スローキャリア

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569635743

感想・レビュー・書評

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  • キャリアについての本です。
    15年前の本なので、若干の古さはありますが、今でも通用する本です。
    個人的に学びになったのは、【動機付け】と【価値観】は異なるという事でした。
    これらを混同せず、理解が必要です。

  • 人事コンサルタントとして著名な高橋俊介氏の、自分なりの価値観をベースにしてキャリアを作っていく際のアドバイスが詰まった一冊です。

    この方の考え方にも共鳴できるところが多く、だからこそ素直に学び、実践して、自分なりの経験と学びを得たことは多いです。自分がこういう志向をしているのだな、という整理にもなる。

    そんな納得感があった考え方を抜粋:
    『スローキャリアカンパニーの特徴:
    1. 序列が少なく開放的で多様性がある。
    2. 商品やサービス、戦略などに質的こだわりがある。
    3. 自己裁量度が高く、成果を問われるマネジメントスタイル
    4. 行動指針やコンプライアンスがはっきりしていて守られている
    5. キャリア自律への健全なプレッシャーがある
    6. 採用時に、働く価値観や組織ビジョンをはっきりする。
    7. 中途採用時に、単純な職務経験以上に、過去の実績やその実績をあげる過程で何を考えどんなことをしてきたかというプロセスを重視する。逆に、表面的スキルや経験を聞き、そのスキルや経験が用意しているポストの仕事をこなすのに適当かどうかで採用を決める、いわゆる「スペック採用」をしている会社では、個人のポリシーや価値観が二の次にされる恐れがある。
    8. 自律的キャリア形成への具体的な取り組みがある。』

    『私は採用に関して、上昇志向の強い人と裏表のある人は絶対に入社させないと言うことを徹底した。社長である私のポリシーに、会社をとにかく大きくしたいという価値観はなかったので、上昇志向の強い人に来てもらっても困るのだ。それからコンサルタント能力のうちで、私は特に人間力を重視していたので、他の能力は秀でていても、裏表のあるような人とは一緒に働けないと思っていたのだった。』

    『ベースのコストを極力抑えることが出来れば、お金のためにポリシーや価値観に反する仕事をやったり、上昇志向のプレッシャーをかけて社員を遅くまで働かせる必要もなくなるのだから、ローコストオペレーションというのはスロー起業の基本概念といえるだろう。そして私はまさにそういう会社を作りたかったのだ。』

  • 「オススメしたい人」
    就活中盤〜終盤(複数内定状態)にかけて、入社後2〜3年目にかけてでキャリアについて自問し始めた人がターゲットかと。社内での出世こそがキャリアアップの時代、労働市場価値を上げる事こそがキャリアアップの時代、どちらにも違和感を覚えつつかといって考え始めると自己分析の闇に陥ろうとしている人に一読いただきたい。
    今は”やりたい事がない”けどやらされ仕事はいやだ。そんな思考を持つ人に合うのがスローキャリアの考え方だと思う。

    「学び」
    スローキャリアとは、のんびり仕事することではなく、上昇志向以外の動機に基づき自律的にキャリアを形成していくことだと定義している。

    ・「お前が望むのは”コンサルティング会社に入ること”か”コンサルタントになること”か。」(筆者は良いコンサルタントになるには新卒でむしろ日系大企業のドメドメした人間関係を経験することも重要な場合があると提言)
    →大事な問い。どうしても肩書きに目がいってしまうけど、自律したキャリアには節目において地に足をつけて仕事を棚卸しする必要がある。

    ・価値観→動機→行動特性→スキル
    →表面上のスキルにばかり目が行きがちがが、その裏にあるものを把握しておく必要がある。同時に重要なのが、それをキャリアの軸としつつも変わることもある事を認識しておく事。

    ・スローキャリアは個人の行動であると共に、活動でもある
    →これはその通り。スローキャリアが認められる社会になるためにはそうしたいと考えている人からまず行動することで広げていく必要がある。結果的に上昇志向派のようにキャリアアップしたように見られる事があるため発信を行うときの立場表明には工夫が必要かも。

