闇のダイヤモンド (海外ミステリーBOX)

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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566024281

作品紹介・あらすじ

フィンチ家では、アフリカからの難民家族を一時あずかることになった。高校生のジャレッドは乗り気になれないが、妹のモプシーは大喜びで迎え入れようとしている。ところが、やってきた難民たちには恐ろしい秘密があった…。クリストファー賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 小さい娘を連れて図書館に行ったので、大人のフロアには行けず…ティーンズ向けの棚からミステリを一冊手に取った

    文字も大きくてやさしい文章。大人が読んでも味わい深いけれど、ティーンのうちに読んだらもっと感情移入もできて面白いかと思った。どうも大人側の心情が気になってしまう

  • 「なんだかあの家族怪しい」って訝しむばかりのパートがかなり長く、後半の風呂敷畳みのスピード感のバランスが少し悪かったのと、訳が堅くてこなれてない感じにしょっちゅう引っかかったけど、アメリカらしい気持ちの良さで読了できる作品だった。
    このシリーズはたいていそうよね。

  • アフリカからの難民を一時預かることになったアメリカのフィンチ一家。受け入れに前のめりな母と娘モプシー、受け入れたくない息子ジャレッド、関心があるのかどうか分からない父親。パソコンにインターネット、冷蔵庫にアイスクリームと知らない文化に戸惑いながら生活していくアマボ家の人々の様子と、彼らが隠し持つ秘密の中で物語が進んでいく。彼らと接する事でジャレッドの成長が一番大きく感じるが、果たして大人達はどうなのかと考える。

  • アフリカ難民を受け入れたアメリカ人一家が事件に巻き込まれるサスペンス。
     アフリカ人一家の一人一人もよく描けているし、善行を積極的に行おうとする熱心なキリスト教徒のアメリカ人の姿もリアル。特にアフリカでの過酷な体験のために、口がきけず、生きる力が奪われてしまった少女の姿は胸に刺さる。
     物語もよくできていて、最後まですらすらと読める。子どもにも薦めやすい。
     大人の目で読むと、凶悪なヴィクターもそうならざるを得なかった過去があったことを書いてほしいと思ったし、もうちょっとアフリカの難民がどのように生まれているのかという政治的背景もあるといいのに、と思う。アメリカ人が基本的に全員いい人というのもどうか、と思う。もちろん自分の利益など全く考えず難民救済に力を尽くしている人もいるだろうが、虚栄心を満たすため、表面だけいい人ぶっている人だっているだろう。本当の家族でなくても、両親役の夫婦が子どもたちをどう感じているかについても書いてほしかった。
     とまあ不満はあるのだが、YAだから、子どもたちはそんな風には思わず、スリルとサスペンスを愉しみ、悪者がやっつけられてすっきりし、難民問題についてもちょっとわかるという読み方をするだろうし、エンタメ作品だからそれでいいかという気もする。
     あくまでエンタメ、難民問題をもっとちゃんと考えよう、という本ではない。

  • 読み始めたら、やめられなくなり一気に読んでしまいました。
    アフリカからの難民者家族を引き受けることになった、アメリカの一家の物語。
    テーマは重いけれど、ヤングアダルト向け作品だからでしょうか、
    とても読み進めやすい作品でした。
    2008年エドガー・アラン・ポー賞ノミネート作品。

  • アフリカ難民家族を受け入れたフィンチ家の兄妹、難民家族の兄妹、そして難民家族に忍び寄る亡命者の視点を通して描かれた、いわゆる「血のダイヤモンド」をめぐる物語。

    実情を踏まえたアフリカ紛争難民の立場や、ボランティア大好きなアメリカ人気質がよく反映されているので、社会比較の点でも興味深かった。サスペンス仕立てで、物語としても最後までたたみかけてきて、一気に読める。

  • 生きることは戦いだった。
    生きるためには戦わなければならなかった。

    戦わなければ、生き残れなかった。

    そして今、戦わなくても生きていけると言われた。
    戦わなくても生きていける世界に来た。

    でも、そこにも戦いがあった。
    よりよく生きるための戦いが。


    ただ生きるだけで良かった、ただ生きていることが精一杯だったのに、「よりよく」なんて、世界が違いすぎる。

    でも、だからこそ、彼らは望むのではないだろうか、「よりよく」生きることを。


    私は…。
    戦うことから、逃げている。

  • ときどきイラっとくるぐらい正義感にあふれていて、あくまでも「正しい」道を歩もうとする、とても「アメリカ人的」な母がよく描けている。
    あれだけ受け入れをいやがっていたジャレッドの変化がややあっさりなのだが、それでもちゃんと心理的に筋は通っているし、受け入れられるマトゥが魅力的なので説得力もある。最後はサスペンス、アクションでひきつけられて、勢いよく読みきれる1冊。

  •  米国の高校生のジャレットの家にアフリカからの難民の家族が来ることになる。ジャレットと妹のモプシーは、それぞれ難民の兄妹と部屋をシェアすることになる。
     やってきた家族は、なんだかおかしい。内戦で腕を失くした父と母は訛りの強い英語、イギリス英語をきちんと話す兄のマトゥ、一言もしゃべらないやせっぽちの妹アレイク。祖父母の遺灰を持ってやってきた4人は、内戦の母国で苦労をしてきたとはいえ、どうもおかしい。
     アメリカでの生活に慣れていくにしたがい、徐々に真相がわかっていく。

     「アメリカは世界の正義」を信じる純粋なアメリカ人の父母。自分たちの善意を信じて疑いなく、難民家族に何の疑問も抱かない。高校生のジャレットは、最初から疑問を抱き、妹のもプシーも大好きになったアレイクを通して、難民家族への疑問を確信する。自由の国アメリカへ逃れてきた難民家族は、次第に追いつめられる。そして、最後にジャレットがとった行動は、まぎれもなく正義を信じるアメリカ人だったと言えるのでは。

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