村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
2.98
  • (2)
  • (7)
  • (48)
  • (6)
  • (3)
本棚登録 : 147
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569649344

作品紹介・あらすじ

「作家の発言は多かれ少なかれみんな嘘だと思っています」。そう語る本人が25年間ついてきた"嘘"-「日本の小説はほとんど読まなかった」。作品にちりばめられた周到な仕掛けに気づいたとき、村上春樹の壮大な自己演出が見えてきた。しかしそれは読者を煙に巻くためだけではない。暗闘の末に彼が「完璧な文章と完璧な絶望」を叩き込まれ、ひそかに挑んできた相手はだれか?夏目漱石、志賀直哉、太宰治、三島由紀夫…。「騙る」ことを宿命づけられた小説家たちの「闘いの文学史」が、新発見とともに明らかになる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 2017/01/23読了

    読了には結構時間がかかってしまった。
    村上春樹の作品の空気感(オーラ?作風とは少し違う「雰囲気」)と、三島由紀夫の作品を照らし合わせてみると
    類似やモチーフとしている箇所がある という考察。
    スタイルは違えど、生死や感情などのフィールな表現で両者は「同類に近い存在」だったのではないだろうかと考えられる。
    村上春樹をメインとした考察本ではあるが
    個人的には志賀直哉 太宰治 三島由紀夫(本書では「第一の文章」とされる)の作家人、歴史、そして類似性の解説の方が面白く、それがメインであったように思う。
    村上春樹に対する考察は、説明力がいささか足りなかったように感じたのが残念だった。

  • この村上春樹のパズル的「解読」には辟易するが、とにかく春樹が三島を超えねばならないという動機や志については、小説世界それ自体の乗り越えとしてしか説明されていない。誠に浅き夢みしの本。

  • 三島由紀夫、村上春樹読解本として面白かった。
    誰も完全ではないけれど完全を求めるほど脆い人間になっていく。
    鼠やキズキを代表とした弱さの中で闇のように深い絶望と闘う村上春樹の登場人物は魅力的に感じる。

  • 日本文学史に続く闘いの歴史の中で、現在もその闘いを続けている村上春樹という視点の本。
    漱石、鷗外、志賀、太宰、三島と闘いの歴史が語られたのち、村上春樹の三島由紀夫に対する闘いを描いている。ちょっと無理があるのでは?は思える部分が多々あったが、村上春樹の小説読むにあたってまた新しい視点で読めそうでなかなか楽しい本だった。
    「羊をめぐる冒険」と「夏子の冒険」は有名だが、「ノルウェイの森」と「春の雪」はなかなか意外な組み合わせだったけど、少し納得出来る部分もあった。
    「ダンスダンスダンス」と「奔馬」はちょっと無理がある気がしたけど、全体的に村上春樹の小説の奥深さを実感できたので、改めて「風の歌を聴け」から順番読み返してみたくなりました。
    日本の近代文学の有名どころを読んでから読むのがオススメです。特に三島由紀夫の作品は沢山読んでおいた方が面白く読めると思います。

  • 日本の小説は読まないと豪語している村上春樹に待ったをかけ、三島を初めとした日本が誇る偉大な作家達と春樹氏の関係性を論じた、あるようでなかった本。こじ付けだろ、と思わず指摘したくなるような部分も少なくなかったが作品解釈の幅を広げてくれたと思う。文章中に登場してきた小説を読みたい、または読み直したい、という気持ちにさせてくれた。

  • 志賀、太宰、三島の系譜は昔々の講義を思い出さされ、かなり楽しく読めた。
    連綿と続く日本文学の延長に村上春樹をのせて進める話は、面白いものの少々無理も感じた。
    ただ小説を読みかたという点では、勉強になった。
    とはいえ、こんな読み方ちょっとできないけれど。

    80年代村上春樹の小説はよく読んだが、その後たまに読んでもいまひとつピンとこない。 一番怖かったのはノルウェイの森。 あれほど皆が良いというので読んだものの、さっぱり、、、 これはおかしいとすぐに再読してもやっぱり、、、 感受性がなくなったのかなぁ。
    これを機会に村上春樹を再読しようか。

  • [ 内容 ]
    「作家の発言は多かれ少なかれみんな嘘だと思っています」。
    そう語る本人が25年間ついてきた“嘘”?
    「日本の小説はほとんど読まなかった」。
    作品にちりばめられた周到な仕掛けに気づいたとき、村上春樹の壮大な自己演出が見えてきた。
    しかしそれは読者を煙に巻くためだけではない。
    暗闘の末に彼が「完璧な文章と完璧な絶望」を叩き込まれ、ひそかに挑んできた相手はだれか?
    夏目漱石、志賀直哉、太宰治、三島由紀夫…。
    「騙る」ことを宿命づけられた小説家たちの「闘いの文学史」が、新発見とともに明らかになる。

    [ 目次 ]
    序となる文章 「巨大な事物の真実は現われにくい」(村上春樹)
    第1部 闘いと迷宮と-新しい“村上春樹”の発見(ある闘いの文学史-志賀直哉・太宰治・三島由紀夫 太宰と三島という「二」の問題-『風の歌を聴け』 「三」という出口へ-『1973年のピンボール』)
    第2部 世界分裂体験-村上春樹とその時代(「鏡の中」の異界の問題-『羊をめぐる冒険』 脳と意識の微妙な関係-『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 「死=生」を描くリアリズム-『ノルウェイの森』を中心に)
    第3部 世界を含む世界へ-『豊饒の海』から読む村上春樹(「『絶対の不可能』=可能」という主題-『春の雪』と『ノルウェイの森』 「幻でないものがほしい」-『ダンス・ダンス・ダンス』と『奔馬』)
    終わりとなる文章 「(小説家は)理解したほうが負けなのである」(三島由紀夫)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 村上春樹と三島由紀夫、さらには三島と太宰、太宰と志賀直哉、志賀直哉と漱石といった具合にさかのぼってつなげてみたり。いろいろと検証が甘いというかちゃんと論ができてないようなところもあるけれど、私は楽しく読めた。細かいことが気になる、許せないって人は苦手かもしれない。

    三島由紀夫の天人五衰を読んでいて、なんか村上春樹っぽいと思ったことがあったので、ああ同じ事を考える人はいるんだと思って読んでみた。

  • 羊をめぐる冒険は三島の自決の日から始まるが、その他の作品も、三島作品と対比していてとても興味深い。村上春樹作品には、色々と謎が多いが、筆者の分析は謎を解く手がかりになり得る。
    漱石、鴎外、志賀、太宰、三島と日本文学の系図に位置づけたうえでの村上春樹論。

  • 村上春樹の小説を違う視点から見れる感じでおもしろかった、そういう読み方もあるんだなって。すべての解釈に納得できるわけではないがなんか分かる部分もあって興味深い。関係ないけど<第一の文章>ある戦いの文学史、の作家論がとてもおもしろかった。いろいろなものを読み返してみたくなる。

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

批評誌『飢餓陣営』主宰。『自閉症裁判』ほか、福祉関連分野の著作多数。

「2014年 『「生きづらさ」を支える本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。 (PHP新書)のその他の作品

佐藤幹夫の作品

村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。 (PHP新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする