社会的ひきこもり―終わらない思春期 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569603780

作品紹介・あらすじ

三十歳近くなっても、仕事に就かず、外出もせず、時に何年も自分の部屋に閉じこもったまま過ごす青年たち。今、このような「ひきこもり」状態の青少年が増えている。「周りが甘やかさず、厳しく接するべき」といったお説教や正論では、深い葛藤を抱えた彼らの問題を、けっして解決することはできない。本書では「ひきこもり」を単なる「個人の病理」でなく、家族・社会から成る「システムの病理」として捉える視点から、その正しい理解と対処の方法を解説する。

感想・レビュー・書評

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  • スクールカウンセラーをしている方に紹介していただいた本ですが、私には正直物足りない本であった。引きこもりの例が多く載せてあり、「個人⇒家族⇒社会」間のコミュニケーションをしなければいけないということはよくわかった。
     現実の社会は、小、中、高校あわせて17万人以上いるとされる不登校(引きこもり)問題がある、それにプラスして大人のひきこもりも含めればもっと沢山いるはずだ。それを個人個人にどうやって問題を解決していく方向に持っていくかが一番の問題だと思うのだが、それを、私はこの本では納得できる部分を見出すことができなかった。

  • ○本の概要

    社会的ひきもりという新しい現象について、その原因や実態について解説しつつ、対処法についても紹介。現在の日本の教育システムにも疑問を呈し、今後、社会的ひきこもりを巡ってある医療や教育のあるべき姿についても一考する。


    *社会的ひきこもりの原因は複雑に絡み合っており、シンプルに捉えることが難しい。そこで、「引きこもりシステム」という捉え方を行う。個人、家族、社会という3つの観点から、原因を考え、対処していくことが大事

    *引きこもりの当事者への対処は、非常にアドラー心理学と近いような信条に基づくものである。まずそこに居ることを認めることが大事。引きこもっている現状を否定せず、そこに居ることを認め、コミュニケーションをとっていく
    ・まずは挨拶から行う。できる限り可能なタイミングでは声を書ける
    ・説教、罵声、非難などはしてはだめ。辛抱強くコミュニケーションを取り続け、誘うように働きかけを続けること
    ・本人がいなくても、まずは親だけでも通院するといい。「あなたのことが心配なので、病院に通っている」と声をかける
    ・必ず、病院に行く日の朝に「今日一緒にいかないか」と声をかける。前日に声をかけるのは、実際に出かけるまでにじかんがあるため、不安が募り、断られるケースが多い

    *基本的心構え
    ・信じてまつ姿勢
    ・北風よりは太陽
    ・干渉を避けて見守る
    ・愛よりは親切
    ・非難されても腹をたてず、十分に聞く
    ・本人の劣等感を気にしない
    ・お金は渡す。金額は一緒に相談して決める。「必要に
    応じて渡す」というケースになると、問題化しやすい

    *社会的ひきこもりのケースのほとんどは男性であり、著者自身も受け持ったケースの8割以上が男性であった
    ・男性は女性よりも学校や社会において期待されることが大きく、それによって苦しむことが一因として考えられる

    *暴力はきっちりと拒否する。それは専門家の指示を仰ぎながら、回避行動を取るべし

    *不登校の多くは自然に回復する。その一方で、社会的ひきこもりの最初のきっかけとなる原因のほとんどが学校への不登校である

    *社会的ひきこもりへの対処としては、経験豊富な医者の指示を仰ぐことが重要で効果的であるものの、医者の提言をすべて受け入れ実行できる親は多くない
    ・人は習慣を変えることが容易ではない

    *半年以上引きこもりを続けるならば、何かしらの治療行動を起こすべし。

    *引きこもっている本人が一番引きこもっている現状を問題視している。したがって、そのような現状について正論んで問いだしてはいけない。憎しみを生んでしまう。



    *まず家庭内暴力を沈静化させてから、社会的ひきこもりに対処できるようになる
    ・家庭内暴力においては、母親が犠牲になることが多い

    *社会的ひきこもりのケースの、役半数が家庭内暴力を含む

  • 長年臨床の場で「ひきこもり」問題の事例を見つめ、また解決に向かっていた医師が著者。

    1998年が第一版。

    「ひきこもり」の症状などに関する理解が第一部で理論編となっており、第二部では具体的にどう向き合っていくかという実践編という構成になっている。

    最近(2009年)では、あまりひきこもりが社会的問題として取り上げられることは少なくなった様に思う。
    それはそういった事例が減ってきた、ということなのかそれとも単に社会がそう言ったことに興味を失ったのか、はわからない。
    しかし現在ニートと呼ばれる人々の中には、ある程度このひきこもりと置かれている状況が似通っている人もいるだろう。

    この本の中で著者は「ひきこもり」という現象を「個人の病理」ではなく社会システムや家族が抱える病理として捉えている。それは実際的な原因がどうか、ということよりもひきこもりの状態に陥っている人間が社会に復帰するためには、家族や社会との接点の回復がどうしても必要になってくるからである。

