雨、あめ (評論社の児童図書館・絵本の部屋)

  • 評論社
4.00
  • (80)
  • (68)
  • (55)
  • (9)
  • (2)
本棚登録 : 924
感想 : 108
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566002531

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • アメリカの郊外の雨の日の姉弟のいる風景。雨の日の愉しさがいっぱい詰まっている。長靴の中が水浸しでも怒らないお母さんがいいね。帰ってきた後の余韻もいい。

  • 久しぶりに行った、いつもの図書館の絵本の特設コーナーで展開していた、様々な『雨』の絵本に惹かれ、しばらく来なくてごめんよといったお詫びと、選書した司書さんへの感謝の気持ちも込めて、私が気になった雨の絵本を、いくつか紹介したいと思います。


    最初は、ピーター・スピアーの「雨、あめ」(1984年)です。

    裏表紙と繫がっている表紙の絵は、大雨が降る中、子どもたち以外、全てがかすんで見えるような、閑散とした寂しげな光景なのに、何故こんなに子どもたちは笑顔でいられるのか?

    それは、この絵本を読めば明らかになりますよ。


    もう見返しから既に物語は始まっており、そこには大きな横長サイズの本書一面に描かれた、パノラマ写真のような、様々な動植物たちや物質たちが、水彩の淡くも色鮮やかな柔らかい風合いの中で、こと細かく描かれており、そこで遊ぶ姉弟がなんとも楽しげに見えるのが印象的だが、まだ晴れ間が覗いているから、これはそんなに違和感無いかなと思いつつ、よくよく見ると、黒雲もひっそりと迫ってきている。

    そして、次の見開きでは、早速ポツポツと降り出してきた雨に、濡れるのが嫌な猫は、屋根のある方へ一目散に逃げてゆく。

    更に、次の見開きでは、子どもたちと犬も家に向かって駆け出して、これはさすがに家で遊ぶのだろうなと思った。が、しかし。

    なんと、ここから子どもたちは当たり前であるかのように、レインコートと長靴を身に付けて、意気揚々と雨の中、出掛けて行くではないか。
    また、それを笑顔で見送るお母さんも印象的だし、姉弟だけど、持っていく傘が一本だけなのも、さり気なく仲の良さを表しているようで微笑ましいし、それはページ一面に描かれた、姉弟のシルエットだけの絵にも、より強調されていて素敵です。

    さて、ここからは漫画のコマ割りのような大きさも様々な、時間と動きの見える展開で、姉弟の雨の日の楽しみ方を色々と教えてくれるわけですが、といっても、実はこの絵本、文字が全く無い文字通りの絵本な為、後は、それぞれで見て感じて下さいといった構成が特徴的で、文字や文章が無いだけに、読み手それぞれに姉弟のやり取りを想像できたり、隅から隅まで、こと細かく描かれた絵により注目することができて、雨の日の新たな一面を発見できる楽しさもある。

    それは、レインコートを着ているから、いくらでも水に触れ合えるところから始まり、軒樋から伝い落ちてくる雨を傘の中に入って受け流す事や、リアカーに溜まった水をぶちまけるといった、そんな些細な事にも見ていて楽しそうだなと感じさせながらも、雨の日の魅力は子どもたちの行動だけでは無くて、行く先々で出会う、思いも寄らぬ所で雨宿りしている動物たちや、見開き一面に描かれた、道に広がる雨の波紋の美しさ等、盛りだくさんです。

    その中でも特に、木橋の絵では、アヒルや白鳥たちの一羽一羽それぞれに異なる動きに気を取られていたら、橋の下で巣を作っていた鳥の営みも見られたり、右手に見えるベンチが次のページの伏線になっていたり、更には、同じ鳥たちを眺める場所が変わるだけでも違った味わいがあったりと、そんな一つ一つの絵に見えるストーリー性が面白くて飽きさせず、それは、姉弟が全く関わっていない物質だけの絵に、何かハッとさせられるものがあるのとも関係があるのだと思う。

