- 本 ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569648057
作品紹介・あらすじ
「皇室典範」を改正して“女性・女系天皇”も容認すべきか否か。一部では、“男系男子”こそ万世一系の原理だという主張がなされている。しかし著者は、小泉首相の私的諮問機関である「有識者会議」の答申を大筋で評価しながら、皇統の安定的な永続には、さらなる工夫や方策が必要だと説く。すなわち、女帝もその子孫=母系による継承も認めたうえで、順位は兄弟姉妹があれば男子優先が望ましい、という。▼しかし、「女系容認論」は天皇制の否定になるのではないのか? 著者は最近数年の「女性天皇論議」を丹念に追いながら、「女系」が必ずしも天皇制の否定にはつながらない論拠を示す。そして、いま論ずべきことは、皇室の繁栄をいかに持続するかにある。そのためには、女性宮家の創立、皇族養子の復活、さらに天皇・皇太子の過密な御公務の見直しなどの具体案を提唱している。確実な史料と先学の研究を活用し、歴史家の視点から真摯に問う新しい皇室論である。
感想・レビュー・書評
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そうですか・・・
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概ね 著者の意見には賛成。側室復活とか難しいだろうし(てか 側室はどんな人でも良くないでしょう…で、高貴な方を探してきてあてがうとか、そ、そんなわけ?)、女性天皇もありだけど、今のままではずっ〜と女性になりそうだし、子育てと仕事の両立が半端ないくらい大変そうだし…。
ご本人達のお考えはどうなんでしょうね… -
連綿と続いてきた皇位継承の基本は、直系男子を基本とするが、天皇の多妻を認め、皇族を確保してきたことが重要。昭和天皇が一夫多妻を拒否された現在は、皇室典範で否定されている養子と女性天皇を認めるべきとの主張。女性宮家の容認も主張。
筆者は皇統維持を重視する一方、皇族にも厳しい意見を向ける。皇位の継承は一般的な権利でも義務でも無く、まさに皇室固有の特別な地位・役割を引き継ぐことに他ならない。天職だとする。また女性天皇否認論などを表した三笠宮寛仁親王にも厳しい批判を示す。
皇室を愛するまじめな学者さんというイメージで好感。 -
皇室典範改正問題について論じる書。結論としては、男系男子継承を優先しつつ、女性宮家を創設し、女性天皇・女系継承の道も開くべきというもの。この結論は、私の意見とほぼ同じであり、至当なものであると思う。
皇位継承をめぐる歴史的な背景の記述が厚く、皇室典範改正問題を考える上で示唆に富む。特に、宇多天皇即位をめぐる事情や、『大宝令』・『養老令』に「女帝」という語が明記されていたことなどは興味深かった。
ただ、既出の論文を集めたという本書の性格上、内容に重複があったり、各章の関連性がわかりにくいという点と悠仁親王誕生を反映していない点が悔やまれる。
著者プロフィール
所功の作品





