組織の盛衰: 何が企業の命運を決めるのか

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569539416

作品紹介・あらすじ

「成功体験」に埋没した戦後日本的組織は、このままでは衰亡する。硬直化した日本的組織の総点検と改善の具体策を提示し、新代の組織のあり方を提唱する。

感想・レビュー・書評

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  •  組織というものに焦点を当て、古今の具体例を引きながら分析・解説した一冊。

     組織というのは大きく分けて二つに分類されます。
     一つは、目標達成に向かって活動する機能体。そしてもう一つは、組織内での構成員の交流を目的とする共同体。
     組織というものは、機能体であるはずがいつの間にか共同体化し、そして衰退していく、というのがありがちな組織の一生です。

     この組織の一生を霞ヶ関の官庁に重ね合わせると、国益よりも省庁自体の利益を優先してしまう役所の体質にピタリと当てはまります。
     と同時に、僕自身、昨年度まである組織に属していました。が、この組織も見事なまでに当初の目的・目標を見失って共同体化し、内部でのコミュニケーションや「ためにする内部規律」が横行していました。(これを読んだときは苦笑せざるを得ず、程なくこの組織を辞することになりました)

     こういう、組織であれば大小を問わず妥当する原理や法則を見つけ出して指摘するところはさすがだよなぁ…と筆者の著作を読む度いつもうならされます。


     本書ではもっと細かく組織について分析し、その性質について論じていますが、ここで特筆すべきは、筆者の文章構成のうまさでしょう。パラグラフごとに総論と具体例の書き分けがきれいになされているのですが、レジュメチックなぶつ切り・切り貼りの印象は受けません。明晰に整理されてわかりやすいのと読みやすいが両立している文章のお手本と言っても過言ではありません。
     小論文が書けないと悩んでいる受験生や説得的な文章を書きたいと思っている人は、一度参考にしてみてもいいんじゃないでしょうか。

  • 組織の構造的欠点、合理性、非合理、頽廃について、するどく考察研究指摘している1冊となっています。役所や企業、会社、コミュニティに通っている方が読んでみたら、参考になるのではないでしょうか。とはいっても、人生経験の少ない人が読んでも、それほど思い当たる箇所は少ないかも知れません。というのは、社会で生きていくうえで、正論や常識(だと思っていること)では通じない感情の面、人間の性とか業とか、数学的でない面の人生経験をしてこを本書の内容に共感や学び気づきを得られると思うのです。

  • 備忘録
    •失敗の責任者は一人だが、成功の功績者は多数いる
    •豊臣家 成功体験に埋没し、成長志向と人事圧力にやられた例
    •共同体化を避けるため、定期的に組織の揺らぎを加えることが大事
    •生物は環境変化に対して、長所を強化して変化対応しようとする
    •組織の尺度は大きさ、固さ、強さ
    •組織は組織を守ろうとする。組織を作った人を守らない
    •組織の全体の手段を目的にしてしまう
    •ゲマインシャフト(共同体)とゲゼルシャフト(機能体)
    •組織づくりのプロは名前を隠す
    •トップの仕事。全体コンセプト明確にして目的を伝えること。基本方針の決定と伝達。総合調整。
    •参謀は能力大にして意欲小のものがベスト
    •補佐役は小さな問題を集めて対処•調整
    。決して功績。競わぬもの。ただし、次期トップではあり得ない。
    •組織がつぶれる原因
    機能体の共同体化、環境への過剰対応、成功体験への埋没
    •共同体は倒れる時は一瞬
    •前年比、他社比、予算比の3比主義。量だけを基準としたもの
    •ソフトフェア、ハードウェア、ヒューマンウェア
    •日本は根回し社会

  • ゲゼルvsゲマイン、組織論を語る上では避けて通れない概念。

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著者プロフィール

堺屋太一

一九三五年、大阪府生まれ。東京大学経済学部卒業。通商産業省(現経済産業省)に入省し、日本万国博覧会を企画、開催したほか、沖縄海洋博覧会や「サンシャイン計画」を推進した。在職中の七五年、『油断!』で作家デビュー。七八年に退官し、執筆、講演、イベントプロデュースを行う。予測小説の分野を拓き、経済、文明評論、歴史小説など多くの作品を発表。「団塊の世代」という言葉を生んだ同名作をはじめ、『峠の群像』『知価革命』など多くの作品がベストセラーとなった。一九九八年から二〇〇〇年まで小渕恵三、森喜朗内閣で経済企画庁長官、二〇一三年から安倍晋三内閣の内閣官房参与を務めた。一九年、没。

「2022年 『組織の盛衰 決定版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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