「騙されない!」ための経済学 モリタク流・経済ニュースのウラ読み術 (PHPビジネス新書 55)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569648972

作品紹介・あらすじ

経済の知識がないと、新聞やテレビの報道を鵜呑みにしがち。だがそれでは「そのニュースの本当の意味」は見えてこないし、挙句、いつのまにか政府やお金持ちの都合のいいように操られている恐れすらあるのだ。それを避けるための「情報の真実を見抜く視点」と、必要最低源の経済知識をやさしく教えるのが本書。新聞の読み方、情報のバイアスの見抜き方から、「日経平均」「バブル」「利上げ・利下げ」など各種経済用語の「ウラ読み術」までを説く。

感想・レビュー・書評

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  • モリタクも庶民じゃないからな

  • 全体的に胡散臭さはある。
    ただ、メディアを鵜呑みにしている私のような経済知識の乏しい人間に、目の前を疑えと警鐘を鳴らすという意味で、とても興味深い本です。

    特に面白かったのは第2章「新自由主義の弱肉強食の論理」。
    新自由主義とはマーガレットサッチャーの採ったような、国営企業を次々と民営化し、同時に規制緩和を進めるという、要するに労働力を注入し経済を活発にするという考え方です。
    国内では小泉・竹中コンビから続く流れですが、モリタクさんは「新自由主義だけが、日本に与えられた唯一の選択肢では無い。」という考え。
    そんなもの世界でもはや米英日だけで、現代では人間らしく働き、安くはないけれど世界中の人がその価値を認めるものを作る国に投資が集まるという考えになっているという。
    これを知っちゃうと、早い・安い精神の国内メーカーはギクッとしちゃいますね。

  • 4年ほど前に森永氏が雑誌において、日本経済に関して、恐らく報道を鵜呑みにしていると騙されてしまいやすいポイントを庶民の立場にたって解説したものです。

    今では民主党政権に変わってしまいましたが、前政権である自民党政権がいかに金持ちを優遇していたかが少しわかった気がしました。

    金持ちは数は少なくても、支配者に占める割合はとても大きく、政治を動かす力を持っているので、資本主義においてはある意味、仕方のないことなのでしょうか。

    最後に森永氏が提唱している「3年分の生活費の貯金があり、それを年3%で回せるのが理想(p204)」は、私も目指してみようと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・権力の側にいる者が、その他の無知な大衆から収奪する、これが資本主義の本質であり、この構造は資本主義システムが生まれてから変わらない(p16)

    ・誰が権力に媚びているか否かは、堀江氏が登場したときの彼の持ち上げ方によって判断できる(p26)

    ・日経というのは、お金持ちのための新聞、資本家や富裕層等の経済的に強い立場の人が喜ぶようにできている(p33)

    ・上海では、都心のマンション値段が2~3億円、バーでは1杯3000円のカクテルを飲んでいる、大半の労働者は月給1万円程度、これは完全なバブル(p39)

    ・バブルがいつ弾けるかは誰にも分からない(p42)

    ・日本経団連が発表した2007年ボーナス支給額は前年比較でプラスだったが、これは500人以上の大企業のみ、厚生労働省の調査ではマイナス、5人以上の企業が対象のため(p49)

    ・株を評価するときのポイントは、1)PER(株価収益率)、2)PBR(株価純資産倍率)、3)株主優待込の配当利回り(p56)

    ・旧UFJ銀行は要管理債権に対して55%もの引当率の引当金を計上させられた、合併後は、もともと過剰だった引当金は不要となり2006年3月決算では7000億円の利益を計上した(p65)

    ・物価=輸入価格+人件費+利益であり、ハイパーインフレはこれら3項目のどれかが極端に大きくなったときに起きる(p85)

    ・30年前には原油があと30年しかないと言われているが、現在では可採埋蔵量は150年あると言われている、この理由はOPECが嘘を付いていたから(p88)

    ・小泉改革が目指したものは、1)マーケットの分配をシフトして資本家に有利にした、2)金持ち優遇税制、3)子弟にスムーズに継承できる仕組み(相続税率の低減)、である(p108)

    ・庶民へは増税継続、配偶者特別控除廃止、老年者控除廃止、定率減税半減、合計で3.9兆円の増税(p109)

    ・地方には職場は3つ、農協・役場・建設業、農産物輸入で農協を、地方交付税カットで役場を、公共事業費削減で建設業をガタガタにした(p128)

    ・日本ではトップ0.1%の富裕層(10万人)が全収入の2%を占める、アメリカでは6%、20年前のアメリカは2%であった、20年前のアメリカが今の日本(p135)

