伝わる・揺さぶる! 文章を書く (PHP新書)

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569617367

感想・レビュー・書評

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  • 私は、書くための手法を学ぼうとしてこの本を読んだのではないのですが、著者は「あなたには書く力がある。本気でそれを伝えるために私はこの一冊を書いた」と言っています。まさに、教えてあげようという、上から目線で書かれています。とてもついていけません。この本を読んで「なるほど」と理解できる人がどれほどいるのかと思います。

    冒頭(プロローグ)で、17歳の女子高生に小論文の書き方を指導した際のエピソードが13ページにもわたって書いてあります。しかし、私はそこから何も学ぶことはありませんでした。それは、著者の自慢話になっているからです。

    「私の問いかけは、水に投じた小石のように、彼女の内部で波紋を広げた。やがて波動が大きくなって・・・」と、それはまさに自慢話以外のなにものでもありません。文章の書き方を学ぼうと思う人にとってこんな記述が何の役にたつのかと思います。

    著者としては、そういう実績を披露することで、この本が有効であることを言いたいのかもしれません。しかし、私にとっては、とても「なるほど」と素直になれません。おかしな記述が至る所に散らばっています。

    その一つが、「つまり、書くことによって、あなたがあなたの潜在力を生かし、読み手を共鳴させることだ」です。これは、「つまり」とあるところから、「あること」を具体的に説明しているわけですが、「読み手を共鳴させることだ」に係る主語が欠落しています。

    「つまり、それは・・・だ」というのであれば、文章としての問題はないのですが、「それは」が欠落しているため私は「あれっ?」と思ってしまいました。そこにどういう言葉を入れればこの文章はその意味を成すのか、私は考えてみたのですが答えは出ませんでした。

  • 「文章を考えて書く!」いかに普段考えずに書きなぐっているか反省させられる。考える道具として、「?」つまり問いを持つことにより展開していくとは、有効な手段だ。文章を展開していくための7つの要件をしっかり考えていく。このため、例えば議事録、自薦書、詫び文、メール文などの基本を学ぶことができた。これらはチェックポイントとして常時意識するようにしたい。「素晴らしい」「可愛い」などという言葉の濫発は、そこに逃げている思考停止を招いているとは苦笑いだ、心したい。

