熱力学: 現代的な視点から (新物理学シリーズ 32)

著者 :
  • 培風館
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784563024321

作品紹介・あらすじ

本書は、新しい構想にもとづく現代的な熱力学のテキスト・参考書である。熱力学をできるかぎり見通しよくかつ論理的に理解することを目指し、伝統的な方法とは異なるアプローチをとる。すなわち、マクロな仕事を主役にする操作的な視点から熱力学全体をとらえ、等温での操作(第二法則)と断熱下での操作(第一法則)をそれぞれ議論したあと、両者を統一する枠組をさがすことで、自然に熱力学の全体像に到達する。理解が困難といわれるエントロピーについても、「エントロピー原理」を中心に明解で生き生きとした位置づけを行なっている。初学者はもとより、すでに熱力学を学んだ読者にも深い理解が得られる最適な書である。

感想・レビュー・書評

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  • 田崎さん流に熱力学を原理から構成していて、自分には非常にわかりやすかった。熱力学は高等な数学を必要としないし、なんとなく解けはするけど。モヤッとしたもので、、、そう思っていたが、原理から構成されたこの書で改めて学んでみるとそのもやが晴れてスッキリできた。

  • エントロピーの定義に熱を用いていないのが神。仕事でHelmholtzエネルギーに迫るのが良い。熱力学をまなぶ任意の人が読むべき。

  • [鹿大図書館・冊子体所蔵はコチラ]
    https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA46191250

  • 【書誌情報】
    『熱力学――現代的な視点から』
    著者:田崎晴明(タザキ・ハルアキ)
    シリーズ:新物理学シリーズ32.
    出版社:培風館
    判型:A5変形
    頁数:316
    発行日:2000-04-12
    税込価格:¥3850
    ISBN:4-563-02432-5

     新しい構想に基づいてまとめられた現代的な熱力学のテキスト・参考書である。熱力学を,できるだけ見通しよく,より論理的に理解できるよう,従来ある体系の立て方とは異なる方法で解説している。すなわち,仕事を主役にした操作的な視点から熱力学の全体を見るとの行き方をとり,等温での操作(第二法則)と断熱下での操作(第一法則)をそれぞれ議論した後,両者を同時にとらえる枠組みを探ることで,一気に熱力学の全体像を構築する,という意欲的なまとめ方である。半期の議義には本書の前半部分を利用することで熱力学の構造とひと通りの応用を学ぶことができるよう,構成されている。
    [http://www.baifukan.co.jp/]

    ・著者のページ
    [https://www.gakushuin.ac.jp/~881791/td/]


    【目次】 
    1章 熱力学とはなにか
    1.1 気体の熱力学から普遍的な熱力学へ
    1.2 熱力学と普遍性
    1.3 この本の内容について
    1.4 数学についての約束

    2章 平衡状態の記述
    2.1 熱力学的な系の示量変数
    2.2 熱力学の視点
    2.3 操作について
    2.4 等温環境での平衡状態
    2.5 断熱された系の平衡状態

    3章 等温操作と Helmholtz の自由エネルギー
    3.1 等温操作
    3.2 Kelvin の原理
    3.3 力学におけるポテンシャルエネルギー
    3.4 二つのブラックボックス
    3.5 最大仕事
    3.6 Helmholtz の自由エネルギー
    3.7 圧力と状態方程式

    4章 断熱操作とエネルギー
    4.1 断熱操作
    4.2 エネルギー保存則と断熱仕事
    4.3 エネルギー
    4.4 理想気体
    4.5 環境との熱のやりとり

    5章 Carnot の定理
    5.1 最大吸熱量の比の普遍性
    5.2 Carnot サイクル
    5.3 Carnot の定理の証明
    5.4 熱機関と効率の上限

    6章 エントロピー
    6.1 エントロピーの導入
    6.2 エントロピーと可逆性、不可逆性
    6.3 いくつかの例
    6.4 エントロピーと熱
    6.5 エントロピー増大則
    6.6 複合状態のエントロピーとエントロピー原理

