新版 指輪物語〈6〉/王の帰還〈下〉

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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566023598

作品紹介・あらすじ

恐ろしい闇の力を秘める黄金の指輪をめぐり、小さいホビット族や魔法使い、妖精族たちの果てしない冒険と遍歴が始まる。数々の出会いと別れ、愛と裏切り、哀切な死。全てを呑み込み、空前の指輪大戦争へ-。世界中のヤングを熱狂させた、不滅の傑作ファンタジー。旧版の訳にさらに推敲を加え、新たに『追補編』を収録した「新版」です。トールキン生誕100年記念出版。

感想・レビュー・書評

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  • サムが幸せになってくれて良かった。

  • ああ面白かった。読んで良かった。なるほど過去の私には読めなかった話であった。今、読めたのも何かのお告げみたいに思います。
    ゴクリの最期はどこかで見たような気もしなくもない。立ち読みでもしたかな?
    余韻たっぷりで良かったです。どこか寂しさも残っていて。

  • 面白くて一気に読み終わってしまった。サムのフロドに対する献身的な忠誠心がいい。後味よく読み終えられたが原作も映画もフロドとサムの別れのシーンがとにかく切なかった。

  • いよいよ最後。

    キリス・ウンゴルの塔
    残りは後一冊。何かしら寂しい。もっと長く話が続けばよいのに。この所東京の夜景を見下ろすと(オフィスは高いところにあり烏がよくビルの周りを飛び回っているんだなー)、モルドールの国を眺めているような気がする。特に夕闇の中で遠く西を見渡すと、彼方にエフェル・ドゥアスが横たわり、その向こうにオルドルインがそびえ立っているのが見える。霧に霞む朝の都庁を見上げるとオルサンクの塔に見えてくる。病気だ。

    影の国
    フロドは何か変わってしまった。ただ運命のまにまに流されているようだ。シェロブの巣穴から逃れ出たときから既に崩壊は始まっていたのだろう。

    灰色港
    終わってしまった。また読もう。
    やはり、「ホビット庄の掃蕩」の存在が不思議な印象を残す。「家路」の後、「灰色港」に直接つなげても(ホビット庄に帰ってから灰色港に旅立つまでのホビット庄での簡単な後日談を追加して)構わないような気がする。ホビットの冒険でも単純なめでたしめでたしで終わらせなかった(話を冒険から現実に戻す)ことから、トールキンが最後にちょっと異質な挿話でこの物語全体に唯のファンタジーに終わらせたくない意思があったと考えられるが。
    ・ホビットは純粋無垢な存在でないこと。
    ・周りの世界と無関係に小さな平和を教授できないこと。
    ・小さきものにも勇気が必要であること。
    等など、いろいろ理屈を考えてみてもしっくりこないが、確かにこの章があったほうが良いという感覚は残る。フロド、サム、メリー、ピピンが旅で得たもの、成長した証しをただ単に語るよりも、サウロンとその一味に対抗する話で示すことで読者に強く印象を残すことができる。

    最後の寺島龍一さんの挿絵がとてもいいです。

  • 【配置場所】特集コーナー【請求記号】933||T||6
    【資料ID】10202968

  • 結局、去年中には読めずに、今年に入ってから読み終えました。

    けっこう意外だったのが、指輪を火の山に放り込むのが、物語の前半だったことですねぇ。
    でも、それから後に続くお話は、この長い長いお話の大団円にふさわしいものだと思いました。

    むかしよんだときの記憶では、フロドがエルフたちと行っちゃう状況は、とっても、重苦しいものだという印象だったのですが、もしかすると、そうでもないかも。

    「優しい心の贈り物である憐れみを軽んじてはいけない」

    というのは、今回、あぁ、わたしのモヤモヤとしていものを言葉にしてくれたセリフだなぁと思った。

    「不便でしたが、不幸ではありませんでした」

    という言葉が、あたかも、正解のように語られるたびに、

    「かわいそう」

    という言葉が非難されるたびに感じていた違和感。
    それが、ちょっとすっきりしました。

    不幸であるかどうかは、やっぱり、人それぞれの状況によって違ってくるのものです。
    ときに、人の同情が、人を救うこともあります。
    それを否定すると、なんだか、住みにくい世界になってしまうような気がします。

