- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569604039
感想・レビュー・書評
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日本人の「心」の原型◆自然への信仰◆生と死を問う
著者:山折哲雄、1931サンフランシスコ出身、宗教学者、東北大学文学部→同大学院、国際日本文化研究センター名誉教授・国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
宗教学者の著者が、日本人の宗教的性格についてやさしく語った本です。無常観、霊魂信仰といった伝統的な宗教心についての著者の見方が述べられるほか、臓器移植や宇宙時代の宗教のあり方についての考察が展開されています。
講演に基づいているので、わかりやすいことばで説かれているのが特徴ですが、一つひとつの問題に突っ込んだ議論がなされているわけではない点に、少し不満を感じてしまいました。宗教的な観点に立って書かれた、軽いエッセイといった内容のように思います。 -
たぶん、図書館のリサイクル市でもらってきて、そのままになっていました。前に一度読んでいたのか、それともどこかで同じ話を書かれていたのか、聞いたことのあるような話が多かったのですが、復習として読むことができました。「こじき」と「こつじき」の違い。後者はお坊さんが修行のために出歩いて、ご喜捨を乞う。子どものころ、家の前でずっとお経をとなえるお坊さんがいて、小銭をあげるまでなかなか家の前から離れない、なんだか恐ろしい思いをした覚えがあります。鴨川にかかる橋の上には、戦争で手足をなくしたような人がおわんか何かを前において座っているのもよく見かけました。そう言えば、最近、新聞で「河原町のジュリー」の思い出話を読みました。私が、ずいぶん前に勤務していた地域には「あっちこっち」と呼ばれる女性がいました。ことばは正しくないかもしれませんが、たぶんバブルの時期くらいを境に、世の中がきれいになっていったのかもしれません。それでも、最近の話ですが、会議や何かで京都駅近くのビル街に行くと、いつもぼろをまとった男の人に出会います。「お恵みを」と言われることもないのですが、そうしてでも生きていけるのは、世の中が豊かになったせいなのでしょうか。それとも貧しいからでしょうか。学生とのインド旅行の話。芭蕉と西行の話。頂上目前に食べたキュウリの話。宇宙飛行士土井隆雄さんの話。平将門の首といっしょに出てきたのはトマス=モアの首。これは初耳でした。まあ、おもしろい話題が満載でした。1995年より後、2001年より前に書かれた本です。
(ここから先に書いていたレビュー、2回読んで、2回レビューを書いて気付いていない・・・)
図書館のリサイクル市で見つけてきて読みました。自分にとっての宗教とは何か、神とはどういう存在であるのか、そういうことに少しずつ興味をおぼえます。私自身は特に一つの宗教を信じているというわけではありません。しかし、たとえば、米粒は一つも残さずにきれいにご飯を食べます。水にしろ、電気にしろ、食物にしろ、衣類にしろ、「もったいない」という精神を強く持っています。何か行動をするときに常にだれか(お天道様)に見られているという意識があります。夕日に感動します。森に入れば神聖な気持ちにもなります。何らかの宗教心のようなものが私の身体の中に染み込んでいるのだと思います。これは両親の教えなのかどうか分かりません。生まれ育った環境が大きく影響しているとは思います。私はどちらかというと理科系人間で、非科学的な議論(たとえば血液型の話など)にはできるだけ関わりたくありません。それでも、悪いことをすれば、いずれバチが当たるとか、タタリがあるとか、思ったりはします。歴代の総理大臣が靖国神社に参拝するしないで問題になったりしますが、著者の考えではタタリがこわいからなのだそうです。物の怪とか崇りとかちょっとぞくっとする話しですが、あっさりと「そんなことありえない」とは言ってしまえない、そういう心の弱さ?があります。本書の後半には、宇宙飛行士やカーレーサーと神の話とか、インド旅行の話とか、四国八十八札所のこととか、脳死臓器移植のこととか、興味深い話題が数多く紹介されています。ところで、最近、立ち読みで(バチが当たるかな?)般若心経の自由約を読みました。いろいろ本を読みながら自分が考えていたことと同じようなことが書かれていました。私自身が単独で思いつくことなど何もなくて、過去に生かされているのだなあとあらためて感じました。私を通じて過去から未来へと、また何かを伝えられればいいなあとも思いました。 -
日本人の精神性がいかに日本列島の風土に影響されているかを判りやすく説いた本。『奥の細道』のくだりは、小林秀雄や柳田邦夫を引っ張り出して読み直したくなった。
多くの日本人が無意識のうちに根幹に持っているだろう内面世界を、非常にわかりやすく説いている。
さらりと読める一冊。 -
始めは、なんだかすごく主観的だなぁという印象をもったが、読んでいくと、「宗教を専門にしてる人はこんな風に世界を観るんだ」と素直に引き込まれた。童謡「夕焼け子焼け」が仏教の根本的な精神を歌っているという話や、寺と教会のならす鐘の意味の違いの話、「高さ」や「速さ」が人間に与える宗教的な体験の話など、とても斬新なようで妙に納得できる、興味深い話がたくさんあった。学問としての宗教じゃなくて、日々の生活の中で身体で感じる宗教についての本。
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宗教というと、なんとなく忌諱してしまう単語かも知れません。こういう私もその1人です。信者や信徒などという言葉をきくと殊更その気持ちも大きくなります。 しかし、私たちは少なくとも見えない宗教の力に頼ったりし、心の拠り所ににしていることに気づかないものです。 その本質を理解してこそ、私たちの生活に溢れている宗教観に触れてみてはいかがでしょうか? きっと、生き方が変わる事でしょう。
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高校の時の読書課題。宗教に興味の無い方には難しい一冊。でも僕は高校の時に読んだ。