成功への情熱―PASSION― (PHP文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569575063

作品紹介・あらすじ

京セラを世界的な企業に育て上げ、いまも次々と新事業に挑戦し続ける稲盛和夫。その創業のベースは、「人間として正しいことを追求すること」であったという。本書は業容が拡大していく過程で、自ら講師となり、社員に向かって「京セラの経営哲学」を熱く語った勉強会の記録である。しかしそれは、一企業人にとどまらぬ、普遍的な人生とビジネスの成功哲学でもある。ロングセラー、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 成功への情熱―PASSION―
    著:稲盛和夫
    PHP文庫 い 28 4

    わかりやすかった

    序文に本書を世に出した経緯が書かれている

    時代がどのように変わろうとも人間の本質は変わらない。
    必要なことは「人間とは何か」「人生とはいかにあるべきか」「人間として何が正しいのか」など、人間としてもっとも基本的な倫理、哲学を真剣に探究することであり、その中で己の存在意義を確認し、自らの人生の指針としての哲学を確立することである。

    従業員が一万人近くいる米国の有力な電子部品メーカー、AVX社を買収した。

    米国は個人主義の徹底した社会であり、個人的な利益の追求が優先される社会である。
    そのような米国社会において確固たる地位を築いた同社の幹部に、私の「自分の才能は私物化してはいけない」「私心があってはならない」「働く意義や目的がもっとも重要だ」「思いやりを持つことこそ大切である」というような経営哲学を受け入れてもらうことは容易なことではない、逆に反感を買うだけだ、というのが当社の米国法人幹部の意見であった。
    そうであっても、京セラの経営哲学を理解してもらい、受け入れてもらわなくては信頼関係は構築できない。
    そう思い、私が講師となって、京セラの経営哲学についての同社幹部社員との勉強会を始めることにした。

    彼らの最初の反応は予想通りまったく否定的なものであった。
    「そのような考え方で日本では成功できても米国ではできない」「それでは我々はついていけない」というのだ。

    しかし、私は人間の本質は洋の東西と問わず同じであり、京セラの経営哲学も普遍なはずである。だからこちらが純粋な気持ちで、誠意をもって話をすれば必ず受け入れてもらえる。そう信じ、私は、この勉強会に臨んだ。

    この勉強会の資料としてつかった「心を高める、経営を伸ばす」の英訳に、私との質疑応答を加え、米国人にも理解されやすいように編集されたものが、「A PASSION FOR SUCCESS(成功への情熱)」という本にまとめられ、出版された。本書はその日本語訳である。

    結果、AVX社は、NY証券市場に再上場するまでに回復に至る。

    稲盛イズムという言葉がよいのかどうかはわからないが、1996年当時、人間の普遍性をもって経営にあたる稲盛氏の経営哲学は、アメリカでも理解され、やがて、中国へと伝わっていく。

    章別に示された105の言葉で気になったのは以下です。

    ■成功のための方程式
    004 ありのままの自分を見つめる
    005 一歩一歩夢を実現する
    006 成功のための方程式 人生の結果=考え方×熱意×能力

    ■能力
    007 できないことを認める
    008 並みを超える
    009 自分に打ち克つ
    010 大胆にして細心あれ
    014 己の人格をつくる

    ■熱意
    015 生きがいのある仕事
    016 壁を突破する
    017 情熱が時代を開く
    018 仕事にほれ込む
    019 ひとつのことに打ち込む
    020 自分で道を切り開く
    021 健全なる精神は健全なる肉体に宿る
    022 反省ある人生を送る
    023 読書で視野を広める
    025 一日一日を一生懸命に生きる

    ■考え方
    026 決して希望を失わない
    027 人間として正しいことを求める
    028 安易な道を避ける
    030 信頼は自らの内に築く
    031 あるがままに見る
    032 細部にまで注意を払う
    034 筋を通す
    035 原理原則に基づく

    ■情熱
    037 情熱が成功へとつながる
    038 純粋な心からの情熱

    ■利益
    040 公明正大に利益を追求する
    041 ビジネスの本質を忘れるな
    042 お客様によろこんでいただく
    044 市場が価格を決める
    045 日々、損益計算書をつくる
    046 私心を離れて利益を見る
    047 利益をコツコツ蓄える
    048 共有できる目標を設定する

