書籍修繕という仕事: 刻まれた記憶、思い出、物語の守り手として生きる
- 原書房 (2022年12月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562072439
作品紹介・あらすじ
壊れかけた本をそこに込められた思い出をそのままに修繕する「書籍修繕」。らくがきでいっぱいの絵本、何度もめくってバラバラになった辞書、祖母が何十年もつけてきた日記帳。今までもこれからも、大切にされてきた本が蘇る。
感想・レビュー・書評
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翻訳コンクール最優秀賞の牧野美加氏「韓国小説を読むと韓国が分かる」 : Korea.net : The official website of the Republic of Korea(2018.07.24)
https://japanese.korea.net/NewsFocus/People/view?articleId=161671
書籍修繕という仕事 - 原書房
http://www.harashobo.co.jp/smp/book/b617164.html -
面白かった。とても良かった。今年初の5つ星本。
本てやっぱり、物体であって物体じゃないんだよね、物体以上の何かなんだよね。過去や思い出だったり、未来だったりもする。修繕することで記憶や思い出を大事にするばかりか、本の「本生」をも思いやる著者の姿勢に、とても温められる。 -
書籍修繕家という聞き慣れないお仕事をされている方のエッセイで、本を愛するとはどういうことかを考えさせられた。傷や汚れのない状態で維持保管する方法もあれば、破れるほど何度も読んだ痕跡や、好きなお菓子を食べながら好きな本を読んでいた時間、落書きするほど手元に置いていた懐かしい日々など、その痕跡があればあるほど愛おしさが増すのだ。
そんな持ち主の思い出となる痕跡を大切にしながら、未来に思い出(本)を残すための修繕という、本への慈しみ深さが読者にもしみじみと伝わる文章で、どの分野でも丁寧な手仕事って尊いと思わされる。
読後、セロテープはダメ!蜘蛛には注意!と学ぶ。本好きだけでなく、古着やビンテージ・アンティーク好きにも刺さる本。 -
「この世を去り二度と会えなくなった人への悲しみや恋しさを埋めるのは、実に難しいことだ。いくら良い思い出で埋めてみても、その空白には何をもっても消せない悲しみや恋しさがいつも少しは残っているものだ」(亡きあとに残された本『カット図案集』p.58)
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週刊文春 2023年3月2日号 塩谷舞 評
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前田エマさんの紹介より
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人生とともに本生がある。本には子や孫、他者へと手渡すことで持ち主の人生より長い本生を過ごして欲しい。そのために本は修繕することができると知りました。紙の本は消滅するのであれば、紙製グッズの修繕をやる。例えは、アイドルフォトカード、バインダー、サイン入りポスター、LPジャケット。大切なものは本に限らない。手放す決断できることが生活スタイルになると長くものと生きることに目が向かなくなる。大切なものの扱い方を考える機会になりました。
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本の修繕を頼みに来る人々の本に対する愛情や思い、それを受け止めようとする書籍修繕家としての著者の思いを描いたエッセイ的な読み物。
本の修繕の過程そのものについてもっと読みたかった~という物足りなさはあるけれど、それぞれの本に対する思いがとてもあたたかくて、やっぱり紙の本ていいよね、って思える。 -
本好きが深まる本
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素敵だ!
不器用な私には絶対できないけど
こんな仕事をする人がいてくれて嬉しい。
書籍を中心に紙物の修繕を手掛ける
ジェヨンさんの元に持ち込まれるのは
おばあちゃんの日記帳や
代々使ってきた大きな辞書や聖書
コレクションのパンフレット
新婚時代のアルバム等々。
依頼主の意向に沿って
できるだけ昔の姿に近づけることも
新しい表紙をデザインすることもあって
一番いいなぁと思ったのは
本をインナーケースで櫃のように包み
それをスリップケースに入れて保管する修繕。
イメージを損なわず長持ちさせるのアイデア。
他の修繕の様子もひとつひとつ丁寧に
過程を教えてくれているけど
それにまつわるエピソードの違いもまた
愛おしいものでした。
https://t...
https://toyokeizai.net/articles/-/661288