  • 「状況の中で、人との関係性の中で機能し、望む結果を出す文章たち。それらは、花のように美しくはないが、人を動かし、よく状況を切り拓く。いわば、機能美の文章だ」(P28)
    「文章の善し悪しは、目指すゴールによって違う。芸術作品はともかく、私たちが、仕事や日常で書く文章は、考えれば、読み手や目指す結果がはっきりしたものが多い。まず、ゴールを明確にすること。そして、ゴールから逆算して必要なことを、必要なレベルまでやればいい」(P31)
    「書くことによって、あなたがあなたの潜在力を生かし、読み手を共鳴させることだ。読み手に、共感・納得・発見などの心の動きが生まれれば、やがてそれは読み手の内部で大きな振動となって、読み手自身の潜在力を揺さぶり起こすだろう」(P33)
    「すなわち、機能文とは、自分が言いたいことをはっきりさせ、その根拠を示して、読み手の納得・共感を得る文章」(P37-)
    「自分が書いた文章を読み終えたとき、読み手に、どう言ってもらいたいか、その言葉で結果をイメージするのだ」(P60)
    「もし、ただ、だれかを傷つけるだけ、ただ落ち込ませるだけで、その後に何も生み出さない文章だと気がついたら、あなたはそれでも、発信したいだろうか」「自分の書くもので人に歓びを与えられるかどうか?」(P62)
    「読み手は、まだあなたの意見を読んでいなくても、問いの立て方だけで、あなた独自の見方・センスを感じ取るのだ」(P69)
    「1.まず、自分側の理由を洗い出す。2.相手側にとってのメリットをあげてみる。3.相手の反対理由を正確に押さえる。4.相手の反対理由に焦点を合わせ、説得材料を見たり聞いたり、足を運んで調べる。5.相手にわかるよう筋道立てて論拠を提示する」(P95)
    「地球環境保護という「論拠」が正しいことと、それを論拠にした「意見」が正しいかどうかは、まったく別の問題だ。それは、母なる自然は何としても守らなければなりません。だから人間は地球上から消えるべきです。という極端な例を持ち出さなくても明らかだろう」(P97-)
    「あまりにも正しい大義名分を「論拠」に掲げてしまうと、そこで思考停止に陥り、問題を慎重に考えようとする気持ちをなくしてしまう。多くの問題は、正しいことが正しいとわかっていても、どうしようもなくて起きてしまう」「正論を押し付けても意味がないのだ」(P98)
    「問題を多角的に見る」「(1)自分の体験・見聞を洗い出す」「(2)必要な基礎知識を調べる」「(3)具体的事例を見る」「(4)別の立場から見る」「(5)海外と比較して見る」「(6)歴史を押さえる」「(7)スペシャリストの視点を知る」(P100-)
    「お母さんには、要約の達人が多い」「根本思想に着目すれば、膨大な文章でも、ごく短く言える」(P106)
    「短く言えないということは、大事なことの順番が自分にもわかっていないということだ」(P108)
    「否定するだけという方法は、状況を動かさない」(P115)
    「何を頼まれるかより、だれから頼まれるかの方が雄弁なときもある。入り口のところで、自分が信頼されなければ、後の文章は読んでもらえないことさえある」(P135)
    「依頼の手紙で一番心がけたいのは、相手のやる気を引き出すことだ。それさえできれば、うまくいってもいかなくても、相手に爽やかな印象を残すことができ、それが次につながることだってある」(P135)
    「個人の思いを大事にしながらも、自分のやろうとしていることを広い目でとらえて、そこに関わっている人たちを見失わないようにする。そのグッドバランスが最強の1人称になる」(P141)
    「出席者が「何を」話しているかではなく、「何について」話しているか? 発言の裏にある、「問い」つまり論点に注目して聞き、メモをとるのだ。いい発言をする人、また、会議の流れを変えるような発言をする人は、必ず、「いい問い」を持っている」(P146)
    「文章を書きはじめる前に、段落ごとの機能構造を、自分でゼロから組み立ててみる。それにはまず最終的な結果をイメージすることが必要だ」(P170)
    「謝る」「相手側から見るステージ」「罪を積極的に認めるステージ」「原因を究明するステージ」「将来に向けた修正を示す」「どう償うかを示す」(P174)
    「要件のメールでは、意見を文章の頭にはっきり書こう。長く書いてしまったメール、忙しい相手でも、いちばん大事なことを頭に書いておけば、読み飛ばされることはない」「意見を文頭にはっきり書いたら、あとは理由を筋道立てて説明すればいい」(P180-)
    「メールのタイトルを見ただけで何が書いてあるかわかり、急ぎの度合いや返信の有無など処理の仕方までわかるとしたら、相手にとって親切であると同時に、自分の伝えたいことを伝えたいタイミングで確実に読んでもらうことができる。このタイトルスペースを活用しない手はない」(P183)
    「専門家になってしまうと、わからない人の、わからないという気持ちがわからない」「だから、自分の中に、あえて死角をつくったり、だれかに引いた目線で観てもらったり、素人の人に取材するなど、わからない状態を知る努力が必要になってくる」(P196-)
    「自分にボキャブラリーがないために「素晴らしい」に逃げていることに気がついた。そこで私は、自分に「素晴らしい」使用禁止令を出した」「それにょり、いつも以上に時間をかけて原稿をよく読むことが必要になった。そこに魅力があるか? なぜ魅力があるか? それをどういう言葉で表現するか?」(P210)
    「クライアント殴ってしもた、えらいことをしてしもた」(P215)
    「ゴールと関係のない、向こうの失礼にはじっと耐え、前向きな発言を粘り強く、繰り返した。最終的に、主張は通った。信頼も得た。結果も得たのだ。でも翌日、私は、その仕事への興味や意欲を失っている自分に気づいた。それだけではなく、生きるエネルギーみたいなものがしぼんでしまったような気がした」(P215)
    「正直という戦略」(P220)
    「人によって定義がブレる言葉は、相手のものをオウム返しにつかうと危険だ」(P228)
    「あなたの仕事を私はこう受け取っている、という根本思想をコミュニケーションのはじめのところではっきりと示していこう」(P229)
    「違和感という形で、ときに反発という形で、相手の潜在力を揺り動かすことができれば、相手を生かし、自分を相手の中に生かしたことに他ならない」(P236)

  • 何かを他者に説明し、説得し、了承を得る行為は、企業に於いては社内文書においてなされる事が多いだろう。明快な結論を冒頭に記し、根拠となる事例を列挙して行く。最終的に己が下した結論が如何に正しいかを、再度述べて文書は締め括られる。問題とされる議題について、自分が現在、どの様な関わり方をして、どう変えて行く事が必要かを、考える事。個人的な理由や希望は、会社全体にとっての利益が最優先されるので、後回しにされるべきだろう。誰が考えても、書かれた結論が正しいと思わせるには、自分自身の視点レベルを、組織全体のレベルに、拡張して敷衍して行く必要がある。論戦する際に、感情に囚われがちになるが、出来るだけ、客観的な見方を保持した方が、相手にとっても理解し易いだろう。説得において、相手の弱点を把握している事も、重要だ。問題が、最終的に相手の弱点を解消する事に繋がるならば、相手はその問題と真剣に向き合わざるを得なくなる。説得する技術の基本は、組織全体が、どうすればより良く改善するのか、と考える事にあるだろう。

  • これは以前読んだ「あなたの話はなぜ通じないのか」、とほぼ同じ内容。被ってるからなのか、ほとんど入ってこなかった。結局、善良すぎる。著者のやり方は、いちいち納得できるしその通りだろう。もしかしたらこれを徹底すれば、かなりの確率で選ばれし者になれるかもしれない。でも、やっぱり自己啓発本。文章というものをここまで前面に押し出されると少々辟易する。

著者プロフィール

全国各地で、表現教室のワークショップ、大学講義、講演などを通じ、表現力・考える力・コミュニケーション力の育成に幅広く活躍中。『伝わる・揺さぶる!文章を書く』『おとなの小論文教室。』他著書多数。

「2018年 『理解という名の愛がほしい。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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