言いたいことが言えない人 「恥ずかしがり屋」の深層心理 (PHP新書)

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569636139

作品紹介・あらすじ

認めてもらいたいのに気持ちをハッキリと伝えられない。さみしいのに人と接すると居心地が悪い。気まずくなれば自分の殻に閉じこもり、非難されると不機嫌になる。だから摩擦を避ける。▼恥ずかしがり屋は「失敗するのが怖い」「他人から評価されるのが怖い」「断られるのが怖い」「親しくなるのも怖い」。そして臆病になり、他人を警戒し、不信感を持つようになった人なのだ。▼「こんなこと言ったらバカにされる、嫌われる」と思っていませんか。我慢しないでちょっとだけ自分を信じてみたら、人づきあいが楽になる。▼[「恥ずかしがり屋」はこんな人]人に対して「臆病・警戒心・不信感」を抱いている/人と話していて、会話が途切れることを恐れる/怒られると、自分が悪いことをしている気になる/気まずいことがあると、自分が我慢して取り繕う/相手から非難されると、憂鬱で不機嫌になる/嫌われることを恐れて、自分の意見を言えない/うつになりやすい

感想・レビュー・書評

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  • 先日著者の「心の資産を高める生き方」という本を読んだので、その続きでこちらも読んでみた。内容的にも非常に関係性が深いと感じた。

    ここでいう「言いたいことが言えない人」(本書では、「恥ずかしがり屋」と呼んでいる)とは、前掲の著書で述べられている「非生産的いい人」と根を同じくしており、生きづらさを感じながら戦っている人のことであると思う。

    同じ根っことは、いわゆる育った環境(両親の影響など)が要因であるということであり、本人にはそもそもの責任がなく、運命的な要素が強い。

    であるけれども本人は、自身の問題として悩み多く、その悩みと力の限り格闘している。著者は、その忍耐力や努力に対し、非常に能力のある人であるとし、その能力が発揮できることとなるきっかけを著書の中で提示している。

    本書では、「まえがき」で、「この本は恥ずかしがり屋の人が自分自身を理解するための本であり、恥ずかしがり屋でない人が、恥ずかしがり屋の人を理解するための本である。」と述べている。

    本書によれば、次のようなことに思い当たるならば、恥ずかしがり屋の人に該当する可能性が高い。
    ・認めてもらいたいのに気持ちをハッキリ伝えられない。
    ・さみしいのに人と接すると居心地が悪い。
    ・気まずくなれば自分の殻に閉じこもり、非難されると不機嫌になる。だから摩擦を避ける。

    ■恥ずかしがり屋の人の症状
    ・自分を責める
    →端的いうと親の子に対する姿勢に問題があり、親の顔色ばかりうかがうようにして育ってしまった人は、自己主張ができなくなり自分を責める

    ・低い自己評価
    →親から高い期待を課せられ、高すぎる基準を自分に設定してしまうため自己実現できず、それにより自己評価が低下し、それを取り戻すためにまた高い自己基準を設定し、また挫折という悪循環に陥る

    ・矛盾した心理
    →親の圧力等により一方で従順となるが、その根底には納得がなく、従順の裏に敵意があるといった生き方になってしまう。また優劣だけで評価されて生きてきた結果、優劣に敏感になり、他人より優れたいと思う一方、劣等感も強い。

    ・予期不安
    →全てのことに対して起こる前から、こうなるのではないかという不安に苛まれている。

    ■恥ずかしがり屋の人にある4つの社会的恐怖
    ①失敗するのが怖い
    ②他人から評価されるのが怖い
    ③断られるのが怖い
    ④親しくなるもの怖い

    ※①~③は一般的に誰でもあるが、その恐怖のレベルが極度に大きい。
    ①:失敗した子供を励ますのではなく、さらに責める親(子どもの失敗は親自身にとって都合悪い為)
    →失敗を恐れる大人になっていく→自己選択能力がなくなる

    ②:自分で既に自分を低く評価している→他人の評価が自分の価値と考えているが、他人の評価に良し悪しがあっても、悪い評価しか響かない→チヤホヤされたり褒められることが心理的安定