    優しさは、やっぱり、優しさとしてうけとめていきたいものです。

    さて、後は、追補編だけです。

    文庫本*1を持っているのに、わざわざハードカバーを買ったのは、この追補編を読んでみたかったからです。
    あとで、文庫で、これも出て、ちょっとショックをうけてしまいましたが……。

  • 第5巻ではまったく登場しなかったフロ・サム・コンビのその後から物語が始まります。  シェロブに襲われフロドが囚われちゃったところまでは第4巻で語られているので、この最終巻ではサムがフロドをキリス・ウンゴルの塔から救出するところからスタートし、指輪を廃棄し、そしてその後・・・・という流れが描かれます。

    最近では映画ばかり観ていたので、原作本の印象がかなり薄れちゃっていたんだけど、その「フロド救出大作戦」の過程でサムはかなりの頻度で指輪を使っていたことを今回の読書で再認識しました。  映画の方ではオークどもに取られちゃいけないとばかりに「ちょっと預かっただけ」っぽかったけれど、実際にはサムはただ単にちょっと持っていただけに留まらず、何度も指にはめていたんですよね~。  そうであればこそ、サムも「指輪所持者」の経験を持つものという流れになっていくわけで、これは結構重要なポイントです。

    と、同時に映画ではほとんど触れられることがなかった、実はガンダルフも「エルフの指輪所持者」だったというのが物語では描かれています。  エルロンドが所持していた3つの指輪の中では最強のヴィルヤ(風)、ガラドリエルが所持していたネンヤ(水)、そしてガンダルフが所持していたナルヤ(火)。  そして、その指輪所持者たちと共に、1つの指輪所持者だったビルボとフロドが灰色港から西方に旅だつことにより、いずれはサムにもその時が訪れることを暗示しています。

    そしてその指輪と指輪所持者の運命が描かれていることにより、映画の灰色港以降の中でサムやフロドのモノローグにあった「二つに引き裂かれる」とか「欠けることのない1つのもの」という言葉がずっしりと響いてきます。  そして極めつけが最後の最後にある、フロドのセリフです。

    私はホビット庄を安泰に保とうとした。  そしてホビット庄の安泰は保たれた。  しかしわたしのためにではないよ。  愛する者が危険に瀕している場合、しばしばこうならざるを得ないものだよ、サム。  つまりだれかがそのものを放棄し、失わなければならないのだ。  他の者たちが持っておられるように。  しかしお前は私の相続人だよ。  私が持っていたもの、持ったかもしれないものは悉くお前に残すからね。  それからお前にはローズがいる。  エラノールもいる。  (中略)  お前の手とお前の知恵は方々で必要とされるだろう。  もちろんお前は庄長になって、やりたいだけ勤めるだろう。  それから歴史に残る稀代の名庭師になるだろう。  そしてお前は赤表紙本の中からいろいろなことを読み、過ぎ去った時代の記憶を絶やさずに伝えるだろう。  そうすればみんなは大いなる危険を忘れることなく、それだけいっそう彼の愛する国を大事に思うだろう。  そしてお前はそうすることによって誰よりも忙しく幸せにやっていくだろう、物語の中でのお前の役割が続く限りね。

           

    KiKi はね、何のかんのと言ってもやっぱり映画の方は「娯楽超大作」であり、「ホビット庄、きれい♪」 「バトルシーン、すごぉい!!」「フロド、使命達成、良かった良かった」「スメアゴルも可愛そうなヤツだった」で終わっちゃっていると感じるんですよ。  でも、実はこの物語はもっと哲学的で、言ってみれば「人間性とは何ぞや??」とか「本当に守るべき大切なものとは何ぞや?」というような、考えるだけで頭が痛くなっちゃうような、メリーの言葉を借りるなら「高尚なこと」を感覚的に語っている物語のような気がします。

    だからこそ、映画では丸々割愛されちゃった「ホビット庄の掃討」が描かれていることに大きな意味があると思うし、そこで大活躍するのがフロドでもサムでもなくメリーとピピンなんだと思うんですよね。  マークの騎士であるメリーとゴンドールの騎士であるピピンはそういう意味ではやっぱり戦士で、ホビット離れしたホビット(旅の経験とエント水で得た身体的変化;要するにホビットらしからぬ身長の持ち主)で、人間やドワーフ、さらにはわずかに彼の地に残るエルフたちとの交流の中心的役割を果たしていくことになります。  