    ※ただ、影響力の武器にもあるように人間は「一貫性」を強く重んじるため、「良い意味で過去に囚われない計画的偶発性理論的キャリア選択」に踏み切る事は言うほど簡単ではない気がする。そこを具体的にどうするのか、まで考えきれるかがこの理論の実現可能性の分かれ目な気がする。

    (この本で言及されていた具体の方法論のうち納得感あったのは①生活の損益分岐点を下げておく②ライフステージのどの段階かを棚卸しする事。この二つ、何が良いかと言うと、自分のMUSTとしての最低ラインがわかる事。そうすることで初めてCAN、WILLに基づく選択に積極性が生まれるのではないか。)

  • スローキャリア=仕事に熱意を持てなくてもいい、ではなかったから、心を楽にしてくれる内容ではなかったが、考え方としては勉強になった。

  • ★本書のメッセージ
    キャリアにはアップもダウンもありはあしない。幸せなキャリア作りがあるだけだ

    ★読んだきっかけ
    戸田氏の『働く理由』 に引用されており、興味を持った

    ★本の概要
    この世の中には、会社の成長や自己の成長を目的として働く人≒上昇志向でキャリアを考える人と、スローキャリア≒金銭面や、出世などではなく、自分の中の価値観・仕事内容を重視して働く人とある。あなたはどちらになりたいか...。著者としては、スローキャリアを強く薦めている

    ★本の面白かった点、学びになった点
    *2004年に書かれた本でありながら、今も十分に通ずる内容になっているのが面白い。いまも、ベンチャー業界などでは、会社の成長や事業の成長を主な目的としている会社は多い。上昇志向をベースに生きている人は、未だ少なくないように思われる

    *この不確実性の大きな時代、計画的にキャリアを築くなど無理だし、不可能に近い。もっと、流れに身を任せるように、緒感や興味の赴くままに職場を選べばいい

    *スローキャリアと対局をなすのが、アチーバー型キャリア
    ・上昇志向型動機によってドライブされるのがアチーバー型キャリア
    ・影響を与えたい、出世欲、賞賛欲、支配欲、などによって動機づけられている
    ・こういうアチーバー型キャリアを志向している人は、暴走するリスクもあり、ダースベーダーのようになる場合がある

    *上昇志向ではない動機によってドライブされるのがスローキャリア
    ①根源的自分らしさへのこだわり
    →自分の価値観や優先したいプロセスなどを考え、それを仕事と一致させよう
    ②変化への柔軟な対応と経験からの学習
    →固定せず、何かに無理に個室せず、仕事を続けることが大事。動機は常に変わるものである
    ③目標ではなく個性あるキャリアを目指す
    →その会社における出世や賞賛ではなく、いかに自分らしい価値観を体現できているか、そのプロセスを重要視して働く
    ④人生のフェーズにおける使いわけ
    キャリアや人生にはフェーズがあるものだ。短期的にはバランスにかけていても、長期的に見て充実したキャリアが送れていれば、いいと考える
    ⑤損益分岐点の低い生活スタイルを心がける
    報酬に関係なくやりたい仕事をやるためには、ちょっとした工夫が必要だ。
    それは、生活費の損益分岐点を下げることである

    *スローキャリアと成果主義は近い概念。無視できない
    ・成果申告手法によって、自分で考えた分の成果を申告し、それによって評価を受ける
    →自分に甘いばかりの働き方、キャリアにならないように注意


    *スローキャリアカンパニーの特徴
    ①序列が少なく開放的で多様性がある
    ・机の大きさで差をつけたりしない、そういう序列を表す記号的なものが多い
    ・商品やサービス、戦略などに質的こだわりがある

    ②商品やサービス、戦略などに質的こだわりがある
    ・売れればいい、会社がもうかればそれでよしというのではない

    ③自己裁量度が高く、成果を問われるマネジメントスタイル
    ・仕事における個人の裁量度が高く、同時に成果や責任を問われる社会であれば、自律的にキャリアを切り開く力をつけやすい

    ④行動指針やコンプライアンスがはっきりしていて守られている
    ・やってはいけないことをやるのは数字をあげるためでも許されないという空気が会社にあることが重要