    ③:人から拒まれるだけでなく、会社や世の中から拒否されることを恐れる。出世や権力を求めるのは、会社が世の中から拒否されるのを恐れている。

    ④:作った心の壁を壊される恐怖

    このような分析の後に、どうすれば悩ましい症状や、恐怖から脱出できるかを手段として体系的に述べられているわけではない。

    自分が本書の結論と捉えたのは次の一文である。
    ”恥ずかしがり屋の人にとって必要なのは「私は信じる」という決断である。”

    例えば、「失敗してもどうってことない」と信じる、「他人の評価なんかどうでもいい」と信じる。
    「誰でも人から拒否されることがあるし、逆に自分のことを受け入れてくれている人がいる」ということを信じる。

    そして、一部の人を除いて、「心の壁を取り除いていってもよい」と信じていくことではないだろうか。恐らく当人にとっては、非常に勇気のいる困難な取り組みであろうが。

    なお、本書では、「恥ずかしがり屋」の人が避けるべき存在について最後に触れられていた。それはヒステリータイプの人である。「恥ずかしがり屋」のタイプとは真逆のタイプであり、得てして「恥ずかしがり屋」の人は、ヒステリータイプの人に悪い意味で利用される傾向があるようである。

  • 自分も昔、自分に自信がなくて言いたいことが言えない人間だった。私もきっと自分以外の周りの人間に対する憎しみがあって、それで利用されたり、騙されたりしやすい人間だったのだろうと思った。すべては親子関係から来るものなのかと改めて認識した。自分がこれから娘に対する接し方を今まで以上に気をつけていきたいと思った。だが、最終的にはやっぱり"神様を信じること"(宗教無関係に)に戻ってくるのだなと思った。
    人が怖いと思う事は自分にも体験があるからわかる。
    自分は過去、相当自分に自信がなかったのだと改めて認識した。
    そして今後は自分に自信を持って、神様を信じて生きていきたいと思う。

  • この本を読んでて、「あ~。これ私のことだわ」と実感しました。
    この本のタイトルにもなってる、言いたいことが言えない人=恥ずかしがり屋の人。

    「人と話していて、会話が途切れることを恐れ」「相手が怒っているときに、なんとなく自分が悪いことをしている気持ちになり」「気まずいことがあるくらいなら、自分のほうが我慢し」「相手から非難されたときに、怒ったり憂鬱になったりし」「相手の感情を害することを恐れて、自分の意見を言えない」
    これが典型的な恥ずかしがりやの人。

    「恥ずかしがりやの人はすぐに人に譲ってしまう。
    譲っているが、納得して譲っているわけではない。
    したがって譲るたびに心の底に怒りが蓄積されている。」
    これは今までずっと私がやってきたことです。

    家庭環境から恥ずかしがり屋という人格は培われます。
    そして、恥ずかしがり屋の人は普通の人にとっては何でも無い事が非常に困難だったりする。
    つまり生き難い思いをしながら今日まで生きてきた。
    だからそんな自分を誉めていいんだ、とこの本には書かれてます。

    また、あとがきに、「恥ずかしがり屋の人を積極的に評価するとすれば、それは「嘘をつかないこと」だと思う。」
    と書かれていて、正に私だ!と思いました。

    また、「恥ずかしがり屋の人と正反対にペラペラと平気で嘘をつく人がいる。それはヒステリー性格の人である」とあります。

    ●恥ずかしがり屋の人は利用されるが、ヒステリー性格の人は人を利用する。

    ●恥ずかしがり屋の人は低い自己評価に悩むが、ヒステリー性格の人は大きいことを言っては陶酔する。

    ●恥ずかしがり屋の人はすぐに人に譲ってしまうが、ヒステリー性格の人は自己中心的でわがままで我を通す。人の言うことは聞かない。絶対に譲らない。

    ●同じ兄弟姉妹でも恥ずかしがり屋とヒステリー性格の人がいる。

    最後に、「この本を読んで私は恥ずかしがり屋の人間であると思ったら、生きていくうえでもっとも注意することはヒステリー性格の人と深くかかわらないことである」と結ばれていて、そうしよう!と思いました。