    ・国の債務残高には、国の借金とは性格の違う2つ(財投債、政府短期証券)が含まれる、これを除くと、96年末の597から97年末は594兆円と減少している(p146)

    ・年金は70歳からの支給開始にすると、ちょうどよいと試算されるが、森永氏は増税(金融資産課税、法人税)をすべき(p159)

    ・自分で年金をつくるのは危険な選択、公的年金は税金の上乗せが最終的には2分の1まで引き上げられる(p160)

    ・経済全体が強くなって円高になるのが、日本には一番望ましい(p167)

    ・ギリシアでは48時間を越えて働くと特別の税金がかかる、それは100%、残業手当は全部税金で取られる、だからギリシアでは誰も残業しない(p179)

    ・3年分の生活費の貯金があり、それを年3%で回せるのが理想(p204)

    2010/10/24作成

  • 資本主義は人を幸せにするか・・・

    マスコミでもお馴染みの森永さんの著書。
    バイアスのかかった情報の真髄をいかに理解していくかを
    解いている本です。
    経済用語、経済政策、国際ニュースの真髄を解説しつつ、
    資本主義のトップでもある資本家に騙されないための
    知識武装の重要性を客観的に伝えています。

    資本主義=競争により経済は発展してプラスである
    と考えていましたが、資本主義の世界では、
    労働者=労働力でしかないのです。
    いつのまにか、私たちは、残業をして有給も使わず働いて
    と人間らしさを忘れてがむしゃらに働いていますが、
    資本主義のトップである資本家から見れば取替えのきく
    労働力でしかないのです。

    だからといって、著者は共産主義や社会主義に変わればいい
    というのではなく、資本主義とは何かを伝え、
    騙されないために知識武装をして、
    人間らしさを取り戻すために、しっかり定時で帰り、有給を
    取得し、権利を主張しようというのです。

    この本を読んで、情報の真髄を読み解く知識を得る重要さと
    人間らしさを取り戻すために、仕事以外でも人生を満足できる
    何かを探していきたいと感じました。

  • 【レビュー】
    痛快さ:★★★★★
    信頼性:判断できず。
    結局、経済に関する問題に正解はあるのだろうか。
    【特記事項】
    ・資本主義とは、権力が無知な大衆から収奪するシステム。
    ・ニュースステーションに出演していたころ、内閣情報調査室の人が訪ねてきた。政府はチェックはしているよう。
    ・会計情報も、本業でもうけているかを識別せよ。
    ・金融資産課税をやればよいという案には賛成。
    ●異常は必ず平常に戻る。ただその時期や方法が予測できないだけ。

  • 経済アナリストのモリタク氏の著。
    モリタクさんは、庶民派目線なので、好きです。

    政府や金持ちの都合に振り回されないよう、知識を身につけることが本書の目的。
    この本は3年前のものですが、この時点で著者はすでに円高で1ドル80円台になるだろうと予測していた。

    日経平均株価に一喜一憂するのは馬鹿らしいということや、ホワイトカラーエグゼンプションでただ働きさせられるなど、我々に物事をわかりやすく伝えてくれます。

    そしてモリタクさんは、小泉内閣の政策を結構批判しますな。。

  • イメージではちょっとこの人うさん臭いんですけどw
    小泉構造改革を、新自由主義を真っ向から否定する内容。
    今の民主よりの内容です。
    よくある論説の嘘を暴き、見抜く考え方を解説しています。
    その解説も怪しい部分はあるんですがw
    でも思想は近いんですよ。

    冒頭はまず皆さんがだまされていることを説明。
    マスコミも政治家もエコノミストも、
    それぞれ悪意はないとしても。
    個人的にはマスコミ、(特にTVですが)嫌いなので、この辺りは同意です。
    やっぱり数字ですよ。金ですよ。多数決は正しくないんです。
    視聴率と人気です。ない奴は干します。

    そういえばアバターとかいう映画もえらい人気みたいで、
    収入がどうのって、歴代一位になったそうですが、
    ドル換算してる時点で、今の世界的ドル安の流れで考えたら、
    ちょっとズルっぽいですよね。そんな説明をしたら面白くないですからね。

    話がそれました。
    TVに限らず新聞もです。
    確かに日経は金持ちが読む新聞です。
    なので内容も金持ちが購読したくなる内容です。
    そりゃ今の経済情勢をわざわざ毎日新聞読んで詳しく知りたい人は・・・
    なので日経は偏った新聞です。
    ついでに日経平均株価も景気を表しているわけではありません。
    あくまでも代表的な1部上場銘柄の225社の平均ですから、
    当然大企業に限った景気しか反映しません。

