- Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569562810
感想・レビュー・書評
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尊皇史観は同調圧力で、反体制史観は思想のための歴史流用に過ぎない。日本人は生活において実利を追求する傾向が強いにもかかわらず、ものの考え方には合理性を欠くところがある。明治維新における攘夷(じょうい)から開国への変わり身の早さが日本人の政治態度をよく示しているように思う。たぶん「祭り的体質」があるのだろう。
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『陸奥宗光』(下巻) 画像がありません。
ここで終わるの? と思わず叫んでしまった。本書は陸奥宗光が国事犯として入獄し、出獄後の外遊・帰国で終わっており、その後の明治政府での活躍までとどかない。
著者の膨大な資料引用と活用には脱帽するばかりだし、著者の博識さ教養の深さにも驚くばかりである。英語は当たり前だしフランス、ドイツも言語ばかりではなく歴史や思想史。はては東洋史や漢詩にも造詣が深いとなれば、正に「教養人」とはこういうものかと感嘆する思いである。
しかし、日本が朝鮮半島から大陸へ進出した歴史の疑問を紐解こうと日清戦争時の外務大臣「陸奥宗光」を読んでいて、出獄外遊帰国で「完」では不満が募るばかりのみである。本書の資料を駆使した内容が明治の空気を味あわせてくれたことを慰みとするだけである。あー続きが読みたかった。
2016年11月読了。 -
怒濤の後半の人生 泣けた
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明治維新前後に活躍した偉人陸奥…かと思いきや、外務大臣として名を成すまでには藩閥政治の中での苦労も耐えなかったようだ。
徹底した功利主義・合理的手段を重んじた陸奥は、一般的には冷たいエリートとして認識されているが、自分にはなんといわれようとも信念を貫く一貫性が見えた。当時はやっていた自由民権運動やコミュニズムについても「国民の幸福や国益という第一の目的を見失い、本来は手段であるはずの政治体制のありかたを第一の目的に摩り替えてしまっている」と批判。
こうした冷静な見方が逆に敵もつくったんだろうな。自分は陸奥のような人間にはなれないが、一本筋の通った姿は尊敬できると感じた。
坂本竜馬というカリスマを失った後の日本を、政治家たちはどう動かしていったのか?筆者が外交の専門家ということで、現代的観点からの解釈、現代の政治との比較などが満載。陸奥の人生録というだけでなく、政治論としても楽しめる。
著者プロフィール
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