    そして、雨の魅力は昼間だけに限らず、夜は夜で、光と影の織り成すコントラストが、何とも言えない儚さを感じさせられるし、雨が止んだ後に待っていた、幻想的なマジックアワーの、ふわふわとした異世界感漂う神々しい美しさも素敵で、最後の少ない色数で描き上げた姉弟の絵も、しっかりと私の目に焼き付けられて、それはまるで一日の始まりって、こんなに美しく希望と喜びに溢れたものなんだなと実感させられた、何かが始まる予感に満ちた世界の素晴らしさを、私に教えてくれました。


    本書の原題は「RAIN」。

    しかし、日本版のタイトルは『雨、あめ』と、何故か続けて書いている。

    ただ、よく見てみると、それは漢字とひらがなで、敢えて違う表記にしていて、おそらく、そこに含まれているのは、雨と聞いて連想するのが一通りだけのイメージでは無いんだよということであり、それはまさに、本書の姉弟が教えてくれた、
    『雨』と『あめ』のように、同じ意味であっても、表記を変えるだけで違った印象に感じられる、そんな斬新なものの見方を知ることで、「雨=ネガティブな気分」といった印象も、少し改めさせてくれるような、読むと雨の日も楽しくなるかもしれない、絵本ならではの、目に見える世界をきっと変えてくれる、夢のような現実の作品です。

    • たださん
      なおなおさん、こんにちは♪
      更なる更なる、お返事をありがとうございます(^^)

      オススメのお店、たくさんご紹介下さり、ありがとうございます...
      なおなおさん、こんにちは♪
      更なる更なる、お返事をありがとうございます(^^)

      オススメのお店、たくさんご紹介下さり、ありがとうございます。なおなおさん、可愛い手ぬぐいのお店、詳しいですね。私は、ひとつも知らなかったのですが(^^;)
      フェルト製のガーランド含め、是非、今後の参考にさせていただきます♪

      「給食アンサンブル」、確かにそうですね♪
      さわわさん含めた二回目も印象的ですし、最初のミルメークも楽しかったですね(^^) カルディは近くに無いけれど、せめて100均で探してみようかな。私の飲み方を可愛いだなんて、恐縮です。でも、子どもの頃は、それを何の躊躇いもなく、やってましたからね。たまにしか出ない貴重さもあったのでしょうね。

      それから『給食アンサンブル2』、読まなきゃと思ってたら、貸し出し中でした、残念(>_<)
      2023/07/08
    • なおなおさん
      たださん、こんにちは。
      今日も暑いですね。
      私、たださんの七夕のブックリストを見るまで、七夕のことはすっかり忘れておりました^^;
      よって、...
      たださん、こんにちは。
      今日も暑いですね。
      私、たださんの七夕のブックリストを見るまで、七夕のことはすっかり忘れておりました^^;
      よって、七夕のタペストリーやガーランドを飾るのも忘れました〜〜_| ̄|○ il||li
      この時期、毎年入れ替えるのですよ。梅雨と七夕のイベントが2つあるので。
      忘れたのはこのお気に入りの絵本と、このコメントで盛り上がったせい(お陰!?)です^^;

      「給食アンサンブル2」は一度借りて少し読んだのですが、期限が来てしまって返却してしまいました(T_T)またいつか借ります。
      2023/07/09
    • たださん
      なおなおさん、こんばんは。
      最近、急に暑くなってきましたよね(^^;)

      まあ七夕は、あまり家だけでやるイメージでは無いから忘れやすいのかも...
      なおなおさん、こんばんは。
      最近、急に暑くなってきましたよね(^^;)

      まあ七夕は、あまり家だけでやるイメージでは無いから忘れやすいのかもしれませんね。私はちょうど七月七日が仕事休みだったので、そういえば七夕だよなと気付いたのですが、せっかくのタペストリーやガーランド、残念でしたね(>_<)
      私達がコメントしている間に、天の川では織姫と彦星が会っていたわけですか(T_T)

