- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569577678
感想・レビュー・書評
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著者の本は何冊か読んでいるのですが、従来の学説とは主張があまりに違い過ぎていつもついていけなくなります。
ですが今回、蘇我親派(改革派)と反蘇我派の争いだと据えた全体の見方は面白かったです。
そもそも、蘇我氏の権勢に対する反発と王権の強化を目的としたクーデターが乙巳の変で、その結果実現した制度改革が大化の改新、というのが世間の常識です。
それを、蘇我親政権である聖徳太子が、百済ではなく中国大陸に完成しつつあった律令制の導入を目論見、それは、王権の強化を真の目的にしたものではなく合議制による中央政府の強化であったことから、百済救済のため王権を強化したい鎌足(著者の主張だと彼は百済王の王子豊璋)が中大兄皇子と組み、結果入鹿は殺され、その後も暗殺や陰謀により反蘇我派が政権を奪還した、この一連の事件が真の大化の改新だというのです。
旧守派が王権強化派で、改革派は合議制による中央政府の強化だったことの理由も挙げられていて納得感があったし、それを鎌足が旧守派を利用して王権を強化し百済救済のために援軍を送り(白村江の戦い)惨敗し、すべてを正当化し、以後の藤原氏を盤石にするために鎌足の息子である不比等が日本書紀で真実を歪める記述を行ったこともあり得るなあーと。勝てば官軍。
個人的には不比等好きなので、今更だけどあんまり悪者扱いして欲しくないんだけど・・・やっぱり悪人、よねえ。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大化の改新の真実は、明治維新と似てるような気がする。
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藤原四家が疫病で大打撃を被ったのは、蘇我入鹿の怨霊のせいであり、怨霊というのは、後ろめたい事をして人を死に追いやった当事者の元へくるものであり……。
以上から、藤原中臣が行った大化の改新は、正義のクーデターではなく、汚い手を使って貶めたに違いない。みたいな感じだったけどさ。
そしたら、藤原四家、全部滅ぼさない? 北家生き残っちゃったよね。藤原氏は、この先、バリバリ栄華の道を突き進んでいくよね。
怨霊の力にも、限度があるということなのかな……。 -
PHP文庫特有の文体が、少し気にさわるが、非常に興味深い内容。実は大化の改新は、改革潰しで、鎌足の孫である藤原不比等がまとめた日本書紀に、騙されている。勝利者は歴史を変えられる。
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新大阪の駅でつい購入。
旅のお供に読破。
この人の本、前も読んだんだよね。
大学受験、日本史専攻だったんだけど
確かに大化の改新から藤原全盛期までって
権力者の推移が不自然だと高校生ながら
思ってたんだけど、この作者の説はかなりすっきりする。 -
気がついたら関地獄。
関先生の蘇我贔屓がきらりと光る一冊。 -
マニアックですが・・・