自分の力を信じる思想 (PHP新書 169)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569618340

感想・レビュー・書評

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  • 力には、外へ向く「人を動かす力」と内へ向く「自分を動かす力」の二種類あり、「自分の力」とは後者のことと位置付け、その具体的な力を各章で考察しています。その中でも「生きる力」の章が特に参考になりました。
    自由と豊かさによって「自分」がはじめて自分のものとなったが、今では逆に「自分」が自由に追い詰められ、飽和して、果ては「自分」に飽き、散逸してしまう。生きている実感の無さは命の実感の無さであり、昨今の短絡的で理由の無い事件は「自分」の終焉に関係しているとの指摘は凄く納得。「他人の命は鼻紙一枚のように軽く、その行為によって台無しになる自分の生も軽い」は強く心に残りました。
    総じて哲学的な内容が展開されるが、著者はあくまで普通の人の視点に立つことを貫いているため、入っていきやすいですし、何より、論客を引っ張り出しては、殺陣の様にバッサバッサ切っていくので、爽快感もあって読みやすかったです。また、そんな論者だからこそ、「真面目」「努力」「一生懸命」「頑張る」など泥臭い姿勢が大事なんだと結論付けていることに、自分としては安心感というか救われる部分もあって好感が持てました。
    左右見渡しても車が一台も見えない赤信号でずっと待ってるという、考えることに対しての「不真面目」さの例えがユニークでした。

  • 自分の力とは真面目に取り組むこと

  • 全体はダ作なのに、部分部分にキラリと光る文章がある。
    たとえば、「まじめ」について著者はこう書く「まじめは自分の力の源である。まじめでなければ自分の力は身につかないといっていい。そして自分の力が今度は、そのまじめをハガネのようなまじめに精錬するのだ」と。「考える」について「考えることには理由と目的がある」。
    「覚悟する力」では「1.問題の本質がなにかをつかむ2.論理にとらわれない3.感情的にならないetc」

  • [ 内容 ]
    「勝ち組」に入ることだけを目指す生き方。
    競争ゲームから降りて、「自分らしい楽で自由な人生」を目指す生き方。
    いま私たちにこれ以外の「ふつう」の生き方は残っていないのか?
    生きる上で最強かつ最後に必要なのは、知力・体力・経済力でもなく「自分の力」。
    「充実感」などどうでもいい。
    勝敗の思想を解体せよ。
    自分で「考え」「まじめ」に努力する者だけにその力は与えられ、人生をまっとうすることができるのだ。
    多発する犯罪・自殺、失業への怯え―厳しい時代に生き続ける意味を問う、勇気の出る思想。

    [ 目次 ]
    第1章 わたしたちは「自分の力」を欲している―「できる力」
    第2章 「生きている実感」とはなにか―「生きる力」
    第3章 究極の「仕事の意味」とはなにか―「対応する力」
    第4章 「二階」に上がることは必要か―「感応する力」
    第5章 ほんとうの「まじめ」は最強である―「自立する力」
    第6章 なぜ、なんのために、どう「考える」のか―「考える力」
    終章 「力」の思想をいかに解体するか―「信じる力」

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    [ 参考となる書評 ]

  • 人生を生きて行く上で必要なのは、自分の力。自分で考え、まじめに努力するものだけが人生をまっとうできる。

    30歳で自分にとどめをさす。という部分が気に入った。

    自分は何をやってもだめだとか、自分の好きな事をしたいとか、自分らしく生きたいと「自分」のことばかりを考えるコドモな考えは30歳までにしよう。

    自分が何をやってもだめだということはありえない。自分はまだ何もやっていないので、自分はまだまだだと考えるのが正しい。
    自分に負荷をかけて弱さをコントールしたいと思う。

  • ロジカルであるかどうかは別として、この本にある論はとても好ましいし、力になる。自分とはなにか、なんてどうでもいい、という言葉は印象に残っている。ずっとそんなことを考えてきたから。だけど、そんなことに鬱々としていたって仕方ない。今、あること、すべきことを真面目に努力する、それが大事だ。今、ここにいるのは何かを選択してきた結果であり、ごちゃごちゃ言ったって仕方ない。自分を忘れるくらい、付加をかけ、ちょっと無理してもやってみたとき、作者が言うように自分の力がつく。真面目に、考え続け、行動し続ける、それだけだ。

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著者プロフィール

1947年大分県生まれ。明治大学政治経済学部卒業。洋書輸入会社に入社したが2006年に退社、執筆活動に専念。「ふつうの人」の立場から「自分」が生きていくことの意味を問いつづけ、『まれに見るバカ』(洋泉社・新書y)で話題に。その後も『アマチュア論。』(ミシマ社)、『会社員の父から息子へ』(ちくま新書)、『定年後のリアル』(草思社文庫)など著書多数。

「2017年 『ウソつきの国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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