      でも、せっかくの七夕のタペストリーやガーランド、来年まで仕舞っておくのも、何だかもったいない気もしますね。梅雨明け記念や旧暦で飾るなんてのはどうでしょう、なんて・・・
      2023/07/09
  • 雨の日の子どもたちの一日を描いている。
    文字のない絵本。キレイ。
    言葉は自由に想像して楽しめる。

    大人にも良い。幼き日に湧いた感情が呼び起こされた感じ。
    ここに出てくる姉弟(と思われる)が、遠き日の私たちのようだった。

    レインコートや長靴や傘が嬉しい…雨の日の特別な装い。
    雨の土の上、電線の鳥、蜘蛛の糸についた水の雫。
    車に水をはねられたり、水たまりに足を入れたり、風が強くて傘が反り返ったり。
    長靴が水や泥だらけになっても、母は怒らず笑って洗ってくれた。
    雨の日は、家遊びだって楽しい。お決まりの遊びがあるのだ。TV、トランプ、ブロックや積み木でごっこ遊び。なぜかこういう日は仲良し。

    弟との思い出に浸りながら読んだ。

  • 先日読んだ江國香織さんの
    「絵本を抱えて部屋のすみへ」で紹介されていた絵本。

    雨を描いているのに、とても明るく豊かな色彩で、子どもの頃、長靴を履いて飽きることなくずーっと外にいたことを思い出した。
    見開き一面に広がる雨の波紋。
    冷え切った体を温めるお風呂。
    ちょっと雑然としているけれど、温もりのある家の中。
    雨が上がりかけて、雲間に月がのぞく夜の景色。

    文字がなくても、これだけ見る者に語りかける絵本があるのだなぁ…。
    昔を懐かしく思いながら、何度も見返した。

    今年は甚大な豪雨被害や、日照時間の減少による農作物へのダメージなどがあり、あまり雨に対してポジティブな気持ちになれない…この絵本のような雨の風景が戻ってほしい。
    2020.7.12

  • 文字のない絵本。雨がふった日の、姉弟の日常が一コマづつたくさん描かれていて見ていて楽しい絵本。文字はなくても、絵から伝わってくる世界観だけで想像がどんどん膨らんでいく。
    この絵本は文字なし、それが◎
    ピータースピーアーの絵、すきだな。

    • りまのさん
      胡桃さん
      はじめまして
      フォローに答えて頂き、ありがとうございます!偶然胡桃さんの本棚をしり、あまりに素敵なので、いいね! が止まらず…。
      ...
      胡桃さん
      はじめまして
      フォローに答えて頂き、ありがとうございます!偶然胡桃さんの本棚をしり、あまりに素敵なので、いいね! が止まらず…。
       この「雨、あめ」の絵本、読んだことなかったのですが、この絵のポストカードを、持っています。若い頃務めていた画材店で、見本のポストカードを沢山貰ったのですが、その中にありました。素敵な絵なのです!

      それでは、どうぞよろしくお願いいたします♪
      2021/01/14
    • 胡桃さん
      りまのさん、はじめまして。

      こちらこそ~!細々としている本棚を見つけて下さりフォローしていただいてありがとうございます。
      コメントまで頂い...
      りまのさん、はじめまして。

      こちらこそ~!細々としている本棚を見つけて下さりフォローしていただいてありがとうございます。
      コメントまで頂いてこうしてお話しできたことがなによりとっても嬉しいです(*'▽'*)♪

      そんな嬉しいことを言っていただけるなんて、、嬉し涙が( ; ; )
      りまのさんの本棚もとても素敵でした!本心をくすぐられ読みたい本がまた増えてしまいました…>_<嬉

      この絵本の絵のですか?!すてきなポストカードをお持ちなのですね〜!!いいな♪
      りまのさんのところに渡ったそのポストカードは大切にしてもらえて幸せものです♡

      絵本も是非手にとってみて下さい、とっても素敵でした(^-^)! 雨の日に感じる心の動きが絵からよく伝わってきてなんだか楽しい気持ちになります。

      こちらこそ、よろしくお願いいたします♪
      2021/01/14
  • 新古品購入
    海外の絵本

    もうちょっと値が下がんないかなーなんて
    買い渋っていたところ
    談話室の「雨の日におすすめしたい本」に後押しされて
    やっとこさ買ってきた
    雨の絵本は他にもたくさんあるのだが
    大型の字のない絵本だからこそ
    印象に残った気がする
    もう見ているだけで楽しそう!

