「対話」のない社会―思いやりと優しさが圧殺するもの (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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本棚登録 : 644
レビュー : 87
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569558479

作品紹介・あらすじ

「何か質問は?」-教師が語りかけても沈黙を続ける学生たち。街中に溢れる「アアしましょう、コウしてはいけません」という放送・看板etc.なぜ、この国の人々は、個人同士が正面から向き合う「対話」を避けるのか?そしてかくも無意味で暴力的な言葉の氾濫に耐えているのか?著者は、日本的思いやり・優しさこそが、「対話」を妨げていると指摘。誰からも言葉を奪うことのない、風通しよい社会の実現を願って、現代日本の精神風土の「根」に迫った一冊である。

感想・レビュー・書評

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  • この国では「他人を傷つけず自分も傷つかない」ことこそ、あらゆる行為を支配する「公理」である。したがって、われわれ日本人は他人から注意されると、その注意の内容がたとえ正しいとしても、注意されたことそのことをはげしく嫌う。

  • 「対話のない社会」は中原先生のブログで紹介されていたもの。今から10年以上前に書かれたもので、哲学者の目線から『対話』ってことを書かれている。
    中原先生と長岡先生の「対話する組織」の中で定義されている『対話』と、中島先生の定義は一見全然違うもののようだけど、本質はいっしょ。


    中島先生がおっしゃっている「1対1の関係」、中原先生たちは「一人称で語れ」となるし、中島宣がおっしゃる「相手との些細な違いを大切に、それを発展させる」は、中原先生たちは「対話によって他者理解をすることは自分自身を理解すること」と書かれている。


    対話・・・言葉にしちゃうとかんたんだけどなかなか実践するって難しい。空気を読んだ、いい人を装う『会話』や、ビジネスシーンで相手を徹底的にうちまかそうとする『ディベート』はいろんな場所で訓練されている。けど、自分の言葉に責任を持って、それこそ「人生を丸ごと背負って語る」なんて、なかなか覚悟がなければできないよなぁ・・・


    それにしても、同じ対話をテーマにしている本で書かれていることの本質は一緒なのに読後感がこうも違うのはなんだろう???


    冒頭の「私語をする学生たち」では、執拗なまでに学生に自分の言葉、自分の考えを語れ、そして私とコミュニケートせよ、と迫る。
    劣等生のあたしには発言できずに黙ってしまう学生の気持ちがよーくわかる。でも中島先生は「わからないことをわからないと主張せよ、でないとコミュニケーションが成り立たない」とばっさり。
    わかってるんだけどね、でも、言葉を理路整然と並べること、意味をつなげること、それが凡人には何より難しい


    それにしても、中島先生、摩擦係数の高い人だ
    駅前の違法駐輪を取り締まらないからと言って、自転車なぎ倒したり、教授会に遅刻してきた同僚にぴしりと物を申したり(やんわりとくぎを刺されたことに対しても真っ向から反論するんだもんな~)・・・なれあいの社会のなかではさぞかし生きにくいだろうなぁ・・・と思いつつも、日和見主義の凡人からは、中島先生の信念を貫くかっこよさがまぶしい。

  • 最初、大学教授の愚痴が書かれているのか?などど思って読んでしまったが、現代社会の「対話」の無さを心から嘆き、うやむやにせず、自己責任においてきちんと発言している中島さんの勇気には敬服した。

    大学教授は、(勝手な思い込みだけど)事なかれ主義の人が多いのではないかと思っていたが、ここまで真摯に自分の仕事に取り組み熱心に行動している人はなかなかいないのではないだろうか!

  • えーと4年前に買った新書でございますが、電気通信大学で教鞭をとっておられる著者の鬱憤が四方八方に爆発した、大変に面白い、しかし真面目な本でございます。

  • 中島義道氏は対話を必要としているが、日本社会では対話が成り立たない構造になっている。
    そのことについて半ば立腹しながら対話について考察している。中島氏のこの愚直さは良い。
    たが、結局のところこの国の対話が成り立たない構造は変わることはないだろう。無理に相手に対話を望むことは残酷なことである、とつくづく思うばかりである。
    むしろ私は、対話がない故に発展した部分を考えることも重要かな、と思うのだが。

  • 「優しさ」は暴力だということを知れる。 日頃心の中に思っていた疑問を非常に明瞭に意識することが出来た。冒頭の学生の私語に関する具体的な説明によって、いかに日本人が言葉を信用していないか、また、いかにそれを恐れいてるかを知ることが出来る。ある学生は教授に注意されたとき、それに無言で対応する。そして、後で教授の部屋の入り口にある標識を暴力的に破壊する。完全に言葉によるコミュニケーションを無視している。また、後半「やさしさ」の暴力性について語る。日本で言われる優しさとはつまり利己的な行為であり、それを行うことにより自己の安全保障をしようというのである。優しさがないと言われることが全人格的に抹殺されると言うことが起こりうる社会で、倒れそうな老人のためにいかにも暴力的な男に席を譲ってもらえないかとたずねることが出来るだろうか。
    灰谷健次郎を批判的な視点で見つめているのもよい。
    著者が考える対話の基本原理がとても面白い。一つ例をあげると、(11)自分や相手の意見が変わる可能性に対して、つねに開かれていること。あなたは理解することができるでしょう。

    先日、あるコーヒーショップで私は誤って禁煙席で喫煙をしてしまった。となりでこちらを見ている視線が感じられる。視線をずっと送ってくる。そちらの方を見てもただにらんでくるだけである。とうとう、彼は怒りだし大声でここは禁煙席だ!と私に怒鳴った。これは何を意味しているのか、私だって好き好んで禁煙席で煙草を吸っているわけではない。どうして、一言注意をしてくれなかったのか。コミュニケーションの断絶を感じる。この本はとてもよい本だ。

  • エッセイのようだった。日頃のカゲキな哲学実戦(誤字でない)に驚いた。対話の意義とそれを育む対立の必要性、そしてそれを閉ざす日本的風土について繰り返し論ずる。対話の重要性は同意である。社会的風土のすぐなる改善は難しくともまずは身近から、と思う。

  • 読了。

    学生時の講義で使用した本の整理で出てきたので再読。
    内容覚えてないけど。なんの講義だったかも覚えてないけど。

    言いたいことはわかるが過激だなと思った。
    確かにルール違反者に対して過保護なのはどうかと思うけど。

    20年ぐらい前の本なので当時は周囲が何も言わないことに怒り心頭だったのかもしれないけど、今の時代なら過激なクレームつける人がいるから筆者も住みやすかろうと思う。

    学生時に読んだ私はどう思っていたのか今となっては知る由もないが、多分当時も過激なこと言うねと思っていたかな。
    (190611)


  • 1997/10/29、1997/11/13 read up

  • kindle価格:600円。中古激安。

    日報より

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著者プロフィール

1946年生まれ。東京大学教養学部・法学部卒業。同大学院人文科学研究科哲学専攻修士課程修了。ウィーン大学基礎総合学部哲学科修了。哲学博士。専門は時間論、自我論。「哲学塾カント」を主宰。

「2019年 『ウソつきの構造 法と道徳のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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