文章を書くこころ: 思いを上手に伝えるために (PHP文庫 ト 7-6)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569567358

感想・レビュー・書評

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  • 思いを伝えるための文章には、心がこもっていないといけない。
    その思いを伝えるための方法を述べたのが本書である。

    気になったのは以下になります。

    ■文章とは料理のようなものである

    ・相手あっての文章という考えに立つと、文章は料理のようなものだということがわかる。
    ・まず、食べられなければならない。何を言っているのか、わからない。これでは料理にならない。
    ・誤字脱字当て字が多いと言われる。ごはんの中に石がはいっているようなもので、石が歯にカチットあたるのはたいへん気になる。
    ・ある程度、栄養があり、ハラもふくれないといけない。いくら表現にこってみても、中身がなくては困る。何をいっているのかが、読む側にはっきり伝わり、なるほどと納得するのがいい文章となる。
    ・おもしろさ、とは、相手の関心をひくもの、読まずにはいられない、放ってはおかれないという気持ちを読む人に与えるもの。
    ・文章は料理のように、おいしく、つまり、おもしろくなくては話にならない。

    ■短い文章を書くほど難しい

    ・つくづく短い文章は恐ろしいと思うようになった。
    ・いまの社会は多忙で、同じことなら手短にしてくれという。長い文章より、簡潔な表現がこのまれる。それは読む側の都合であって、書く方からしてみれば、短文というものは実にやっかいなものなのである。
    ・(文章)修業の第一の心得はたゆまず、すこしずつやること。一度にまとめてするより、小刻みにした方がよろしい。
    ・読まないでは、書くことはできない。何度も読んでみる。言葉に出して読んでみる。
    ・句読点をおろそかにしていては上達しない
    ・電話は推敲ができない。いったん口をついて出たことばはもうひっこめられない。

    ■書くとおもったときに書くのが一番いい

    ・寺田虎彦は、締め切りはまだ先なのに、すぐ書いてしまう。締め切りまでのばしてもいいものが書けるとはかぎらない。むしろ、書いてみたいという気持ちの起こっているそのときがもっともいい時期かもしれない。
    ・そうして書き上げたのを引き出しに入れておいて、締切の直前になって出してきて、手を入れて依頼者に渡していた。
    ・テーマは依頼をうけてから考えてはいけない。おもしろい考えが浮かんできたら、忘れないように、手帳かノートに書き留めておいく。いったん消えると二度と姿をあらわしてくれない。
    ・他人にはいわないこと。自分ではいい考えだと思うことはあっても、他人からつまらぬといわれると出鼻をくじかれ、書く張り合いがなくなってしまう。
    ・テーマを絞るとき、考えつくことを全部紙に書き出してみるといいようだ。
    ・時間をかけてていねいに書こうとする。よくない。これがあだになる。清水幾太郎氏も、速く書かなければいけないことを教えている。
    ・いい文章を書こうとおもったら、信用できる辞書を手元に置くことだ。

    ■上手な文章を書く秘訣

    ・文章に上達するにはとにかく書いてみることである。
    ・よくわかる文は、主語と動詞が一つずつである。そうすれば、自然、センテンスが短くもなる。
    ・題をつける。題だけでなく、パラグラフ(段落)ごとに、小見出しをつける練習をすると筋道のはっきりした文章が書けるようになる。
    ・おもしろくないところ、それは、同じことばがすぐ近くで重ねて出てくるところである。
    ・文の終わりが同じ「た」とか「る」とかで終わらないように気をつけるだけでも、文章は目だって読みやすくなる。
    ・前後の文章を結びつける論理的接続詞を乱用しないようにすると文章がよくなる。
    ・かざりの言葉が多すぎる。形容詞や副詞を乱用しない。かざりをすくなくすることは、ことばの生地の美しさを見せることにもなる。

    ■手紙(≒メール)の心得

    ・今日できることを明日にのばすな。
    ・あとで返事をするには、もう一度読み返さなくてはならない。その場で返事をするならその手間が省ける。
    ・時間がたてばたつほど、書きにくくなるのが手紙である。
    ・後でだすなら、あらましのことを書いておく。あらためて書くよりも思い出すのに苦にならない。
    ・手紙を書くには、相手を思いやる心がないといけない。手紙を書くには、手紙の心が必要である。
    ・人によって文体をかえる。①あらたまった言い方、②標準の言い方、③くだけた言い方、3つのスタイルを用意する。

    目次

    第1章 文章を書くこころとは
    第2章 文章を書く前に―準備しておくべきこと
    第3章 上手な文章を書く秘訣
    第4章 味わい深い文章にするための心得
    第5章 心を伝える手紙の心得
    第6章 手紙にあふれた思い―先人の書簡より

    あとがき

    ISBN:9784569567358
    出版社:PHP研究所
    判型:文庫
    ページ数:224ページ
    定価:448円(本体)
    発行年月日:1995年2月15日 第1版第1刷

  • 気になる箇所だけ読んだ。参考にしたいところがたくさんあった。

    文章は料理みたいなもの。美味しい料理とは「もっと食べたい」と思わせる。文章でいうと「もっと読んでいたい、放っておけない」という意味合い。

    短文ばかりだと、とぎれとぎれでリズムが悪くいい文章とはいえない。短文と長文を織りまぜてリズミカルな文章にすることが大切。パラグラフにおいても同様。結果、メリハリのきいた面白い文章になる。

