実践経営哲学 (PHP文庫 ま 5-40)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569575629

作品紹介・あらすじ

わずか三人で細々と始めた事業を、一代で世界的な企業にまで成長させた松下幸之助。その成功の要因を尋ねられたとき、松下は、「経営理念の大切さ」を説くことが多かった。本書は、松下が六十余年の事業体験を通じて培った、経営理念、経営哲学ともいうべきものの考え方を、二十項目にわたってまとめたものである。松下経営の真髄が説かれた、経営者必読の書である。

感想・レビュー・書評

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  • まず経営者に必要な心得として最初に触れられるのは、「経営理念を確立する」ことです。風雪にも耐えうるその理念が会社にありさえすれば、なんとかなるという楽観主義でもあります。
    少し脱線しますが(本書でも政治に関心を持つことが説かれていますので)、最近の政治の状況は、理念なき国家運営の如き有様に失望します。国家の基本理念とは何か?それは、国民の安全と幸せを国民から選ばれた政治家が政治を通じて確実に実現することであるはずです。ところが、官僚は出世や天下りや在職中の利権などに汲々とし、与党政治家は保身と忖度を恥じず、野党政治家は与党の揚げ足取りばかりと、そこには国民視点が皆無です、あるのは議員のコネがある陳情集団の利害目線くらい。最近の安倍内閣の特徴に、「誤りを素直に認めず謝罪しない」という癖がありますが、これなどは与党の間違いの揚げ足を執拗に取り、議員辞職や任命責任ばかりを問うてきた野党の国会質疑の問題でもあると気づくべきでしょう。また、そもそも政治家が一般国民よりも金銭的に恵まれるのは、国民のために粉骨砕身働くことが前提です。にもかかわらず、自身のパフォや党利党略のために活動する自己愛あふれる政治家ばかりでこの国は運営されています。少なくとも、そう見えてしまうことにもっと危機感を高めるべきですが・・
    本書にかえりますが、「利益は報酬であること、つまり適切な企業利益をあげて税金を払うことに社会的意義がある」という言葉を、税制の間隙をぬって莫大な収益を上げながらも税金を払わないような会社は率先して恥ずべきです。
    また「失敗の原因は我にあり」という心構えの大切さも、経営者のみならず政権を運営する上での謙虚さという点では必要な徳目です。
    さらに、特許やノウハウなど知的財産の考え方、労組との関係性なども示唆に富みます。
    本書は、平易な文章でありながらも、経営者のみならずあらゆるリーダーにも敷衍できる内容の哲学書となっています。

  • 実践経営哲学 (PHP文庫)
    著:松下 幸之助

    本書は、著者の60年の事業体験を通じて培い、実践してきた経営についての基本の考え方、いわゆる経営理念、経営哲学をまとめたもの。

    以下の20項目から成る。
    ①まず経営理念を確立すること
    ②ことごとく生成発展と考えること
    ③人間観をもつこと
    ④使命を正しく認識すること
    ⑤自然の理法に従うこと
    ⑥利益は報酬であること
    ⑦共存共栄に徹すること
    ⑧世間は正しいと考えること
    ⑨必ず成功すると考えること
    ⑩自主経営を心がけること
    ⑪ダム経営を実行すること
    ⑫適正経営を行うこと
    ⑬専業に徹すること
    ⑭人をつくること
    ⑮衆知を集めること
    ⑯対立しつつ調和すること
    ⑰経営は創造であること
    ⑱時代の変化に適応すること
    ⑲政治に関心をもつこと
    ⑳素直な心になること

    昭和53年に記された本書。自分が生まれるより前に記され、その教えは古びれることなく、その時代や環境に合わせた新しい気づきや本質を提言してくれるような一冊。

    経営の神様が惜しげもなく、実体験の証として考え抜かれた教えに触れることができることに幸せを感じる。上からではなく、共に考えるスタンス。素直な心を持ち学びながら成長をしてきた中で紡ぎだされる言葉。時代の変化に適応することを念頭に書かれたそれはしっかりと今の時代に適合している。そして、激動の変化の今だからこそ、心に染み入る考えが深く突き刺さる。

    多くの書を残している著者。数々の作品に触れることでその一貫性から理解が深まる。一冊を深く読むこととさらに他作品に触れ続け、教えの片鱗を少しでも吸収し自己の人生に活かし続けたい。

  • 松下幸之助の60年の経営体験から得た哲学をまとめたもの。まさに松下の真髄ここにありという内容。圧巻は、いきなり経営理念が大事というシンプルな答えに辿り着いていることだ。それに基づいて、方策や方針は時代や日毎に変わるべきと説く。そして、国家も同じで国家経営理念がすべてだと。企業も社会の公器であるとし、社会に貢献することが使命である。生成発展する企業のあり方は、不況を言い訳にせずに、失敗の原因は我にありという謙虚な心の持ちようが大事。自力経営でまずは自力を中心にやってゆき、その上で必要な他力を活用すべき。ダム経営で、余裕やゆとりを持っておく。これらは、経営の話をしていながら、結局ヒトの話をしているように感じる。事業は人なり。職業人としても社会人としても立派な人間を育てなければならない。それを素直な気持ちでやってゆきたい。

  • 『ハーバード流交渉術』の原理原則に基づくという話を読んで、7年ぶりに再読。入社前の課題図書でした。

    人が見たら知れているレベルかもしれませんが、最近は判断に迷うことが多く、何が正しいのかということは非常に難しい。迷ったときはコレに立ち返る、やってみました。

    まあ、これをどう生かすか、まだまだ自分には難しいと再認識したけど、とりあえず、共存共栄に、日に新た、改めて読むと胸が痛むことが多いわ。

    また、素直な心の最終章には図らずも心を洗われました。

    素直な心=とらわれない心、いかに私利私欲を捨てるか、平凡な人間も1万日=約30年やったら持てるらしい。
    仮に今までできていてもまだ7年、そう、自分は私利私欲の塊ですわ。先は長いぜ。。。

  • 「経営理念を確立すること」、「使命を正しく認識すること」など、経営について大事なことが20項目に分けて書かれてます。

    また、おなじみの「企業は社会の公器」についても書かれています。企業の使命は人間の共同生活の向上に貢献することだそうです。今、ここまで考えて仕事してる人はどれくらいいるんやろ?

    最後に、やっぱり経営においても、素直な心が大事だと書かれています。物事をありのままに見ようとする心、自分自身ももっと鍛えないといけないところです。

  • 再読

  • 読みやすいし根本的な考え方が説かれている。今ではけっこう世間一般に正しいと浸透している考え方かなと。この時代にESG的な考え、すごい。

  • さすが有名企業
    事業運営のモチベーションからして違うんだなと思った。
    強い企業は理念がしっかりしているので参考になった

  • 時代を超えて経営に必要なことを考えさせてくれる名著。半世紀以上も前に書かれたとは思えない程にリアリティがあり、筆者の思いが伝わる。VUCAの時代だから「パーパス経営」という以前に経営者たるべき者の「志」を問うてくれる。

  • 古い本ではあるが今の世界にも通づる経営の原理原則。間違いなく今の日本を創ってきた一人である偉大な経営者でありながら謙虚な心で仕事にあたる。
    自分の日々の仕事や振る舞いに見習いたいことばかり。

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著者プロフィール

パナソニック創業者

「2019年 『現場で闘うリーダーに知っておいてほしいこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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