  • 「恥ずかしがり屋」はどうしてそうなるのか。
    意外と根深い、自分ではどうしようもない、先天的、運命的とでも言うべき、家庭を中心とした、育つ過程での人間関係だと筆者は指摘する。
    そのため、「言いたいことが言えない」の僕自身の処方箋というよりは、子どもを育てる親として、こういうところに気をつけて子どもと接さないとなあ…という観点で読んだ。

  • あまりにも自分に当てはまることばかりで、読んでいてつらくなった。病気ではないし、劇的に不幸な人生だったわけではないけれど、生きるのが辛い「言いたいことが言えない人」の特徴や、なぜそうなったのかということをよく捉えている。ただ、鋭い指摘だと思う反面、これはちょっと人によって違うんじゃないか?と、決めつけてる感を感じた箇所があったのと、文章が淡々とし過ぎて冷たい。それからもう少し解決策を内容に盛り込んだほうがいいのでは…と思う。読んだあと思い出したくない過去を思い出し混乱して落ち込み、これからどうやって自分を変えていけばいいのかわからず途方にくれた。「言いたいことが言えない人」にとって自分を知るひとつの手立てにはなるけれど…それが狙いかもしれないけど…自分のこころの奥深くに抑圧してきた闇の部分と向き合うのは辛い。

  • 「恥ずかしがり屋」の人は幼少時代に恵まれない環境で育った、という持論を展開。

    文章は簡潔で読みやすかったが、「親が悪い」「愛情を十分に注がなかった親の責任」ということを延々同じような言葉で書かれていたので、途中で読みたくなくなった。
    データの量も少ないし、起承転結が全くないのでつまらなかった。Bookoff行き決定!

  • <閲覧スタッフより>
    気持ちをハッキリと伝えられない「恥ずかしがり屋」な人に出会った経験、ありませんか?
    「恥ずかしい」という症状の原因や深層心理から、「人を信じる」大切さを教えてくれます。
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    所在記号:新書||141.9||カト
    資料番号:20081346
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  • 読んでみて自分のことだなと思った。
    結構ずばっと、断定して語られてるから読んでて否定されているような気にもなる。
    だからこういう性格の人にはぐさっとくるのかな?

    でもこの本を読んで失敗を恐れないようにしようと思えた。
    怖がりな自分に勝って気持ちを楽にして生きたいと思った。

    あとヒステリーな人。確かにいるし苦手だ。

  • 言いたいことが言えない人は、人に否定されることを恐れている人である。
    恥ずかしくて怖気づいてしまうのは、ひとを信頼していないからである。したくてもできないからである。自分を自分で否定しているから誰も信じられない。

    そういう現象と理由が滔々と書いてある本。
    落ち込んで考えすぎてしまう癖をなんとかならないのかと思って手に取った本。
    これを読んだからといって何も変わらないけど、心の整理にはいいと思う。そうそうそう、とすんなり入っていく感じ。

    一つ気になるのは、「恥ずかしがり屋の大人」と「そうでない健康的な人たち」という比較調査の数値の出し方が曖昧な部分。比較対象を語るなら、グラフなり表なりアンケート結果をちゃんと出して欲しい。

  • 結局、どうしたら良いかは書かれていない。原因は親と決めつけすぎ。親を嫌いにさせたいのか。

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著者プロフィール

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科を修了。元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員。現在、早稲田大学名誉教授。
主な著書に、『自分の心に気づく言葉』『心を安定させる言葉』(以上、PHPエディターズ・グループ)、『心の休ませ方』『自分のうけいれ方』『不安のしずめ方』『自分に気づく心理学』『やさしい人』『絶望から抜け出す心理学』(以上、PHP研究所)、『なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか』(三笠書房)、『心と体をすり減らさないためのストレス・マネジメント』(大和書房)などがある。

「2023年 『ブレない心のつくり方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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