    書きたい心があってこそ、文法の技術が生きてくる。この順番を間違ってはならない。文法の誤りは、料理でいうと異物。歯にゴリッとあたり不快感が残る。

  •  このところしばらく外山滋比古さんの本が好き。別に小説家になりたいわけでもなければ、日常的に文章を書く機会なんかこうやって読書感想文を書くくらいのもの。だけれどこの本を見つけたとき、外山さんのように凛とした文章を書く人が普段どんなことに気を配っているのか知りたいなあと思って手に取り、興味深く読んだ。
     印象に残ったのは、本文中で外山さん自身も述べられている通り、ひとつひとつの文章の短さ。小説なんかを読んでいると稀に見かける、形容詞や接続詞が多用されるあまり「次の読点はまだか〜」と待ち遠しくなってしまうような長い文章は、ひとつもない。スピーチにしろ、原稿にしろ、長いものより短いものを用意する方がよっぽど大変と外山さんは言う。わたし自身よく経験するけれど、ダラダラと書いたり話したりしているといつの間にか向かっている方向が不明瞭になって、容量を得なくなってしまう。ずっとしゃべり続けることはできる。でもその結果、相手に内容がしっかり伝わったかが定かでないのなら、その会話にどれほどの意味があるのだろう。主婦ライフにおいては内容があるんだかないんだかわからないような世間話も非常に大切(むしろ時にそれがあるから生きていけると思うくらい大切)だけれど、主旨を端的に伝える訓練もしていきたい。
     そういえば文中で、「文章の書き方」みたいな本をいくら読んだところで、実際にたくさん文章を書いてみないことには上達するはずもないから、とりあえずひたすら書きまくれ、という内容のことが書いてある箇所があった。おっと、ちょうど今「文章の書き方」みたいな本を読んでいたわ、、、と我に返って、ちょっと笑った。何をもって上達と言えるかわからないけれど、幸い、こうやって日常的にあれやこれやと文章を書くことが楽しくて仕方ない性格なので、外山さんの言葉を胸にこれからも細々と続けていこうと思う。

  • 自分と自分の文通
    文章は料理のように
    とにかく書いてみよ
    話は中途から

    書きたいことをまず書いて肉付けしよう!

  • 外山滋比古の著作は、東大・京大の学生にひろく読まれているらしい。実際手にとればさもありなん、おもしろくてタメになる。そのうえわかりやすい。読めばひとつ学問を修めた気分になる(気になった、で放置するか人生に活かすかは個人差がある)。本書もタイトルそのままの内容で、論文・散文・手紙など、あらゆる「書く」行為へのアドバイスが詰まっている。学生・社会人問わずおすすめしたい一冊。

  • エッセイなどの文章を書くためのテクニックや、手紙を書くときの心構えを、やさしく説いた本です。

    著者は英文学の教授ですが、エッセイの名手として知られています。本書の文章自体も、平易で滋味深い語り口で書かれており、さすがだと思わされました。

  • タイトルの通り文章「技術」を語る本ではない。もちろん技術的な説明が無いわけではないが、むしろ「心構え」的なエッセンスの方が多く詰まっている。

    些細な事だが、複雑な文章を書かない、同じ単語を繰り返して使わない、音読のリズムを大切にする、などのテクニックは私も気をつけているし、昔からよく言われていることだ。

    基本的に「よく文章を書くこと」「読む人の視点を持つこと」が重要である。

    こんなエントリーも参考になるかも。
    <a href=\"http://cyblog.jp/modules/weblogs/3244\">文章力のシンプルな鍛え方</a>(シゴタノ!)

  •  前回読んだときに何も感想を書いていなかったようなので、再読した今回、感想をメモしておきます。

     外山さんの本は、どれも読みやすいのがいいですね。文体がそれほど難しくなく、主張もはっきりしています。今回は、文章を書くということについて、いろいろ思いを語っています。

     現代人も、筆や万年筆はあまり使わなくなりましたが、パソコンやスマホで、相当文章を入力しているのは間違いありません。ある意味では、昔の人よりも、文字を書いている(入力している)かも知れません。

     しかし、文章を書くための道具が変わったように、文章を書く心持ちもずいぶん変わってしまったように感じました。

     前半、第4章までは、文章を書くための秘訣や心得が書かれています。特に、第四章はテクニック的に参考になることが多く書かれています。

     後半の第5章、6章は手紙について。これを読むと、現代人の書く文章がいかに変わってしまったか、実感することができると思います。

     私自身もそうですが、別に文章を書くことを生業としていない人でも、参考になることが多いと思います。特に、今は年賀状をしたためている人も多いでしょうから、ちょっと読んでおくことをお薦めします。(2014/12/30)

  • いわゆるテクニック面の本というよりは、精神面や作法面に関しての本。
    とくに、手紙に関してはまるまる一章使って述べている。
    若干くどいところがある。

    表現の変化、接続語や指示語を減らすなどはなかなか実践的。

    物を書くことに苦戦しているならば、一度読んでみる価値あり。

  • ピグマリオン効果、放胆文を初めて知った。また、横光やヘミングウェイの推敲方法も興味深い。

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著者プロフィール

外山 滋比古(とやま・しげひこ):1923年、愛知県生まれ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒業。「英語青年」編集長を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。専門の英文学をはじめ、日本語、教育、意味論などに関する評論を多数執筆している。2020年7月逝去。30年以上にわたり学生、ビジネスマンなど多くの読者の支持を得る『思考の整理学』をはじめ、『忘却の整理学』『知的創造のヒント』(以上、筑摩書房)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社)など著作は多数。

「2024年 『新版 読みの整理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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