- Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569579030
作品紹介・あらすじ
現代人の常識を覆す独特の「身体論」が、スポーツ界をはじめ、各方面から注目を集めている。その術理の探究はさらに進み、さらなる発見にも至っている。本書は、「『小よく大を制す』武術の復活」「相手の予測を外す無住心剣術」のような技の新たな展開や、古武術を通して見える日本の教育や科学への疑問などを、架空の人物との対話形式で著者が語り尽くす。人間が秘める未知の可能性を示唆する一冊。
感想・レビュー・書評
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第一感、技や心の動きを文章で説明するのは並大抵なことではない
気になったことは以下です。
・基本は基本で、基本に良いも悪いもないんじゃないか、と言われているのですが、マキさんがイメージする基本というのは、非常にベイシックな意味の基本、私の感じる基本というのは、かなり具体的な動作としての基本、ということで、お互いがもっていた基本に対するイメージの違いが、ハッキリしておもしろかったですね。
・「小よく大を制す」、今や、体格や体力によらず、「術によって相手を崩す」ということは、神話かホラ話に近い状態となってしまいました
・武術というものは、相手がやられまいとして種々抵抗してくるのが当然で、それに対して、皮相的な騙しや強引な力によるのではなく動きの質も違いによって制圧するものでなかったら意味がないわけです。
・物であれ人であれ、なぜ好きになったのかということも、突きつめて突きつめてゆけば、「なぜだかわからないけれど好きになった」としか言いようがないでしょう
・人間というのは、武術をやっている人であろうとなかろうと、日常動作で、この「予測を立てる」ということができなかった何ごともスムーズにいかないでしょう
・人間がハッキリと目的を持った行動を起こすには、その行動を起こすことを決断させるに足る条件が満たされる必要があるんですね
・みぞおちのところに禁点の堅結という実に小さなしこりが、死ぬ四日前になる現れるからわかるのだそうです。つまり、直感的に感じられたことを、その堅結で確認されるということですね
・呼吸の間隙を使うと、実にわずかな力で骨は外れる、ということです。
・中心力を造る、自覚する、ということで全身が非常に効率よく働くようになったということだと、私は思います
・元々あったものを簡易化し、何か、信仰の対象のようにして打ち出すとわかりやすいですから普及はするんですが、なかなか深く入ってゆきにくい、ということがあるのでしょう
・たとえば、浄土真宗に見られる、"妙好人”のように、何の学問も教養もない人でも、ひたすら南無阿弥陀仏を唱えているうちに本当に無邪気な赤子のようになっていく
・熱狂的になっている人に対しては、頭から「そんなのは迷信だ」と言って反対しても、あまり効き目はないんですね。
・まあ、これは武術の技も同じですよ。力に力でぶつかっても効率が悪い。それよりも相手の力自身で崩させるのです
・信仰というある種の確固たる信念のようなものに、こちらも、確固たる信念でぶつかっていったら、いつまでもなかなか埒があかない。
・こちらは、自在に変転する。そして相手を映す
・自分で考えさせること、というのは大事ですよ。ですから、「これが正しい」とか、「こうしなさい」「これが基本ですから、まず覚えて下さい」なんて言わないで、とにかく、体で体験してもらってから、「この技は、こういう原理で利くのです」と説明し、そのあとはその人がどう興味を持ち、どう取り組みかは、その人に任せているのです。
・「本来、願い事はかなうものであり、それを成就させるには『すでにかなった』と思い込むことが、より有効である」という教えがありますが、これはまったくそのとおりだと思います。
・なにしろ人間は、本能的にどうしても不安定状態を嫌いますから、不安定になりそうになったら、そこでその状況にブレーキをかけてしまうんです。
目次
文庫本刊行に寄せて
まえがき(旧版より)
1 率直に事実を見つめて
2 「小よく大を制す」武術の復活
3 氷解した無住心剣術の術理
4 人間存在の深層へ
あとがき(旧版より)
解説 名越康文
参考文献
甲野善紀著書目録
ISBN:9784569579030
出版社:PHP研究所
判型:文庫
ページ数:240ページ
定価:514円(本体)
発行年月日:2003年02月
発売日:2003年02月27日第1版第1刷詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
蔵書整理で手放すので、再び出会い読む日もあるか
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古武術に興味があったのですが、それについては全体の半分くらいで、残りは著者の人生哲学など。「井桁術理」「無住新剣術」のくだりは興味深く面白かったです。
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なかなか読むのに時間がかかった。丹田の記述が興味深かった。
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◆2011.10.16一箱古本市・新潟ソーシャル書店 #nsbs
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「古武術からの発想」3
著者 甲野善紀
出版 PHP文庫
p201より引用
“人は自分で考え出したことについては積極的に動きますし、
あとあとのトラブルも少なくなりますから。”
武術家である著者による、
古武術を通して見た教育や科学について書かれた一冊。
人間の体の可能性についてから教育の問題まで、
架空の人物との対話形式で書かれています。
上記の引用は、
信念のぶつけあいに関しての一文。
どこで聞いたかは忘れましたが、
相手を説得する事は出来ない、
相手を納得させなければ人は動かない、
という話を聞いた事があります。
上記の引用につながる話だなと思います。
p35のパプアニューギニアの原住民の話は、
今後食糧不足が来たときのために、
さらなる研究の進展を期待したいと思います。
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表紙
「術」にこだわる
「井桁術理」で武道・スポーツの限界を超える
現代人と古人の身体の動きの質の違い
武術の動きは群泳する魚
相手の予測を外す無住心剣術
他流試合千度不敗の剣豪、真里谷円四郎
術理の基盤は「アソビ」と「うねり」の動き
剣は決断の器
この作品は、1998年12月にPHP研究所より刊行されたものに、加筆・修正したものである。 -
分類=武術・身体論。03年2月。