    これに対して、この指輪物語では大きな役割を果たしたフロドは隠居老人みたいに隠棲しちゃうし、赤表紙本を残すためだけに帰ってきた感じ・・・・・。  そして、図らずも指輪所持者経験を持つに至ったサムは灰色港から旅立った2人のエルフと1人の魔法使いがかつて中つ国で果たしていたのと同じような役割(中つ国に生きとし生けるものの導き手であり、美しいものを美しく保ち、メリーが第5巻で語った「高尚なもの」を守る役割)を担うことになったのではないかな?と感じるんですよね~。

    ロスロリエンでガラドリエルがサムにプレセントしたものが武器でもなければ映画のようにロープだったわけでもなく、「ガラドリエルが今なお与えることのできる恵みの土」だったこと、そしてモルドールへの苦難に満ちた旅の中でお料理セットを捨ててもサムが持ち運び続けたものがその土だったこと、そしてシャーキー(アイゼンガルドから落ち延びたサルマンのなれの果て)に蹂躙されたホビット庄復興の際にその土が果たした役割等々を思い返してみると、ひょっとしたらもっともエルフ的だった登場人物はサムだったのかもしれません。



    それにしても映画の(特に第3部「王の帰還」の)ガンダルフは扱いがちょっと安っぽくなっちゃったような気がします。  ミナス・ティリスでのアングマールの魔王(指輪の幽鬼のボス)との1対1の対決ではちょっと敵わない風情だったし、最後の最後、黒門出動を決定する会議の席ではアラゴルンにセリフを取られちゃっているし、サウロンの口との交渉でもアラゴルンにセリフを取られちゃっているし・・・・・。  ガンダルフはもっと偉大で中つ国の導き手で、ガラ様曰く「ガンダルフが今までしてきたことの中で何一つ必要のないものはありませぬ。」というほどの魔法使いで、アラゴルン曰く「サウロンの唯一の敵」で、木の髭曰く「最も力のある者」なんですけどねぇ。  そうであればこそ、物語の方でゴンドールからホビット庄に向かう道すがら、ガンダルフの言うセリフが生きてくると思うのです。

    「わしは今のところはお前さんたちと一緒におるが、まもなくいなくなるぞ。  わしはホビット庄には行かぬのじゃ。  ホビット庄のことはお前さんたちが自分で解決しなければならぬ。  それこそお前さんたちが今まで仕込まれてきたことなんじゃ。  お前さんたちにはまだわかっておらんのかな?  わしの時は終わったのじゃよ。  ことを正すことも、あるいは皆に力を貸してそうさせることも、もはや私の任務ではないのじゃ。」

    映画の方の主役はフロドで灰色港のシーンの主役もやっぱりフロドだったけれど、物語を読むとあのシーンでの主役は実はエルフのエルロンドでもガラドリエルでもなく、ついでに言えば1つ指輪の廃棄に尽力したフロドでもなく、ガンダルフだったんじゃないかな?と感じます。    



    それにしても・・・・・

    この物語はやっぱり良い!  何度読んでも良い!!  決して飽きないし、再読するたびに違うことを考えさせられます。  これだけ深い世界観の物語は今後出て来ないんじゃないかしら?とこの物語を読むたびに思うんですよね~。  読んでも読んでも読みつくした感に到達できない物語。  来年もまた、読むことになるんだろうなぁ・・・・・。

  • 完結編。

    内容の前半部分がフロド・サムによる指輪との決着。
    後半がその後の「めでたしめでたし」という部分のお話。

    前半の部分は緊迫していて楽しめました^^
    そして後半部分は少し退屈な感じはしたかな。その後の話しなため争いなども起こらず関わった人々がその後どうするのかを、指輪一行と別れるまでの部分を語っている。

    ただ、そのまま皆が家に帰りめでたしめでたしで終わらず、最後のホビットが帰った場面は面白かったです。
    成長したホビット達の活躍などまた読みたいものです

  • ブログにレビューを書きました。
    http://yo-shi.cocolog-nifty.com/honyomi/2003/05/6__87ff.html

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著者プロフィール

(1892-1973)オックスフォード大学教授。言語・神話への豊富な知識を生かして創造された別世界ファンタジー『指輪物語』は世界中に熱狂的なファンを持つ。他に『ホビットの冒険』等がある。

「2022年 『終わらざりし物語 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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