    「社会的ひきこもり」は不登校からの状態維持によっておこる場合が多い。

    また単純にひきこもりそのものの問題よりも、それによって引き起こされる二次症状の方が問題が大きいように思う。
    「対人恐怖症」「脅迫症状」などの症状により、いっそう社会に復帰することが困難化し、循環するシステムの様にひきこもりが内側に閉じていく。

    興味深いのは、ひきこもる若者の大半が男性である、ということだ。

    著者は競争を避けることで、男性のアイデンティティが発展しにくいという社会の現象をそこに見ている。確かに一時期過度に競争を忌避する教育現場があったことは確かだ。もちろんそれは教育だけが問題なのではなく、それを是としていた社会そのものの問題があると見るべきなのだろう。

  • <シラバス掲載参考図書一覧は、図書館HPから確認できます>
    https://www.iwate-pu.ac.jp/information/mediacenter/Curriculum.html

    <図書館の所在、貸出状況はこちらから確認できます>
    http://libipu.iwate-pu.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&category-book=61&annex=all&isbn=9784569603780

  • 2冊あり

  • 著者のことは「100分de名著」の特番を観て初めて知った。著者の著作を何か読んでみたいと思って読んだ本。精神科医がひきこもりについて書いている本だったので読んだ本。著者の著作の中で初めて読んだ本。ひきこもりについて読んでいて参考になった。この本を読んでひきこもりには他の精神病と同様に家族の理解と協力が大切だと思った。DV対策のところが読んでいて特に参考になった。著者の他の著作も読みたいと思った。ひきこもりの人が身近にいる人に読んで欲しい本。20年近く前の本なので、著者の最近書かれたひきこもりについて書かれた本も読みたいと思った。

  • 帯文(袖):”「ひきこもり」を単なる「個人の病理」でなく、家族・社会から成る「システムの病理」として捉える視点から、その正しい理解と対処の方法を解説する。”

    目次:はじめに、第1部 いま何が起こっているのか―理論編;1 「社会的ひきこもり」とは, 2 社会的ひきこもりの症状と経過,…他、第2部 「社会的ひきこもり」とどう向き合うか―実践編;1 正論・お説教・議論の克服,…他、おわりに、ひきこもり対応フローチャート、あとがき、参考文献

  • 30歳にもなるのに家に閉じこもったままではたらきにも行かない。いつまでも親の世話になっている。そんな人が増えているそうです。第1子長男に多い。家庭にはほとんど問題がない。平均して15歳くらいから「ひきこもり」の状態になる。はじめは不登校からということも多い。親の育て方が悪かったのだ、学校が悪いのだ、いろいろ言う人はいるでしょう。が、1つの原因に決めてしまうことはできません。病気なのかそうでないのか、どういう治療法があるのか、専門家の間でもまだ定説はないようです。それどころか、しばらく放っておくとなおるとか言って相手にしてくれない精神科医もいるそうです。著者はこの10年間、数多くの「ひきこもり」状態を見てこられました。そして、まわりの理解がないために長期化してしまうことを心配し、みんなに知ってもらうために本書を著されました。初期の段階であれば、専門家に相談して、適切な方法をとっていけば意外と早く解決の糸口がつかめるようです。叱咤激励は禁物。こんな状況は良くないということは本人が一番よくわかっている。しっかり本人の話を聞いてやることから始めるのがよさそうです。全ての子どもとかかわる人々、つまり親、教育関係者は、他人事と思わず、こういう知識も身につけておきたいものです。

  •  ひきこもりの数は減少するどころか、より長期化して社会的病理にまでなっている。それはこの「病」が個人的な疾病を超えて、家族や環境にも原因があるからだ。この問題を扱った本は少なくないけれど、「ひきこもり」と「精神疾患」との線引きがどうも明瞭でなく、どういう状態になったら医療を頼るべきなのかがわかりにくい。そのために本人も家族も「次の一歩」を踏み出せないでいる場合が多いように思う。
     そして本書では、こういう家族がますます「閉じて」いってしまうことが、何よりも問題の長期化の原因であると指摘している。そして「治療」はまず家族だけでも「精神科」に相談すること、と明示してあるところがわかりやすい。精神科の選び方、本人の診察に行き着くまでの経過などについても、他のこれに類する本に比べればかなり丁寧に示されている。
     1998年の時点でこういう内容の本があるにもかかわらず、この問題が未だ進展を見ないでいるのはやはり「家族」が情報に対しても「閉じて」しまっているからなのだろうか。
     

  • S493.7-PH-065 000332049
    (PHP新書 065)

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著者プロフィール

1961年岩手県生まれ。医学博士。筑波大学医学医療系社会精神保健学教授。専門は思春期・青年期の精神病理学、病跡学など。

「2016年 『ひとはなぜ戦争をするのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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