    と、各項目挙げてく長いので、ポイントを絞ろう
    ・2000年代の好景気の内容見ると、会社の利益は役員報酬と株式配当に
     多く使われ、従業員報酬は減っている。
    ・小泉内閣の構造改革では金持ちがより金持ちになる改革だった。
     (全部じゃないだろうけど。2極化に拍車がかかった)
    ex)相続税法の改正⇒金持ちの子どもは金持ちのまま
      消費税増税も累進ではないので、低所得者ほど相対的に負担になる。
    ・日本人全般に言えるが、アメリカをグローバル化と考える勘違い
     元々俺は欧州信仰が強いのでそんなこたぁないんですが。
     ドルが元のドルには戻れまい。そしてアメリカをすぐ手本にしたがるが、
     今のアメリカ社会のどこがいいんだ?貧富の差は開いてく一方で、
     戦争しか国威がない国なのに。
    ・今の中国もバブルであって、バブルはいつかはじける
     生活感覚で考えれば、必ずバランスがとれる位置にいつか戻る。
     上海でカクテルが3000円。そりゃおかしいべさ。
    ・インフレ・デフレ、国債、年金、失業率。それらのよく言われる誤解。
     インフレターゲットの正当性。国債の発行額がそんなに深刻ではない。
     まぁ、確かに秒ごとに国の借金がいくら~とかいうのはやり過ぎ感が否めないw
     年金。人口の減少が問題であってね。でも国の方がよっぽど信用できるんですよ。
     民間の保険会社よりはね。
     失業率。これも大して増減していないようで、正社員の求人数をみると
     大分減ってるんですね。それで、より正社員の労働時間が長くなって、
     経団連は残業代出さないで済む、裁量労働の枠を広げようと。

    まぁ総中流社会から2極化が進んでいるということです。
    それが資本主義であって、逆が共産主義です。
    でもすぐに共産主義と言ったら極論ですが。

  • 経済“学”ではなく、経済“観”が多い。
    私にとって共感できるところが少なくないが、根拠が弱いのが残念。
    新書じゃ仕方ないのかも。

  • 騙そうとしているのは、権力であり、金持ちであり、エスタブリッシュメントである。騙されるのは、ほとんどの国民である。ねずみ講のような、単純な話ではない。権力者、資本家はもっと巧妙に国民から収奪する。マスコミももちろん、同様である。それが、資本主義の本質である。 という、筆者の考えは正しい。

    「本物の金融リテラシーを身につけたいと思うなら、普通の生活感覚を持つことのほうがよっぽど重要なのです。要するに、ものの持つ価値に対してつけられている価格が高すぎる、あるいは安すぎるということを、皮膚感覚で判断できるようになりなさいということです。」というのは正しい。
    したがって、上海のマンションが2-3億するのも、ロンドンの地下鉄の初乗りが800円もするのも・・・おかしい、という感覚は正しく、いつかこのバブルははじける。しかし、それがいつかは永遠にわからない。。。ガルブレイスはそう言ったらしい。

    著者の主張の多くは正しい。ただし、僕らはこの森永氏にも騙されてはならないのである。彼の主張を客観化するために、僕らは経済学を学ぶしかない・・というパラドックス。

    実際、国債や為替と購買力平価の主張は、? である。間違っていると、普通の庶民の感覚からすると思ってしまう。僕の直感のほうが正しいような気がする。

  • [ 内容 ]
    経済の知識がないと、新聞やテレビの報道を鵜呑みにしがち。
    だがそれでは「そのニュースの本当の意味」は見えてこないし、挙句、いつのまにか政府やお金持ちの都合のいいように操られている恐れすらあるのだ。
    それを避けるための「情報の真実を見抜く視点」と、必要最低源の経済知識をやさしく教えるのが本書。
    新聞の読み方、情報のバイアスの見抜き方から、「日経平均」「バブル」「利上げ・利下げ」など各種経済用語の「ウラ読み術」までを説く。

    [ 目次 ]
    序章 誰があなたを騙そうとしているのか?
    第1章 難解な「経済用語」に騙されるな!(「日経平均株価」に一喜一憂するのはバカらしい 「株価」が表しているのは企業の実力なのか? ほか)
    第2章 「経済政策」のウソを見抜け!(「新自由主義」の弱肉強食の論理は、お金持ちをよりお金持ちにする 「構造改革」で恩恵を被ったのは誰だったのか? ほか)
    第3章 「国際経済」ニュースに翻弄されないために(「円高・円安」-結局、どっちが日本にとって嬉しいことなのか? 「グローバル化」のはずが、単なる「アメリカ化」になっていませんか? ほか)
    終章 経済知識を手に入れて、資本家に踊らされない将来を手に入れよう

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著者プロフィール

経済アナリスト、独協大学教授

「2022年 『楽しい!2拠点生活』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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