    ⑤キャリア自律への健全なプレッシャーがある
    ・明確なビジョンを提示され成果に対する健全なプレッシャーもあるほうが、仕事に必要な能力は早く獲得できる
    ・成果主義の縛りが弱いと、能力開発のための自己投資よりも、リラックスという方向に人は気持ちが振れてしまう

    ⑥採用時に、働く価値観や組織ビジョンをはっきりする
    ・会社が採用の際に、個人が組織との価値観の適合を確認する、そういう面接を行う会社であれば、スローキャリアの人が働きやすい環境が整っているといえよう

    ⑦自律的キャリア形成への具体的な取り組みがある
    ・社員の自律的キャリア形成を重視しているというメッセージを、経営者が発信している

    *仕事をしながらスローキャリアを支援しよう。マックやチェーン居酒屋を利用するよりも、一つ一つの仕事を丁寧に、きっちりと行っている飲み屋を大切に扱おう

    *俺の大学時代の恩師も、よくよく考えると超スローキャリアだな..

    ●学んだことをどうアクションに生かすか
    *今度転職する際は、スローキャリアカンパニーの色が濃い企業にする
    →働いている人たちが、アチーバー型なのか、スローキャリア型なのかをよく考えて、転職するかどうかを決める


    ●タグを設定しよう

  • ビジネス
    自己啓発
    思索

  • 人間、いくつになってもスキルは身につけられる。この本にも、50歳でも語学は学べるとある。あきらめずに、興味あることを色々身につけていきたい。自分で考えて行動していくこと、上司から言われたからというのを脱却していくことが、幸せへの第一歩だと改めて思った。ざっと読んだだけだが、また気になったら再読したい。

  • "高橋俊介先生の最新作。スローフード、つまり食の質を見つめ直すというこの言葉から、キャリアについても、スローキャリアを考えてみようという本。上昇志向が強くない人もいる。キャリアにアップもダウンもない。幸せか、そうでないかというキャリアを考えていく本。この講演も以前聴いたことがある。
    7つのポリシー
    ・根源的自分らしさへのこだわり
    ・変化への柔軟な対応と経験からの学習
    ・目標ではなく個性にあうキャリア オンリーワン
    ・人生のフェーズによる使い分け
    ・損益分岐点の低い生活スタイル
    ・スローキャリア社会の実現"

  • 出世を急がない人のためのビジネス論
    Slow Career: A Theory of Living for People Without Strong Ambition
    https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-66724-9

  • 『スローキャリア』というタイトルからは、「のんびりマイペースに好きなことして働こうよ。」といったゆるふわ系の内容を想像させるが、そんなゆとり世代に媚びた無責任な本ではない。
    むしろ、どんな時代にあってもブレずに、『根源的な自分らしさ』にこだわり続ける、しなやかで骨太な働き方の啓蒙書である。(社会的な)上昇志向が強くない人間にとっては、画一的な『出世』や『成功』の概念を気持ちよく覆し、働く勇気と希望を与えてくれる素晴らしい内容だと思う。
    自分の就活時代にはこんなこと言ってくれる大人は皆無だったけど、これからはこうゆう考え方・働き方をする人が増えていくのではなかろうか。

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著者プロフィール

高橋 俊介(タカハシ シュンスケ)
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特任教授
1954年東京都生まれ。
2000年に慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授に就任。個人事務所による活動に加え、湘南藤沢キャンパスのキャリア・リソース・ラボを拠点とした個人主導のキャリア開発や組織の人材育成についての研究に従事。2011年より、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授。2022年4月より、現職である慶應義塾大学 SFC研究所上席所員。キャリア形成、人材マネジメント、リーダーシップ、働き方改革などに確かな知見を有し、本質を見抜く目に定評がある。
沖縄県那覇市にも事務所兼住居を持ち、1年のうち3割は沖縄で暮らしながら仕事をしている。
主な著書に『キャリアショック』『21世紀のキャリア論』(以上、東洋経済新報社)などがある。


「2022年 『キャリアをつくる独学力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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