    ■願望
    053 自ら燃える
    055 夢を持ち続ける
    056 できると思い込む
    058 次元の高い目標を持つ

    ■誠実さ
    061 心は心を呼ぶ
    062 お客様の尊敬を得る
    063 ベクトルをそろえる
    064 判断のものさしを備える
    065 謙虚なリーダーとなる
    066 両極端をあわせ持つ
    068 大善をもって導く
    069 思いやる心が信頼をかちとる
    070 心を込めて語りかける
    071 世代を超えて共鳴を得る

    ■真の強さ
    073 職場のモラルを体現する
    074 自ら説くところを行え(言行一致)
    076 裏づけを持ってチャレンジする
    077 自らに厳しい課題を課す
    078 経営に打ち込む

    ■創意工夫
    079 リーダーよ、創造的であれ
    080 単純化して考える
    083 困難に真正面から取り組む
    084 原点を見失わない
    085 真の創造に至る

    ■積極思想
    088 ビジョンを持ってはじめる
    090 失敗する自由を与える
    091 物作りは芸術に似たり
    092 常識の呪縛を解き放て
    093 善に見る習慣をつける
    094 楽観的に構想する

    ■決してあきらめない
    096 自己の可能性を限りなく追求する
    097 厳しい経営姿勢をとる
    098 真の引き際を判断する
    100 完全主義をめざす
    101 自分で道を照らす
    102 無私の心が人を動かす
    103 今必要なのが「正しい」組織

    目次
    序文
    Ⅰ 人生で成功するには―HOW TO SUCCEED IN LIFE
    成功のための方程式
    能力
    熱意
    考え方
    Ⅱ ビジネスで成功するには―HOW TO SUCCEED IN BUSINESS
    情熱-PASSION
    利益-PROFIT
    願望-AMBITON
    誠実さ-SINCERITY
    真の強さ-STRENGTH
    創意工夫-INNOVATION
    積極思考-OPTIMISM
    決してあきらめない-NEVER GIVE UP
    出版に際して―PHP研究所

    ISBN:9784569575063
    出版社:PHP研究所
    判型:文庫
    ページ数:336ページ
    定価:780円(本体)
    発行年月日:2001年01月
    発売日:2001年01月19日第1版第1刷
    発売日:2008年04月25日第1版第24刷

  • 見開き2ページで1つ1つ項目が書かれて
    非常に読みやすかった。
    すぐに読めてしまう。

    もっと稲盛さんの本読もうかな

  • やはりすごい経営者です。本書は、経営哲学を説きながら、人生の羅針盤たりうる思考方法も同時に身につくスグレモノです。
    感心した項目だけを列挙すれば、
    「成功のための方程式」「極楽と地獄は紙一重」「Passionという7文字の頭文字」「私心を離れて利益を見る」「誠実さは愛と調和をもたらす」「大きな愛にめざめる」「楽観的に構想を練り、悲観的に計画し、楽観的に実行する」「願望を高める」など。
    具体的には、商売を始める際の情熱の働かせ方(P121)、税金とはビジネスを営んでいる社会を支えるための必要経費と考えることなどは孫正義氏への見事な皮肉になっています(P145)し、「リーダーは家族を含めた自己犠牲的行動が求められる(大きな愛に目覚める)」という項目は、特に買収した米国企業の経営者にむけての指針だと思われますが、個人主義、家族主義が当たり前の米経営者を説得したのがすごい。
    彼の様な優れた日本人経営者がどんどんいなくなって寂しい。

  • 講演テープを聴くと穏やかな方であるが、信念は熱い。
    ビジネスで心の支えの一つとなる本。(HPの日記より)
    ※2004年購入
     2004.11.16読書開始
     2004.12.20読了
     2007.8.19売却済み

