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- / ISBN・EAN: 9784568201208
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原著は1957年の刊と思われる。
私が美術評論を読むのは久しぶりだが、同著者の『文学のマニエリスム』を読みたいと思っていて、その前身にあたる本書を先に読むことにしたのである。
主に16,17世紀の「マニエリスム絵画」を論じており、それはごく写実主義的な画風に比して、より「主観的」であり、情動的であったり、物語的であったりする。誇張や、しばしば奇怪な形状が際立っており、有名どころではエル・グレコとか、あとアルチンボルドの変な肖像画などがある。
著者によると、このような主観的表現の時代と客観的・合理的な表現の時代とが、文明史には交互に繰り返し現れてくるという。
マニエリスム絵画の系譜は、後のダリなどのシュルレアリスムやピカソなどにも引き継がれているということだ。
ちょっと変なものを好む私はたぶんマニエリスム派の人間で、音楽だと何に該当するだろう、と考えたが、古い時代だとジェズアルドやマショーが当てはまるだろうか。過度なロマン主義、表現主義もマニエリスムに傾いているだろうし、ちょっと奇抜な表現を好むモダニズム時代の音楽もこの系譜にあるかもしれない。
マニエリスム芸術の対極にある芸術上の巨人として、ホッケはJ. S. バッハを挙げている。
本書には多数の絵画が掲載されており、それらを眺めるのも実に楽しかったが、残念ながらモノクロで、形状はわかるが色彩の具合が分からない。ネットで探せば全部見つけられるのかもしれないが、大量なのでそれはかなり面倒だ。
芸術についての考えを深める上で、非常に有益な本だった。 -
高山宏を読んでたら、絶対に無視できないホッケをちまちま読んでるんだけども、ひとつだんだんとわかってきたのは、自分もまさにマニエリスト的だったんだなー、ということ。
例えばギターウルフ。漫画太郎。ボアダムス。ジョジョ。こういうのに共通するものにどう名付けたものか、と、いつも思ってたけども、マニエリスムを使ってよいのでは、と、思えてきた。
ラジオから聴こえてきたエルビス・プレスリーを聴いて、やがてジョン・レノンやポール・マッカートニーとかはロックをリバイバルしたけども、その裏には「ハートブレイクホテル」のエコー処理に聴き入ったブライアン・イーノもいたわけで、そこにもマニエラがある気がする。
デビッド・ボウイが、Iggy PopとLegendary Stardust Cowboyに見出して、Ziggy Stardustを産むに至ったものにも、クラシックでないものとしてのマニエリスム的なものがあったのでは。
Lust for lifeが素敵なのは、マニエリスムとクラシックが同居したからで。
ボウイがメジャーなカルトと言われるのは、マニエリスムに焦がれたクラシックだ、とか言いなおしてもいいのでは。
ボウイとイギーとの不思議な関係性を「相反するものの合一」そうもみれる。
ジョン・ケイルとルー・リードもか?
ルー・リードにメタルマシーンミュージックをつくらせたものの正体。
ジョンとポールも実はそうだったりする。ジョンこそ実はマニエリストになりたいクラシックで、ポールはクラシックができるマニエリストだったりもする。
ロンドンパンクからイギリスのポストパンクがうまれることやニューヨークパンクからノーウェーブがうまれること(断じてブロンディとかのニューウェーブではない)、クラフトワークやカンの裏にコンラッド・シュニッツラーがいること、トロピカリズモからTOM ZEがあらわれるような
Public Image Ltd.の2枚目や3枚目、The Pop GroupやMark Stewart、This HeatやCharles Haywardのドラム、Neuの2枚目、僕が聴いてたものはマニエリスムと受け取ってよいのではないかいな
そう、多分、ヤン・シュヴァンクマイエルや、それこそゴダールとかに10代の終わり頃、感じてたのも同じだ。
バロウズやジョイスやジュネや中原昌也やらに探してたものもそう
ボリス ・ミハイロフに惹かれるのもそうなのかもしれない。映画だろうが音楽だろうが写真だろうが、いつでも探してた共通の感覚。
Red KrayolaとかMayo Thompsonが大好きで、Captain Beefheartとかに痺れてる気持ちはマニエリスム的と言って良いんだよね?
そして気づいてしまった!
僕のまわりに優秀な人はいっぱいいるのに、どうしてもいつもものを作っていくときに違和感を払拭できなかったのは、僕のまわりにはマニエリストがいないのだろう。
無理にクラシックに考えようとすることで、いつも僕は言葉を選んで沈黙に至っていたのでは。
わーまさかの自己発見。 -
1012夜
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残念、未だ手に入らず。
グスタフ・ルネホッケの作品