    下水に勢いよく流れていく水を
    ずっと無心で見ていた
    時には葉っぱを流したりして
    水の勢いに圧倒されたりしたのを
    私はすっかり忘れてしまっていた

    表紙をめくったらもう始まっていて
    まるでドラマか映画のように
    タイトルが入り
    作者の
    私の
    絵本を見た全ての人の
    いろんなことが楽しかったあの日が観れるのだ
    そうか 雨ってこんなに楽しかったじゃないか!

    私は心配性なのと
    その後のことばかり考えてしまって
    子どもたちには
    「雨の日はたいくつ」
    という思いしかさせていない
    自分の子どもにも
    こんな思い出を作ってやれるだろうか
    今からでも遅くはないだろうか?

  • 言葉のない絵本!
    私の大好きなピータースピアの絵本!

    のぞき込むように見いってしまいます!うん、あるある〜やってみたい!わくわくしながらページが進みます!

    そろそろ梅雨に入るのでしょうか?大人はどうしても憂鬱に感じてしまいますが子供は…レインコートを着て雨の降る庭へ飛び出して行くの大好きですよね!

    この絵本のように思いっきり雨の中を遊んで欲しいなぁ〜! 次の記事も読んでみてくださいね!遊びのヒントになると思います。(とべませんね〜

  • おおあめやおおゆきの日、装備して、えいっと外に出て交わってしまえば、解放感と、自然と一体になれたような喜びで高揚する。

    この絵本には文字が一切無いけれど、木々や歩道に当たる雨の音や子どもたちや犬の走る音が聞こえてくる。
    長靴に入り込んだ冷たい雨の感触や、窓を曇らす室内の暖かさを肌に感じる。

    雨の中でひとしきり遊んで、うちに帰ってぜーんぶ脱いで、ほかほかのお風呂に入って、さっぱり着替えてお部屋で遊ぶところがとっても好き。
    雨に洗われて庭の木々やおもちゃもキラキラ光ってる。
    いい匂いがしてきたぞ?そろそろ晩ごはんかな?
    ・・・雨の多かった郷里での子ども時代を懐かしく思い出しました。
    いつもそこに、見守る母や祖母や叔母がいてくれたことも。

  • 2歳8か月
    字がないのにすごく楽しそうに見る。

    世界が優しく綺麗でキラキラしてるように思える絵本。こんなお庭に行きたーい!住むとなると手入れできないしなぁ。

  • 2才11ヶ月。字のない絵本だけど、それぞれの絵が美しく細かく書き込まれているので見ごたえあり。ただ、うまい声かけが浮かばず親子でほぼ眺めるだけになってしまった…

    • workmaさん
      104さん
      2歳のお子さんと一緒に絵本を眺めていた…とのこと。すてきなエピソードですね。そのエピソードを読んで思い出したことがあります。
      ...
      104さん
      2歳のお子さんと一緒に絵本を眺めていた…とのこと。すてきなエピソードですね。そのエピソードを読んで思い出したことがあります。
      それは、よい絵本は、「絵が語っている」ということ。以前、自分が図書館の絵本講座に参加したときに、講師の方がおっしゃっていたことを思い出しました。
      ピーター・スピァーズさんの絵を ただ眺めている 親子…それこそ、一枚の絵 のようです。どうぞ そのままで。 104さんらしく、絵本の世界を楽しまれますように。すてきなエピソードありがとうございました。
      2022/02/14
全108件中 1 - 10件を表示

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
A.トルストイ
にしまき かやこ
モーリス・センダ...
エリック・カール
なかの ひろたか
ばーじにあ・りー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×