    7章 Helmholtz の自由エネルギーと変分原理
    7.1 Helmholtz の自由エネルギーの微分
    7.2 微分形式による表現
    7.3 Maxwell の関係式と簡単な応用
    7.4 変分原理と変化の向き
    7.5 つり合いの条件
    7.6 相転移と相の共存
    7.7 相図と Clapeyron の関係

    8章 Gibbs の自由エネルギー
    8.1 Gibbs の自由エネルギーの導入
    8.2 Gibbs の自由エネルギーの微分といくつかの関係式
    8.3 定圧熱容量
    8.4 Gibbs の自由エネルギーの性質

    9章 多成分の流体の熱力学
    9.1 多成分系の Helmholtz の自由エネルギー
    9.2 多成分系の Gibbs の自由エネルギー
    9.3 浸透圧
    9.4 Henry の法則
    9.5 希薄溶液における沸点上昇
    9.6 化学反応における平衡
    9.7 Nernst-Planck の仮説
    9.8 水溶液中の化学平衡
    9.9 濃淡電池の熱力学

    10章 強磁性体の熱力学
    10.1 強磁性体の扱い
    10.2 相転移と臨界現象
    10.3 Landau の擬似自由エネルギー
    10.4 スケーリング仮説

    A Carnot の定理の完全な導出
      A.1 簡単な場合
      A.2 一般の場合
    B エントロピーの一意性
    C 「熱浴」と温度一定の環境
      C.1 熱浴の構成
      C.2 吸熱量の測定
      C.3 等温操作の「可逆性」
    D 熱機関の効率の上限
    E 三重点について
    F 完全な熱力学関数のまとめ
    G 凸関数
      G.1 凸関数の定義と基本的な性質
      G.2 多変数の凸関数
      G.3 証明
    H Legendre 変換
      H.1 Legendre 変換の定義
      H.2 逆変換
      H.3 Legendre 変換の例
      H.4 証明

    索引

  • 学生購入希望で購入した図書(2019年度)
    【所在】3F開架
    【請求記号】426.5||TA

    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/187537

    これまでに学生購入希望で購入した図書の一覧は
    http://www.lib.tut.ac.jp/irai/kibo.html#konyu_kibolist
    こちらで確認できます

  • 熱力学(主に1元系)について、よくある教科書とは少し違った視点から書かれている本です。
    論理展開が明解で、理解しやすいです。
    ※扱う内容は講義「基礎熱力学」と同じですが、論理展開が異なります。授業の参考書、というよりは長期休暇など、余裕のある時に読んでみると良いでしょう。(マテリアル工学科)

    配架場所:工4号館図書室,工1号館図書室B,工2号館図書室,工6号館図書室
    請求記号:ad:T:01.00 ,020-0:T.15 ,420.8:Sh59:32 ,S2:S10:32

    ◆東京大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2001098045&opkey=B151018724409359&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=6&cmode=0&chk_st=0&check=0

  • 熱力学の入門書。コンパクトにまとまっており試験や統計力学を学ぶ前の復習に役立つ。

    理教科書 420.8||Sh59||32 11317982

  • 首尾一貫して美しい理論ほど、理解しやすいものはない。熱力学の教科書は3冊目だが、一気に物理の深みに達した気になった。

    還元主義的なアプローチに心惹かれていた私にとって、新たな物理を発見できた稀有な著書でもある。冒頭部分から打ちのめされた。

    エントロピーの導入までの筋道の堅牢さ、注の教育的配慮、新たな物理的概念の導入の必然性、これまで曖昧だったり、明らかに誤っていたりした説明への指摘、磁性体の熱力学の未解決問題の提示、付録の数学的道具の解説、演習問題とその解答の適切さなど、どこを取り上げても素晴らしいとしか言いようがない。

  • 他の多くの熱力学のテキストとは少し異なる記法やアプローチをしていて、初読だと読みにくかった。けれど、詳細なところまで書かれていて通読すれば理解を深められる1冊だと思います。

    http://www.lib.miyakyo-u.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=216270

  • 画期的な熱力学の教科書。等温操作と断熱操作による「仕事」に注目して、熱力学の全体系を見事に表してくれます。論理展開が極めて明快なので、迷わされることもなく、小説を読むかのごとく熱力学の美しい世界を味わえる貴重な一冊です。

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