子『モンテレッジョ 小さな村の旅する本屋の物語』を思い出す。フランスだけでなく、ヨーロッパだけでなく、アジアなども含めて各国の歴史を時系列でまとめたら、関わりももっと見えてきそう

  • フランス中心の書籍流通の歴史。国ごとの違いはあれど見えてくるものがある。印刷業と出版業と書籍商の近さとか。

  • ヨーロッパの書店や本の流通の歴史がわかる。

    昔は貴重品であり、プロパガンダ的な役割を担ってきた、第二次世界大戦前くらいは一般に普及していなかった、ビジネスとして大きな収益をあげていたなど、参考になった。分厚いが、サクサク読める。

    ジャンルは違うが、本が貴重だったことは『本好きの下克上』というライトノベルでよりイメージできると思う。

  • ふむ

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