- Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569562810
感想・レビュー・書評
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「陸奥宗光(下巻)」岡崎久彦著、PHP文庫、1990.11.15
526p ¥760 C0123 (2023.02.13読了)(1990.11.09購入)
【目次】
13.蛍雪功の 三たび
14.再出発
15.条約改正問題
16.入閣
17.初期議会時代
18.元勲内閣
19.条約改正成る
20.大日本帝国時代の幕開け〈日清戦争その一〉
21.開戦外交〈日清戦争その二〉
22.日清戦争の政戦略〈日清戦争その三〉
23.三国干渉〈日清戦争その四〉
24.陸奥の死―その後
エピローグ 春の雪幻想
参考文献
解説 谷沢永一・渡部昇一
☆関連図書(既読)
「伊藤博文 知の政治家」瀧井一博著、中公新書、2010.04.25
「条約改正」井上清著、岩波新書、1955.05.20
「日清戦争-東アジア近代史の転換点-」藤村道生著、岩波新書、1973.12.20
「日清・日露戦争」原田敬一著、岩波新書、2007.02.20
「閔妃暗殺」角田房子著、新潮文庫、1993.07.25
「韓国併合」海野福寿著、岩波新書、1995.05.22
「韓国併合への道」呉善花著、文春新書、2000.01.20
「陸奥宗光(上巻)」岡崎久彦著、PHP文庫、1990.11.15
「隣の国で考えたこと」長坂覚著、日本経済新聞社、1977.11.17
「戦略的思考とは何か」岡崎久彦著、中公新書、1983.08.25
「国家と情報」岡崎久彦著、文春文庫、1984.08.25
「情報・戦略論ノート」岡崎久彦著、PHP文庫、1988.05.16
「情報・戦略論ノート Part2」岡崎久彦著、PHP研究所、1990.02.02
「繁栄と衰退と」岡崎久彦著、文芸春秋、1991.06.30
「新しいアジアへの大戦略」岡崎久彦著、読売新聞社、1993.06.03
「クーデターの政治学」岡崎久彦・藤井昭彦著、中公新書、1993.09.25
「国際情勢の見方」岡崎久彦著、新潮社、1994.03.15
「悔恨の世紀から希望の世紀へ」岡崎久彦著、PHP研究所、1994.07.29
「国際情勢判断」岡崎久彦著、PHP研究所、1996.02.08
「日本にアジア戦略はあるのか」岡崎久彦・中嶋嶺雄著、PHP研究所、1996.12.05
「国家は誰が守るのか」岡崎久彦著、徳間書店、1997.03.31
「中国発の危機と日本」長谷川慶太郎・岡崎久彦著、徳間書店、1998.04.30
(「BOOK」データベースより)amazon
欧米の議会政治の本質を学び帰国した宗光は、第二次伊藤内閣の外務大臣となり、懸案であった英国との条約改正を成功させる。その9日後、日本は日清戦争に突入。宗光は、英・米の干渉を排した開戦外交を展開、さらに、三国干渉をすばやく収拾し、見事な外交手腕を発揮する。国内における国際主義と国権主義の相克の中で、常に世界に視点を置き、日本の行く末を見据え続けた政治家・陸奥宗光。本書はその後半生を描きあげた大作評伝の完結編である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
尊皇史観は同調圧力で、反体制史観は思想のための歴史流用に過ぎない。日本人は生活において実利を追求する傾向が強いにもかかわらず、ものの考え方には合理性を欠くところがある。明治維新における攘夷(じょうい)から開国への変わり身の早さが日本人の政治態度をよく示しているように思う。たぶん「祭り的体質」があるのだろう。
https://sessendo.blogspot.com/2019/01/blog-post_8.html -
『陸奥宗光』(下巻) 画像がありません。
ここで終わるの? と思わず叫んでしまった。本書は陸奥宗光が国事犯として入獄し、出獄後の外遊・帰国で終わっており、その後の明治政府での活躍までとどかない。
著者の膨大な資料引用と活用には脱帽するばかりだし、著者の博識さ教養の深さにも驚くばかりである。英語は当たり前だしフランス、ドイツも言語ばかりではなく歴史や思想史。はては東洋史や漢詩にも造詣が深いとなれば、正に「教養人」とはこういうものかと感嘆する思いである。
しかし、日本が朝鮮半島から大陸へ進出した歴史の疑問を紐解こうと日清戦争時の外務大臣「陸奥宗光」を読んでいて、出獄外遊帰国で「完」では不満が募るばかりのみである。本書の資料を駆使した内容が明治の空気を味あわせてくれたことを慰みとするだけである。あー続きが読みたかった。
2016年11月読了。 -
怒濤の後半の人生 泣けた
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明治維新前後に活躍した偉人陸奥…かと思いきや、外務大臣として名を成すまでには藩閥政治の中での苦労も耐えなかったようだ。
徹底した功利主義・合理的手段を重んじた陸奥は、一般的には冷たいエリートとして認識されているが、自分にはなんといわれようとも信念を貫く一貫性が見えた。当時はやっていた自由民権運動やコミュニズムについても「国民の幸福や国益という第一の目的を見失い、本来は手段であるはずの政治体制のありかたを第一の目的に摩り替えてしまっている」と批判。
こうした冷静な見方が逆に敵もつくったんだろうな。自分は陸奥のような人間にはなれないが、一本筋の通った姿は尊敬できると感じた。
坂本竜馬というカリスマを失った後の日本を、政治家たちはどう動かしていったのか?筆者が外交の専門家ということで、現代的観点からの解釈、現代の政治との比較などが満載。陸奥の人生録というだけでなく、政治論としても楽しめる。