- Amazon.co.jp ・本 (111ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569641973
作品紹介・あらすじ
季にあいたる古の染め色図鑑。野山の彩りを「衣にあわせ」「糸にあわせ」自らの衣裳にまとう。自らの心をあらわすのに、つねに「草あわせ」「花あわせ」をしながら楽しんできた…。
感想・レビュー・書評
-
似た系統でも何種類もの色名があり、昔の人の色彩感覚の豊かさは素晴らしいものがある。実際にその色を染める方法が書かれているのが面白かった。
名前だけ知っていて実際の色をよく知らなかったものもあり、勉強になった。
もっと自然の中にある色を注意して見てみると、微妙な色合いを楽しむ心を養えるだろうか。たまにはあちこちに出かけてみたり、様々な時間帯に外を歩いてみるのも良いかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
■蔵書
-
日本らしい美しく繊細な色がカラーでたくさん紹介されており、美しい日本の自然色と合わせて紹介されています。
見ているだけで心が落ち着きます。
時節行事もあわせて紹介されており、日本古来の暦の送り方を一緒に学ぶことができます。
日本人が色を表現した数は千以上になるとのこと。四季の鮮やかな国ならではの多さです。
毎色、染め方や染料の原料などが専門的に紹介されていると思ったら、著者は染司でした。
色は、季節ごとにまとめられていました。
見たこともない色、読めない色がたくさん出てきます。
海松(みる)色、一位色、憲法黒色、今様色、香色、甕覗(かめのぞき)色、かりろく色、こうろぜん色、承和(そが)色、はじ色、はりずり色、路考茶色(ろこうちゃ)、木賊(とくさ)色、弁柄色、紅絹(もみ)色、団十郎茶色など。
あるいは、色の名前としてあるのは知っていても、実際にはどんな色なのか分からずにいた蘇芳色なども。
やはり、植物由来の名前が一番多いですね。
「四十八茶百鼠」の色彩など、日本ならではの表現の美しさ。うっとりします。
特に、紫色のバリエーションの細かさには驚きました。
京紫、江戸紫、薄紫などのほか、帝王紫とか藤、二藍、桔梗、藤袴などなど微妙な違いで別の色と見做されます。
若竹色ならぬ青紅葉色という色もあり、すてきです。
また、白の下に紅色を重ねた雪ノ下色もロマンチック。
巻末には、登場した天然染料も紹介されていました。
日本ならではの表現の繊細さを愛でられ、幸せを実感できる一冊です。