アガサ・レ-ズンの困った料理 (コージーブックス ビ 1-1 英国ちいさな村の謎 1)

  • 原書房
3.52
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562060030

感想・レビュー・書評

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  • たたき上げの女性社長が引退して、美しい村に住み始めたが‥?
    コージーの新シリーズ。
    口が悪いけど不器用なヒロインで、一風変わった味わいです。

    広告代理店を立ち上げ、押しの強さでそれなりの評価を得てきたアガサ・レーズン。
    外見はごく普通。
    服装は上品で、見合うような話し方も出来るが、興奮すると地金が出てしまう。
    貧しい家を飛び出し、結婚相手が飲んだくれだったので離婚届をおいてここからも家出したという過去。
    コッツウォルズの村に家を買うのを憧れにがむしゃらに働き、53で早めの引退をして喜び勇んで移り住んだ。インテリアは人任せで絵のように綺麗な内装なのだが。
    住んでみた途端、何をしたらいいのかわからずに戸惑う日々がやってきた。
    ロンドンでの人付き合いはすべて仕事がらみ。
    元部下もあっという間にちりぢりで、かろうじて付き合いが続くのは一人だけだった。
    パブで会う村の男達は気がよくておごってくれるのだが。
    隣人のちょっと意地悪な女性とは、しょっぱなからいきなりやり合うことに。

    村で人気を取るために、キッシュ・コンテストで優勝しようと思いつき、ロンドンの人気店のキッシュを買ってきて出品。
    ところがそれを食べた審査員が死んでしまい、毒草が混入した事故と思われるが、アガサのいんちきはばれて赤っ恥。
    (とはいえ村では珍しくないことで公正なコンテストでもなかったらしいが)
    自分のせいだったのかと内心気に病むアガサは、もっと詳しく事情を確かめようとする。
    がさつだけど単純で、意地っ張りだけどどこか憎めないおばちゃんのアガサ。
    若い警官ビル・ウォンも、そんなアガサが悪い人ではないと気づいて、親切にしてくれる。

    何の罪もない気立ての優しい人もとばっちりでえらいことを言われたりするが、たちの悪い人間に立ち向かうには、アガサの大胆さはうってつけ。
    たちの悪い人間が、またけっこう多い村なのだった‥
    親切な牧師夫人も、アガサの行動力に期待するのですね。
    アガサのとんでもない言動もいろいろ続きそう。
    広告業界のやり方のパロなのかしら~共感するというのとはちょっと、いやかなり違うけど~距離をおいて眺める喜劇という感じ。
    じわじわと漂うユーモアで、面白く読めそうです。

  • アガサ・レーズン。
    元やり手PRウーマン。
    経営していた会社を人に譲り、小さな村にコテージを買って移り住む。
    料理はしない。友人なし。性格やや…いやかなり悪し。
    およそコージーの主人公らしくない女性。
    これがこの作品にはぴたりとはまっていて楽しかった。
    仕事をやめたことを後悔したり、自分を最大限に弁護してみせたり、ちょっと嘆いて反省したり、でもすぐ忘れたり。
    30代の女性では分からない”おばちゃんの”姿が描かれていて、たいそう共感してしまった。
    アガサを取り巻く村人たち、特アガサを心配して頻繁に顔を出すビル・ウォン刑事がいい味を出していた。
    このままアガサが性格悪いままでいてくれたら素敵なシリーズになりそうだ。

  • バーミンガムの労働者階級からPR会社の経営者になるまで数十年、がむしゃらに働いてきた、アガサ・レーズン。
    53歳になり、子どもの頃から憧れていた、英国郊外の美しい村にコテージを買って、引退生活をすることに。
    張り切って美しい村、コッツウォルズにやってきたものの、隣家の独身女性は感じが悪いし、村の人々は挨拶程度でお茶に呼んでくれる様子もない。
    疎外感から、アガサは地元のキッシュ・コンテストに出場を決める。優勝すれば、誰も私を無視できないわ、と。
    料理から縁遠い生活だったアガサは、人気店のキッシュを買って応募するけれど、優勝は地元で連勝中の女性に。
    更に、翌日、キッシュ・コンテストの審査員の男性がアガサのキッシュを自宅で食べて、亡くなっていた。

    主人公がもっと若いと思っていたので、ビックリ。その辺りもマープルを意識しているのかなあ。
    英国郊外のセント・メアリ・ミードのような小さな村に、 都会のやり手キャリアウーマンがやってきた訳で、アガサのごりごりな押しの強さにヒヤヒヤしたり、疎外感、孤独な様子に悲しくなったり。
    ずっと鬱々な展開で、凹む。痛々しいし。
    もっと穏やかでのんびりと、料理したり園芸したりするお話かと思い込んでた。
    展開もドタバタで、アガサは気は強いし、行動力はあるしで、終始、思っていたのと違う…。
    ラストは少しだけほっこりなんだけど、次からはもう少し穏やかな田舎生活が描かれるんだろうか。
    それとも英国郊外も今はもうのんびりとなんて出来ないのかなあ。

  • 読み始め…16.7.3
    読み終わり…16.7.5

    英国一美しいコッツウォルズの村で憧れの隠居生活を始めたアガサ・レーズン。なのによそ者扱いされてなかなか馴染めずにいたところ、地元開催のキッシュコンテストに応募して親睦をはかろうと思いつく。けれどアガサは料理が大の苦手。そこでアガサは人気店のキッシュを買ってちゃっかり応募してしまうというズルをする...。そして事件は起きた。

    PR業界の第一線を53才の若さで辞したアガサ・レーズンは「電子レンジの女王」の異名を持つほどの料理下手なばかりでなく、口も悪いし掃除も苦手で不器用という自己中なおばさま。なのにどこかしら素直でまっすぐな心が見え隠れしているように思えるから憎めないのです。それでいて大胆に振舞ってくれるものだからもう愉快愉快♪

