追放されしもの (クロニクル千古の闇 4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566024144

感想・レビュー・書評

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  • 今からさかのぼること6000年前の、北ヨーロッパの針葉樹の森が舞台の壮大な古代ファンタジー。
    解りやすい魔法などは存在せず、時に残酷な牙を奮う大自然を相手に生きてゆく力強い人たち。
    そこに根ざすものは、大自然への畏敬の念。
    自然を敬い、その恵みを享受し、感謝を怠らず、共存する人間の強さ。

    このシリーズも4作目に突入し、表紙はとうとう、レンが登場!
    可愛らしさと美しさの合間にいる、少女時代特有の表情がとても素敵。

    前巻で意志に反して刻まれてしまった<魂食らい>のしるしを、レンやフィン=ケディンにすら打ち明けることもできないうちに、トラクを快く思わないイノシシ族のアキに暴かれ、彼は<ハズシ>となった。
    ハズシは死者とみなされ、どの氏族から受け入れられることはなく、生存のための道具も食料も水すらも与えられず、その姿を森で見かけたら殺してもいいという厳しい掟。
    そしてハズシをかくまおうとする者もハズシと同じ扱いを受けるため、レンも表だってトラクを助けることができないでいる。
    森の奥深くへと追放されたトラクが<魂の病>に罹り、徐々に人間性を失っていく様子は読んでいて辛い。
    あのウルフのことでさえ、認識できなくなってしまうのだから。

    しかし、トラクは強かった。
    ウルフやレンとの絆、親族であるベイルはトラクの希望の光。
    古いものを壊していくのは、いつだって若い力。
    トラクの胸に忌むべきしるしを刻んだ<魂食らい>に心を支配されかけるたびに、彼らに助けられ闇の支配に抗いつづけたトラク。
    諦めなければ、いつか道は拓けるものだとその姿を見て思う。

    レンの秘密も明らかになり、物語はますます盛り上がりを見せる。
    あと残り2冊だけれど、この凍てつく森の世界から、まだ出ていきたくはないなぁ。

  • レンが表紙に!
    3巻で魂喰らいの印をつけられてしまったトラク。レンにもフィン・ケディンにも言えずにいたのに、トラクを快く思わないイノシシ族のマキに暴かれてしまい、トラクは氏族の掟により、ハズシにあう。すなわち、死者として扱われ、森などで出会ってたとしても命を狙われる。必要最低限の持ち物だけを身につけて、一人、森をさまようトラク。
    クサリヘビ族の魔導師セシュルは、トラクが父親から受け継いでいる筈のファイアーオパールの欠片とトラクを手に入れるために魔術をかけ、トラクをさらに孤独に追い込んでゆく。レンにも迷惑をかけたくない(ハズシをかばったものも同じ扱いをうける)、ウルフの事さえ認識できなくなり、オオカミを、森の全てに恐怖するトラク。
    それでも、これまでの巻でも、トラクが先に旅立ち、レンが後を追ってトラクを助けるのだが、今回はベイル(アザラシ族、トラクの血族)も斧頭の湖へ向かってトラクを助ける。


    少しずつ成長してゆくトラクとレン。ウルフはオオカミの群れと離れ、トラクとともに使命を果たす決心をする。

  • 毎回、いきなり初めから怒涛の問題が発生し、翻弄されてハラハラする。前巻で施されてしまった魂喰らいの入れ墨がもとで、すべての氏族から弾き出されて追放されてしまうトラク。庇おうとするレンにも、終盤、生まれた時から背負っていた業が発覚する。これまでは、トラクが生まれながらの使命と運命を背負い、レンはそれを助力する形だったが、ここにきて、一気に「当事者」となったかたち。それを踏まえて、これまでの巻を読み直すと見方が変わってくるし、今後の展開も少し違ってくるかもしれない。
    また、フィン=ケディンの思いも吐露され、トラクとの関係も変わりそうだ。ただ、トラクの両親に関しては、まだ何かありそう。

    それにしても、生存が厳しい6000年前の社会ではあり、掟があるので仕方ないこととはいえ、トラクの責任ではないのに厳しすぎる処置だと感じてしまうのは、現代人だからか。

  • 言いたくても言い出せないこと。
    言ったらすべてが変わってしまうかもしれない恐怖。
    言えない気持ちもわかる。なんで言ってくれなかった、と思う気持ちは、昔だったらわかる。となっていたかもしれないけれど、大きくなった今だと、しょうがないことだ。とも思う。
    レンちゃんの秘密はびっくりした(一度読んでるのになにもかも忘れている自分にもびっくりした)
    レンちゃんがどうしてこんなに、トラクを気にかけるのかも納得した。氏族の中でもひとりぼっちだったんだな…

    トラクが光と闇をさまようとき、ウルフもつらかったな。
    魔術、すごいな。不思議な力はきっとあるんだ。強い力をもったそういう人が、きっと今も、いるんだろうな。

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  • クロニクル 千古の闇 第4弾。
    前回、<魂喰らい>の入れ墨をいれられたトラクは、それが原因で、氏族から追放(ハズシ)されてしまう。逃げるトラクは、ひたすら存在を隠していくうちに、魂の病に冒されて自分をなくし、ウルフも捨ててしまう。<魂喰らい>とは、こういうことなのか?
    もし<名前の魂>が病に冒されれば……、もし病が<氏族の魂>を襲えば……、もし<万物の魂>が……。その不気味さが伝わってくる。

    トラクの<生霊わたり>を使った襲撃シーンも凄さも十分。(これは操られてはいたが)前回は、ただ、乗り移るだけととらえていたが、こうして獣を操作することもできるんですね。次回が楽しみです。

    レン、ベイルの助けもあり、<魂喰らい>セシュルを倒す。残りはあと2人。
    レンの生い立ち、ウルフの狼たちとの別れ、トラクの母親そして…、悲しい場面・考えさせられるシーンが続いた本作であるが、最終決戦に向けて、最後の大きな謎を抱えて、あと一息!

  • 人類が農業を発明していなくて、まだ狩猟でだけで生計を立てている時代。ワタリガラス族と一緒に暮らしているトラクは、前巻でつけられたある「印」を見つけられてしまい、すべての一族から追放処分を受けてしまう。ウルフだけを道連れにさすらうトラクは、「魂食らい」の罠にはまっていく……。
    タイトルから、ええー、と思っていたのだが、もっとええー!な展開。レンの秘密に至っては、あんぐり口をあけるしか……そんな前フリあったのか……これこどもが読んだらトラウマになりそうな話だなあ……。だんだん狂っていってしまうトラクはふびんだけれど、まあ、これも他人を信じられなかったゆえの必然なのかなあ……にしてもあまりにもひどい。今回はウルフ視点も大活躍で、しかも嫉妬してくれちゃったりしてもう萌えです(笑)。楽しかった。

  • レンの秘密が明らかになる回。
    全氏族から追われるトラク。
    やっぱりレンが大活躍。

  • 途中読んでいて苦しくなってきましたが、その分よくなっていった時の気分がよかったです。
    今まで気になる書かれ方をしていた部分ではっきりしたこともあるし、次の巻も楽しみです。

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