  • 一代で京セラを築き上げた稲盛氏の人生哲学をまとめたもの。経営者としての事業に対する熱意と、社員に対する愛情が伝わってくる。参考になった。
    「時代がどう変わろうとも人間の本質は変わらない」p3
    「青春時代には、誰もが強い反抗心を持っていますが、親をはじめ人生の先輩から教わったことを絶対に忘れてはなりません。「自分で人生を歩き始めるということは、羅針盤もない小さな船で大海に漕ぎ出していくようなものです」」p26
    「安易な生き方は、はじめは気楽で楽しいかもしれませんが、結局それでは満足できず、みんなもっと高いレベルの目的を求めるようになるはずです」p28
    「自分自身を客観的に見る素直さを持ち、過去の失敗から学ぼうとする謙虚な心を持って一生懸命努力することが必要なのです」p31
    「個々の人生においても、企業経営においても「一歩ずつたゆみなく歩む」ということが、夢の実現に至る、唯ひとつの確実な方法なのです」p33
    「人間というのは当然安易な道を行く方が楽ですから、自分を励まして困難を克服しながら前進してゆくことは難しいものです。しかし、その努力が実った時、よろこびはさらに大きなものとなるのです」p43
    「(粘り強さと忍耐力)失敗する人は、壁につき当たったとき、突破できないものと、はじめから決めてかかるのです。言い換えれば、努力をすることはするのですが、あるレベル以上はしないのです。こういう人は壁につき当たったとき、ごく体裁のいい口実を見つけて努力を止めてしまうのです」p62
    「ときおり、自分の責任の重さに心底疲れ果ててしまうことがありますが、それでも私は自分の仕事が大好きなのです」p67
    「自分の心が相手の信頼に値するかどうかを常に自問自答し、もし値しないのであれば、自分の態度を改めなければならないと思っています。たとえ自分が損をしたとしても、人を信じていく、その中でしか信頼関係は生まれないのです」p95
    「物事をあるがままに見ることのできる純粋な心を持つよう努力すべきです。利己的な欲望に駆られた目には単純な問題でさえ、非常に複雑に見えてしまうのです。たとえ自分にとって不利益であったとしても、物事をあるがままに見て、自分に非があれば、間違いを認めなくてはなりません」p96
    「常に原理原則に基づいて判断し、行動しなければなりません」p104
    「会社というものは、社員一人一人の情熱の反映です。役割は異なっていても、それぞれの俳優は、当然ながらプロとしての役割を演ずるのです」p115
    「素晴らしいチャンスは、ごく平凡な情景の中に隠れています。それは強烈な目的意識を持った人の目にしか映らないものなのです」p175
    「組織においても、各人がほかからの指示や要求に振り回されずに、まったく自由な発想のもとに行動し、それでいて全体としては完全に調和がとれているというのが、最高の姿だと思います」p200
    「「泣いて馬ショクを斬る」という言葉があるように、経営者には、人情味あふれるものを持ちながらも、冷酷なまでに厳しくなければならない時があるのです」p207
    「自己犠牲とは、すべてのリーダーがよろこんで支払わなければならない代償なのです」p227

  • 「がんばってもがんばってもうまくいかないのは、なんで?」と思っていたときに、本書に出合いました。

    京セラ名誉会長にして、KDDI最高顧問の稲盛和夫氏による成功哲学の入門書。

    氏の名言「人生の結果=考え方×熱意×能力」をはじめ、自分の「考え方」や「心構え」を見直すきっかけを与えてくれます。

    これは、壁にぶち当たったときに読み返したい本です。

  • 格言だらけの「稲森哲学」の書。
    有名な成功のための方程式「人生の結果=考え方×熱意×能力」ももちろんある。
    右肩上がりのイケイケの時代はこれでよかったのかもしれない。でも今は人口減の成熟社会。少しクールダウンしても良いんじゃないか。
    と、若干斜に構えてしまったのは直前に読んだ河合隼雄著『心の処方箋』の影響があるかもしれない。

  • 座右の書、何回も読み返しています。
    後輩にもプレゼントしています。

    皆さんにおススメです。

  • 稲盛和夫さんの人生観・仕事観・経営哲学等
    印象に残った言葉
    ・行動規範、モラルはシンプルに設定すべき
    ・最も偉大な能力は克己心
    ・成功する人とそうでない人の差は忍耐力と粘り強さ
    ・限界を自分で設定すると成功できない
    ・地味な仕事にも真剣に取り組む
    ・自分自身でコントロール可能な自分を変える
    ・決して希望を失わない
    ・安易な道はゴールへは導いてくれない
    ・自分が信頼される人間になる
    ・あらゆることを真剣に繰り返すことで潜在意識が正しい判断をするようになる
    自分の人生において、悩みや苦悩に対処する際の判断基準として参考になる箇所が多くあった。
    潜在意識が正しい判断を下してくれるようになるまで真剣に何においても真剣に取り組みたい

  • 著者のスピリットは共感できている

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著者プロフィール

1932年鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長に就任。84年、第二電電(現KDDI)を設立し、会長に就任。2001年より最高顧問、2010年には日本航空会長に就任する。代表取締役会長、名誉会長を経て、15年より名誉顧問となる。84年、稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった人々を顕彰している。2022年8月逝去。その他著書に、『稲盛和夫の実学』『アメーバ経営』『稲盛和夫のガキの自叙伝』『高収益企業のつくり方』『人を生かす』『従業員をやる気にさせる7つのカギ』『成功への情熱』『生き方』等がある。

稲盛和夫の作品

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