世界史のなかの満洲帝国 (PHP新書 387)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569648804

作品紹介・あらすじ

歴史の表舞台から消滅して六十年。日清・日露戦争を通じて「一〇万の生霊、二〇億の国帑」によって購われた大地-。なぜ満洲に日本人が大挙して向かうことになったのか。清朝中国、モンゴル、朝鮮、そしてロシア。さまざまな利害と思惑が生み出した満洲帝国とは、いったいなんだったのか?その数奇な運命を詳細にたどる。政治的立場や道徳的価値判断をいっさい排し、あくまでも歴史学的に満洲を位置づけようとした最初の試み。日中韓で事あるごとに巻き起こる歴史認識問題を理解するための必読書である。

感想・レビュー・書評

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  • お隣の国なのに何も知らない、無知を埋め合わせる為に読んだが、まずは世界史のはじめからの説明。いやいや、それが出来なかったから読もうと思ったんです。
    ピンポイントでの話しとか、地図をもっと載せてくれたらとか、多分授業用のテキストかな?

  • 純粋な歴史書を目指す。
    支那、韓国、ロシアの成立あたりから論が始まっていて、肝心の満州帝国成立前に力尽きて放り出した。

    あかん。

    ほんまに最近頭が腐って来てる。

  • 意外な真実の大陸史
    信じた!

  •  筆者は満洲国や近現代史は専門ではないようだが、満洲史・モンゴル史が専門の岡田英弘氏の夫人かつ弟子と知り、なるほどと思わされる。中国(漢族)又はロシア中心史観に随所で異を唱えている。
     古代からの地域としての満洲の通史であるため、十章中の第八章になってやっと満洲国が出てくる。前書きで「普遍性のある客観的な歴史」「よい満洲帝国史」を目指したというような趣旨が述べられているのでひるんだが、内容は教科書的な事実の解説が中心である。この地域に満洲国建国以前に何があったか、手軽に知るにはよいのではないか。

  • あいまいな満州というものをよく解説してくれています。しかし、ちょっと複雑。何度も読まないと頭に入らない。
    それにしてもおもしろい。中国~ロシア~朝鮮半島の地図を片手にしないとね。中国の歴史を読みたくなりました。

  • 本書を読み始めた当初、著者が言う「いま現在、存在する国家や個人にとって都合のいいように過去を解釈しなおすのは、岡田英弘にいわせれば、「悪い歴史」である。「よい歴史」というのは、史料のあらゆる情報を、一貫した論理で解釈できる説明のことである。文化の違いや個人の好みを超えて、国家の枠組みや書かれた時代を離れても、なるほどそういうことだったのかと、多数の人が納得できる普遍性をもつことが、「よい歴史」である。」という部分に疑問をもった。
    歴史研究の元ネタとなる歴史書とは本来その時代時代の施政者の都合、正当性を図るために編纂されたものでしかない。近世となり国民国家が台頭してきたからといって普遍性をもった歴史が語られることも無いということは、昨今の大陸の両国の姿勢をみるまでもない。

    ただ、「満州国」「満州帝国」という国家?が当時現在の中国東北三省のエリアを中心に存在していたのは事実である。
    国策や政策を抜きに、とりあえず満州国設立にいたるまでの通史や前後満州国解体からそこになだれ込むソ連、中国共産党やモンゴルがどう動いて、今の東北三省まで落ち着いたのかという通史としては非常に参考になる本である。
    まさに、誰も教えてくれなかった日本現代史の一部にいたるまでの歴史を知ることができた。

    が、通読して思うのは現在の中国でさえとても国民国家とは思えないのだが、当時の満州地域というものは関東軍が「五族共和」を唱えたごとく、国民国家などという思想もない状況であった中、ロシア・ソ連や清国・中国も国民国家などという現代的な括りではなく、ただ帝国主義の範疇でそれぞれ主権を主張していたに過ぎず。あれこれと文句注文をつけてくる姿勢は、かの国の体質はやはりいまだ国民国家たりえないのだろうなと。

  • 高校の世界史では名前しか習わなくてよく分からなかった北アジアの民族や国のつながりがよく分かった。

  • 「歴史には道徳的価値判断を介入させてはいけない」というのは賛成できるが、現実的にそれは可能なのだろうか? というのは疑問に思う。

    前書きでのこの宣言に引き続き「古来、中国に歴史はない。あるのは政治だけである。」という断言は痛快であるし、私も個人的にはそう思うけど、これが道徳的価値判断の介入からフリーであるといえるのだろうか。

    前近代までの内容に関しては、たしかに面白い。
    しかし、近代以降は微妙だな。率直に言うと教科書的でつまらない。

    例えば、満洲への漢人の移住について。
    「もともと満州人が住んでいた土地で、あとから入ってきた農耕民族という意味では漢人も朝鮮人も日本人も大差ない」から「太古以来中国人の生活の場であり、中央政府の統治下にあり、中国固有の領土である」まで、この言説に「政治」を混ぜないのは非常に難しい。
    そのためには、「中国人」「農耕」「民族」「政治」「経済」などありとあらゆるものを解体しなければいけないと思うのだけど、いざそこまで踏み込むかとなると、そこまではしていない。
    常識的といえば常識的かもしれないけど、もったいない気はする。

  • 世界史のとゆうより東アジア史のなかの満洲帝国すね。先住民の時代から日本が負けてしばらくまでの通史。満州でなく満洲の理由とか、中国人は何者なのかとか、昔の日本も含めた国際関係だとか、学ぶところが結構あります。

  • 満州帝国とタイトルにあるけれど、本のほとんどの部分が満州国建国以前の東アジア史が書かれているのには驚いた。確かに満州国が生まれる過程を知るのにはいいけれど、それにしても肝心の満州国の分量が足りないのではないだろうか。ただ作者も自負している通り、史実に忠実で、非常に客観的に書かれているのには好感が持てる

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著者プロフィール

1952年和歌山県生まれ。京都大学文学部卒、大阪大学大学院博士課程修了。博士(学術)。東京外国語大学・常磐大学・国士舘大学・東京大学などの非常勤講師を歴任。最近は、ケーブルテレビやインターネット動画で、モンゴル史、中国史、韓国史、日本近現代史等の講義をしている。
著書に『モンゴルの歴史』(刀水書房)、『最後の遊牧帝国』(講談社)、『世界史のなかの満洲帝国と日本』(以上、ワック)、『真実の中国史』(李白社)、『真実の満洲史』(ビジネス社)など多数。

「2016年 『教科書で教えたい 真実の中国近現代史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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