死の影の谷間 (海外ミステリーBOX)

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本棚登録 : 78
感想 : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566024236

作品紹介・あらすじ

放射能汚染をまぬかれた谷間で、たったひとり生き残ったアン。そこにやってきた見知らぬ男の正体は?-少女の目を通して、核戦争後の恐怖を描く傑作ミステリー。待望の改訳新版!1976年エドガー・アラン・ポー賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 読了。アマゾンプライムで見つけた映画の原作。映画は原作を見てから見ようと思ったので、まだ見終わっていない。でも映画と違うようだ。

    感動がなかったので星は四つだが、とても面白いディストピアものだった。少年少女向けの本らしい。(高校生まで向けか。)それゆえに過激な性描写や人殺しの表現が皆無で良かった。ハンガーゲームもこのジャンルの本なので、少年少女向けは私にとって(今年50のおっさんにとって)実に良いジャンルかも。

    話は世界最終戦争で人類が滅亡したあと。少女が住む谷は、気象の関係で放射能をまったく受けなかった。家族はほかの街を探索にいき、(おそらく)死亡し、かえってこなかった。そんななか、ある男性が放射能防護服を着てこの街にたどり着く。少女は世界に自分ひとりと思っていたところでこの男性の到着だったので、大いに喜び、内心乙女チックな想像もしたりする。しかし猜疑心の強いこの男性は、少女を支配しようとする。そして少女はこの狭い谷のなかで生き延びようとするが・・・。というお話。少女の日記のかたちで話は進む。

    ほとんどこのふたりしか出て来なかったが、世界の終わりを回想したり、外の世界を想像したりするところが、ディストピア的でぞくぞくした。またこの少女の故郷の谷が、ほかとはまったく違った放射能フリーの世界、楽園のような世界なので、少女の空想もアダムとエバの世界のように思えて少女に感情移入できた。

    タイトルは詩篇よりだが、原タイトルはZ for Zachariah。「ザカリアのZ」。訳者後書きにはバプテスマのヨハネの父のザカリアとしているが、預言者のザカリアであったろうと思う。バプテスマのヨハネの父はストーリーと絡まないのでそうおもったが、ザカリア書のザカリアはストーリー的に合うのかと言えば、そうでもない。
    著者はアイリッシュでカトリックの背景がある。それゆえ聖書の知識も曖昧である可能性があり、それゆえのタイトルかも知れない。内容には聖書の辛みがほとんどない。少女は信仰があるようだが、著者の信仰以上には描けなかったのか、まったく信仰的には見えず、聖書も祈りも、ほとんど知らない。(きっと著者と同じなのだろう。)

    その天はキリスト者的にはマイナスであるが、たいしたことではない。他の小説は大いにマイナスなので、むしろ信仰のある少女の生活が読めてGOOD。

    最後のほうでは少女がどんどん追い詰められる。狭い谷のなかでの逃避行だが、ぐんぐん引きつけられて読むのがやめられなかった。

  • クリス・パイン大好きなので出演映画の原作であるところのこちらを購入。試写会に行ったあと、直前に買ってあったこちらを読み始めたんだけど、読むの止まらなくてあっという間に読了してしまった…。
    これほんとに児童書?って思うくらい辛くて怖い話だった…。
    しかも40年以上前の作品なのにまったく古さを感じさせない。それだけ人間は進歩してないってことかと暗澹たる気持ちにもなる。
    昨日試写会の後に解説してくれた松崎さん(だったかしら?)が、「原作者はこの作品を完成させる前に亡くなられたので奥さんと娘さんが完結させた。ネタバレになっちゃうからあんまり言えないけど、それを踏まえて読むと興味深い」的なことを仰っていたんだけど、ほんと興味深い…。
    これどこまでが原作者の方が書かれてた所なのかな…。14章より先までは書いてたのかな…。
    児童書だけど、これ小学生の時に読んでたらトラウマになるわ…。
    読んでよかったとは思うけど心が重いです。

  • 映画「死の谷間」オフィシャルサイト
    http://www.hark3.com/shinotanima/

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    放射能汚染をまぬかれた谷間で、たったひとり生き残ったアン。そこにやってきた見知らぬ男。少女の目を通して、核戦争後の恐怖を描く。●エドガー・アラン・ポー賞受賞
    http://www.hyoronsha.co.jp/whatsnew/detail.php?detailID=1122

  • 図書館で何回も借りて読んでたけど、買いました。とても、とても考えさせられる内容です。アンはナウシカみたい。ワタシにはそー思えます。

  • 決してすっきりする読後感ではない。
    読み進める内に色んなものが次々と怖くなる作品だった。

  • 核戦争後、放射能汚染を逃れた谷間。主人公のアンはたった一人生き残った15歳の少女。畑を耕し、家畜の世話をして何とか冬を乗り越えたある日、遠くから見知らぬ男がやってくる。彼は敵か味方か…この本が震災の一年前に改訳されたこと、今手にとって読んだことに不思議な縁を感じます。(原書は1974年!)これは物語の世界だと思いながらも、防護服、ガイガーカウンター、ガンマ…など今や聞きなれた用語が出てきて、時々ふと現実と重なる部分がありました。アンのもとにやってきた男がどんな行動をとり、アンの生活、未来はどう変化していくのか。物語はアンが書いた日記によって明らかになっていきます。放射能も怖いけれど一番怖いのは極限状態に追いやられた人間の行動。ひたひたと迫る恐怖にドキドキしながらアンの行く末が気になり一息に読みました。若いのに我慢強く、逞しく、賢く、勇気ある少女アンを応援する気持ちでした。

  • 世界の中に生きている人間が自分だけかもしれないという状況の中で、主人公の女の子は随分落ち着いていて、そこが気になった。家族と別れて数カ月たっているとはいえ、まだ15歳なのに、随分建設的な生き方をしていると感じた。
    よく分からない男の人がやって来て、その人に対して家族のものだった様々な道具を提供してまで献身的に看病をしたり、体力を回復した男が挙動不審で、自分に対して攻撃的な行動をとることが多くなってきているのに、畑仕事を自分で全てやって家事も二人分こなすなど、私には考えられないほど献身的な主人公に、嘘臭さを感じた。
    ストーリー全体に、放射能に汚染された世界と汚染されていない谷、乱暴な男と無垢な少女というような、対立する概念が表わされていて、それが筆者の作為を感じさせるようで、あまり楽しんで読めなかった。
    描写されている谷はとても狭く、ストーリーが簡潔に展開するようになっているのではないかと思った。

  • 読んで良かった。科学者が偏屈に扱われるのは少し心苦しい。でも仕様が
    ない。神経衰弱なのは仕様がないのだとは思うのだけど、どんなときでも、
    礼節は大切にしないといけない。そう思いませんですかしらん。
    衣食足りて礼節を知る。この慣用が破綻するからハラハラする。のだと思う。
    未来に可能性を抱ける人に対する言葉なのかも知れない。

  • 生まれる前に書かれた面白い作品に魂を揺さぶられる喜び。
    核戦争後の世界を描いています。少女は強い。

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