日本を創った12人 後編 (PHP新書 6)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569553894

感想・レビュー・書評

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  • PHP新書の005が「前編」、006が「後編」である。

    PHP新書が刊行されたのが1996年10月で、この「前編」「後編」の2冊セットがそれぞれ1996年11月と1997年6月に第一刷発行となっているので、ほぼPHP新書の刊行企画のラインナップとしてあらかじめ組み込まれていたのではなかろうか。

    当時はバブル崩壊直後であり、経済評論家としても著名だった堺屋太一さんのこのセットは増刷状況から見てもバカ売れだったように思われる。そんなバカ売れ本を当時読まずに、今頃読んでいるのも少々マヌケな気もするが、結果非常に面白かった。

    たまたまブックオフで保有していたポイントで「後編」のみを入手し、「後編」だけだと気持ち悪いので、「前編」をAmazonの中古本1円で買ったが「前編」は未読。

    著者が選んだ12人とは次の通り。
    聖徳太子、光源氏、源頼朝、織田信長、石田三成、徳川家康(以上「前編」)、石田梅岩、大久保利通、渋沢栄一、マッカーサー、池田勇人、松下幸之助(以上「後編」)

    実在しない人物も選ばれている。「後編」から読み始めたが、最初の石田梅岩は一般人にできない人選と感じる。しかし、元禄時代の「石門心学」の始祖は、ちょうど発刊当時のバブル崩壊期にマッチした人物のようだ。

    本書を今読むと、各歴史上の人物の功績をおさらいできるだけでなく、20年ほど前までの日本の政治経済の復習もできる。偶然この本を今読んで、二度美味しい気分だ。

    石田梅岩:
     日本人に「勤勉と倹約」の考えを根付かせた。
    大久保利通:
     日本に「官僚制度」を定着させた。
    渋沢栄一:
     日本的資本主義の始祖。個人主義の岩崎弥太郎と比較しながら、協調主義、合本主義の企業経営を日本に定着させた。財閥、業界団体など。
    マッカーサー:
     敗戦後の日本をゼロからアメリカ的国家として再建した。効率、平和、安全の定着。
    池田勇人:
     「所得倍増計画」による経済大国化への促進。
     GNP主義、規格型大量生産時代、爆発的な経済成長を日本にもたらした。
    松下幸之助:
     規格型大量生産時代の勝者。貧乏から大成功したジャパニーズドリームの体現で国民的英雄に。
    終身雇用制や日本的経営を創り出した経営哲学。

    いずれも、現代日本人の遺伝子的な要素を持つ人物が的確に選ばれているなと感じる。

    このあと「前編」へ遡っていくのも非常に楽しみだ。特に選ばれている「前編」の六人が、非常に魅力的に思えてくる。

  • この人は今の日本がキライなんやなとわかりました。
    個人的にはここで取り上げられてる石田梅岩や大久保利通や渋沢栄一は尊敬すべき日本人と思ってるのですがどちらかといえばライバルの個人主義を褒める形で落としてるように思います。
    まあ話的には面白かったので全く異論はないのですがσ^_^;

  • 後編。
    現代の日本の官僚制度と業界との癒着関係、年功序列と終身雇用制度、といった体質や勤勉さといった性質がなぜ形成されてきたのかが流れとしてよくわかった。良い意味でも悪い意味でも現代の日本を創ってきた偉大な人物であると思う。今作られてきた体質や性質は、その当時は良くても、時代の変化によって現在ではその体質が良くない状態であることも理解できる。そういう意味では長期目線で考えること、それを歴史から学ぶことに意義があると感じる。
    日本をよく知る上で良本だと思った。

  • 前編に続き、日本を創った「6人」の功績を讃える書。前編よりも時代が新しい偉人達が選ばれており、今の日本に与えている影響をより身近に実感できる。江戸時代の思想家である石田梅岩、「維新の三傑」のひとり大久保利通、渋沢栄一・マッカーサー元帥・池田勇人そして松下幸之助と、一気に昭和の成長期へと盛り上げる展開はまるで映画のよう。時を経ても陳腐化しない内容ということで、前編と併せて2006年に「文庫落ち」バージョンを出してもう一稼ぎと、さすがに経済官僚らしく「ちゃっかり」していた堺屋サンだが、惜しくも2019年に83歳で亡くなった。官僚出身でありながら、官僚手動の政治を厳しく批判し続けて「楽しい日本を創ろう」というメッセージを遺した。

  • 日本人の独創性
    日本は外来文化の熱心な受容者
    師の国を上回る
    聖徳太子の同時多宗教

    源頼朝の権力の二重構造
    日本においては過去が大きな存在

    変革の時代

    先人の生み残した何を守り、何を切り捨てるか

  • "日本の形を作ってきた歴史上の人物。
    堺屋さんが選ぶならこの人という人たち。
    渋沢栄一さんのところで岩崎弥太郎さんが登場する。龍馬伝という大河ドラマを思い出した。池田勇人総理大臣が経済大国の礎を作った。松下幸之助さんも登場。"

  • ここに出てくる人たちは
    良くも悪くも日本という国に
    影響を与えた人たちです。

    確かに、ある「時点」まではよい方向に
    私たち国民を導いていました。
    ところが、だんだんと歯車が…

    法律に関しても
    一部に関しては本当に
    どうして残っているんだ?というのが
    多々あります。
    (決闘罪とかね。まあ割りと
    最近つかまった人いるけど)

    そういう意味でも今こそ
    本当の意味で未来を見据えて
    先人たちの影響から
    悪い点は脱却する必要があるのかも
    しれませんね。

  • 倹約、勤勉、官僚、日本的経営等、国の特徴には歴史がある。
    特に石田梅岩の『勤勉に働くことは人生修行』との考えは多くの日本人に残っている。
    日本人の良い面と悪い面を語れるようになりたいと感じた。

  • 人物として興味のある人が名を連ねていたので、伝記物と思い購入。もちろん人物伝としても簡潔に紹介していますが、その人々が作り上げた組織、思想、システムが現代日本の様々な命題に直結しているのが面白い。タイトルの意味がよくわかりました。201308

  • 2012/10/6 No.7

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著者プロフィール

堺屋太一

一九三五年、大阪府生まれ。東京大学経済学部卒業。通商産業省(現経済産業省)に入省し、日本万国博覧会を企画、開催したほか、沖縄海洋博覧会や「サンシャイン計画」を推進した。在職中の七五年、『油断!』で作家デビュー。七八年に退官し、執筆、講演、イベントプロデュースを行う。予測小説の分野を拓き、経済、文明評論、歴史小説など多くの作品を発表。「団塊の世代」という言葉を生んだ同名作をはじめ、『峠の群像』『知価革命』など多くの作品がベストセラーとなった。一九九八年から二〇〇〇年まで小渕恵三、森喜朗内閣で経済企画庁長官、二〇一三年から安倍晋三内閣の内閣官房参与を務めた。一九年、没。

「2022年 『組織の盛衰 決定版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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