    起こった事件にアガサが真っ向から立ち向かうというわけではなくて、アガサが村の人たちといろいろ関わっていくうちに事件の真相がだんだんと見えてくる...というストーリー展開。アガサ・レーズンの破天荒ぶりが楽しくて好きです♪

  • 辣腕なPR会社社長のアガサは引退してコッツウェルズに住むことに。仕事ばかりの社交生活を送っていたため田舎の町になかなか馴染めず、周囲の尊敬を得るためにキッシュの大会に参加します。料理経験のない彼女はロンドンで購入したキッシュを出しますが、それを食べた審査員が死亡。ますます居心地が悪くなってしまい…。
    他のコージーだったら真っ先に殺されそうなタイプのアガサが新鮮です。地元の人にとってはよそ者で、友達作りも下手くそで、口も悪いしお隣さんとは早々に対立。本当は不安も恐怖もあるのに意地っ張りでプライドが高いから、表に出さない。そんな彼女が手に入れたわずかな人間関係を通じて村に馴染んでいく様子が、小学校の転校生のようでほほえましい。その一方、彼女の勢いのよい啖呵は爽快です。彼女のなかで渦巻いていた毒が一気に吐き出され、こちらまですっきり。仕事で培った経験をいかしてバザーを仕切る場面には、そこまでやるか!とただただ感心するばかりです。
    殺人事件の犯人はほぼ心象から確定されているのですが、決定的な証拠をどうやって得るかがポイント。さすがはパワフル直球ヒロイン、犯人との直接対話の道を選びます。そこでもアガサらしさを十分に発揮。万全の対策をもって挑んだはずがどこか抜けてたり、でも実はそれがいい方向に転んだり。事件やトリックではなく、いかに主人公が解決していくかを楽しむコージーらしさを堪能できました。

  • PR会社を引退し、美しい田舎町で隠居生活を始めたアガサ・レーズン。押しが強く他人を思いやる気持ちゼロな彼女はもちろん周囲になじめるわけもなく・・・
    こういう共感し辛い主人公かなり好みです。改心なんかしない。慈善の心に目覚めるわけでもない。あくまでアガサ・レーズンとして徐々に田舎町になじんでいく様子は爽快で痛快。今回はミステリ部分がちょっと唐突に感じましたが、シリーズものらしいので彼女の魅力と様々な事件をまだまだ味わえるのが楽しみ。イギリスの物語でタイトル(邦題ですが)に料理がついてるので予想はできますが、いたるところに“素敵な”料理描写があるのも魅力です。

  • このコージーブックスの中で一番面白かったです。主人公が変人すぎます。平気で泥棒したり、みんなにも嫌われてたり。第二弾も楽しみです。だんだん村になじんでいくのかな。

  • アガサ・レーズンシリーズ第一弾。
    元PR会社経営者のちょっと、いや
    だいぶずーずーしいオバさん、アガサ・レーズン
    彼女がコッツウォルズ地方の素敵なコテージを買い
    隠居することから事件がはじまる。

    小さなコミュニティでの本音と建前
    そしてお世辞にも"ナイスミドル"ではない彼女
    地元民とうまくいくはずもなく…
    何と彼女が持ち込んだキッシュで
    村の重要人物が死ぬのだ
    警察の捜査で事故と認められたものの、
    最悪の結果で普通なら村を逃げ出すはず…
    と思いきや、彼女は自ら(頼まれもしないのに、笑)真犯人を追い詰めていく

    あちこち探したけど電子版がなく
    A◯AZONでまとめ買いしようとしたけど…
    う〜ん、しなくてよかったかな
    どうしてもアクが強すぎる主人公に感情移入できず 泣

  • 英国ちいさな村の謎<1>

    アガサ・レーズンの第1作目。
    シリーズものとは知らずに、先に読んだアガサ・レーズンの話が面白かったので、1作目から読もうと借りてみた。なぜ、コッツウォルズに来たのか、どんな仕事ぶりだったのかなどがわかり、スッキリ!
    話自体はサクサクと読めるので、疲れずに気楽に読みたいときに良い。また次作も読んでみよう。

  • PR業界を早期引退し、英国一美しいコッツウォルズの村で、憧れの隠居生活をはじめたアガサ・レーズン。
    しかし、ちいさな村でよそ者あつかいされてなかなか馴染めずにいた。
    そこで目にした地元開催のキッシュ・コンテスト―優勝すれば一目置かれ人気者になれるかも?
    料理下手で「電子レンジの女王」の異名をもつアガサは“ちょっとだけ”ずるをして、ロンドンの人気店のキッシュを買って自作として応募することに。
    ところが優勝を逃した上に審査員が彼女の出したキッシュを食べて死んでしまった!
    名誉挽回のために素人探偵に乗り出すが―コージーミステリー。


    あとがきにもあるけど、アガサの強引だけどたまに気弱になって反省する姿が憎めない。
    主人公が料理しないのも、だけど冷凍ディナーが頻繁に出てくるのもお国柄なのね-
    だんだんと簡単なものから料理にチャレンジして、生活も田舎に馴染んで変化していくのが分かって、そこも面白かった-
    詮索好きだけど排他的、田舎暮らしの良し悪しがよく書かれてるわ-
    田舎暮らし、と言いながらも結構、首都や郊外に出掛けてるアグレッシブさ。
    チャリティーやボランティアとか面倒なことも馴染むためには必要なのね…これもお国柄だろうけど。
    元部下や警官との友情めいたものも良いな-
    牧師の妻がいちばん曲者だと思いました。
    新たな隣人と、とどまることにしたアガサと子猫のこれからも楽しみです-

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