影 (あなたの知らないアンデルセン)

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  • Amazon.co.jp ・本 (65ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566021761

作品紹介・あらすじ

暑い国で、学者の「影」は一人歩きをはじめ、やがて恐ろしい結末へ。「影」とは果たして何者なのか、本当は何を見てきたのか…アンデルセンの作品中もっとも解釈の分かれる異色作を、デンマーク語からの新訳でおくる。

感想・レビュー・書評

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  • 影が人間に成り代わる話。
    暴力的な転換ではなく、一度はお互いに影なき主人・主人なき影として別れたのに、時を経てまた共に歩き始め、一緒にいるうちに立場が逆転していく流れがじんわり怖い。

    序盤の影がひとりでに動きだす場面の描写が好き。このわくわく感からずーんと落ちるラストがアンデルセン童話らしい…。
    影ならではの盗み見で知識と野心を得て饒舌になった影と、老い始め野心が弱まり受動的な中年になった学者。
    どちらがどうなるべきとも考える間もなく幕切れ。
    物語の「その後」に対する喪失感がいつまでも心に残りそう。

    イラストも非常に印象的。
    繋がれた人間の手足を、より大きな顔の笑った目口に見せてる場面がすき。

    短いお話なので是非一度読んでみてほしい作品でした。

  • 村上春樹さんがアンデルセン文学賞の受賞スピーチで取り上げた若い学者とその影の物語です。
    ある時独身の学者は向かいの窓への好奇心のために我が身から影を離してしまいます。
    その後一体何がおきるのか。
    影なき主人と主人なき影。
    衝撃的な結末を迎えて影とは一体何者なのか、疑問を投げかけてくるお話です。

    ペンネーム まめ

  • 影というものがメタファーとして何を指すのか?色んな解釈ができる面白い存在だと思う。
    そう考えると実はこの話がハッピーエンドかもしれないとかね。

  • 大人向け絵本。
    なんだろう、大人になったからこそ、
    その恐怖っていうのがわかるような感じ。

    そう、現実の世界の住人と
    虚像の世界の住人が入れ替わると
    こんなことになるとは思うけれどもね。
    でも、これに関しては救いようがないかな。
    交換してはいけなかったんだよ。
    残念だけど。

    そして最後は、夢が覚めるのです。
    つまり、それって…?
    なんか別のことが隠されていそう。

    人によってこの本は考え方
    色々出そうだよ…

  • 主従の関係が人間より影の方が上になってしまう話。アンデルセンの書いた怖い話。

  •  「まったくふしぎなこともあるもんだ。自分の昔の影が人間の姿になって現れるなんて」
    ――とてもとても暑い国で、寒い国から来た学者は、昔、失くした影に再会します。
     この学者は、この世の中の正しいことや美しいことについて研究しているのですが、昔、ほんの冗談まじりに言った言葉がもとで、自分の影を失くしてしまったことがありました。
     学者には、新しい影がはえてきて、別に何の問題もなく暮らしていました。影のことなんか、ほとんど忘れていました。でも、影はひそかにものすごく強い力を手に入れていたのです。何しろ影ですから、ほかの人たちがのぞけないようなところをのぞき、ほかのだれも見たことがないようなもの、見てはいけないようなものを見ました。だれにも知られてはいけない、けれどもだれでもが知りたがっていること、お隣さんの隠し事を知りました。それをもとにして、影は強大な力を手に入れたのです。
     結末は、衝撃的です。

     紹介しておいて言うのもなんですが、わたしは、アンデルセンがあまり好きではありません。でも、ひっかかるんです。読んだあとに、何かが心にひっかかって、読み終わったあとも、なんだかぶつぶつつぶやきたいような気持になるんです。
     「影」も、かなりブラックです。
     ひょっとしたら、読み終わってから、なんか気分悪い、読まなきゃよかった、と思うかもしれません。
     でもこの本は、自分でいることに疲れたときには、ちょっとおすすめです。心にひっかかって、大事なブレーキを踏んでくれるかもしれません。

  • 村上春樹さんのインタビューを読んで、図書館で見つけて読む。
    短いのですぐに読めます。
    ラストが怖い…。

  • おとぎ話で有名なアンデルセンがこんなブラックな内容の物語を書いていたというのは確かに興味深く面白い。しかし、自意識を獲得した影が本体に取って代わるって、そんな話、ドラえもんにもあったなぁ(笑)。影には陰性のダークなキャラクターがお似合い。陽気でラテン系なノリの影というのは想像しづらい(笑)。

  • 読んでみたら、この話知ってた。どこで読んだんだろう…初翻訳ではないらしい。どうせデンマーク語やるならアンデルセン読む目標で習えばよかったなあ。。。挿し絵が印象的。外国の方のイラストって、何がが違うのか解らんが、明らかにベースだか背景だかが違う。

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