本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)

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  • PHP研究所
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レビュー : 184
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569654300

作品紹介・あらすじ

本を速く読みたい!-それは忙しい現代人の切実な願いである。だが、速読は本当に効果があるのか?10冊の本を闇雲に読むよりも、1冊を丹念に読んだほうが、人生にとってはるかに有益である-著者は、情報が氾濫する時代だからこそ、スロー・リーディングを提唱する。夏目漱石『こころ』や三島由紀夫『金閣寺』から自作の『葬送』まで、古今の名作を題材に、本の活きた知識を体得する実践的な手法の数々を紹介。

感想・レビュー・書評

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  • 速読やフォトリーディングの効用が説かれる中で、あえて流れと逆流しているかのようなスロー・リーディングの勧め。
    著者は、芥川賞受賞者の作家ということで、納得しました。
    速読が効果的なのはビジネス書。小説を速読することは、私にはとても無理だからです。

    文章に誇りを持つプロの作家として、読み飛ばしのようなイメージのある速読に物申したいのでしょう。
    現代の読者は、速読コンプレックスに陥っていると言います。
    「書き手はみんな、自分の本をスロー・リーディングしてもらう前提で書いている」
    「かつての人間たちは、みんなスロー・リーダーであり、スロー・リスナーだった」
    心血を注いで書き上げた文章を読み飛ばすな、という作者の主張がまっすぐ向かってきます。
    言っていることは正論ですが、かなり舌鋒鋭いため、たじたじになります。

    たとえば
    「速読家の知識は単なる脂肪である。」
    「それは何の役にも立たず、ムダに頭の回転を鈍くしているだけの贅肉である。」など。
    そこまで言わなくても、と思いますが、それほどプライドを持って書く側にとっては腹に据えかねる風潮なのでしょう。

    忙しい日々の中で、効率的に本を読むのは大切ですが、スロー・リーディングはきちんと読書の時間を設けて楽しむもの。
    それぞれの読書環境が、少し違うように思います。

    速読法を学んでいない自分としては、たしかに巷にあふれる速読法の本は気になります。
    ただ、それは小説には向かない読み方だと重々承知しているため、習得しようという気持ちには至っていません。
    急いで読んだところで、頭に入らず、結局また読み返さないとダメになってしまうからです。

    著者の作品は未読ですが、難解なのだそう。
    そうした本は、誰も速読はしないと思いますが。

    だからといって、スロー・リーディングはゆっくりならばいいというわけではなく、一定の速度が必要だと説きます。
    音読も書き写しもスロー・リーディングには適さず、ゆっくりと読み返すのが最適なのだそうです。

    言葉を変え、表現を変えて著者が説くのは、「量より質」ということ。
    たしかに多読よりも、少しの本を読み込んで深く理解する方が自分の実になっていきます。

    自分のものとすることで、血になり肉となっていく本の情報。
    たしかにスピーディな速読では、読後に内容についてあれこれ考える時間も省略されている気がします。
    読書は浅く広くではなく、狭く深く。

    なかなか激しい文章も見られますが、その主義主張には納得できます。
    読み込めず、頭にはいらない時はもちろんのこと、一度読んだ本は再読しての内容確認を心がけようと思いました。

    ちなみに、この本に登場したリリーディング(読み直すこと)という言葉を、読書ブログ名に使っています。
    ロラン・バルトも大江健三郎もリリーディング推奨派だそうです。

  • 1量から質への転換、基礎編
    2誤読のすすめ、魅力的なスローリーディングテクニック編
    3古今のテクストを読む、スローリーディング実践編

    本があふれたため、速読するようになったが、速読は良くないと説く。贅肉である。先人達は量、多読を薦めているが、速読は勧めていない。速読は自己啓発本の中に可能なものもある。速い仕事は良くないことが多い。
    記憶の領域、メモリーは、意外と少ない。長期記憶に置こうする。そしてじっくり考える味わうことが必要なのだ。
    辞書に当たるとは、今は言わないのか?分からない言葉は辞書を引いて確認する。なぜという疑問を持てと言う、より奥に=深く読めという。人に説明する事を前提に読めという、複数の本と比較せよと言う、わが身に置き換えてみよと言う、これらは、内容をよく理解して考えながら、自分の経験(読書も含めて)に照らし合わせて、本の内容を自分のものにせよと言うことではないのか?著者は出来た方法を示す&皆もやれ、それが必要だ。出来そうな感じがする。このあたりの言い回しの巧みさ。
    齋藤 、松岡とは違った方向から読んでいるが、主張は同じと見た。

    3実践編
    こころ
    違和感に注目。友情を考えることがテーマと思えた。友情と愛情、先生の死によって美化されるからではないか?
    高瀬舟
    感情の踊り場とは何なのか?不自然さは読後感じた。足るを知る、とは思わなかった。

    誤読の例、勝手な解釈はいかほどのものか?
    伊豆の踊り子
    知らなかったことばかり。主語が無いのが、実体がなくてよい、あやふや消える。
    蛇とピアス
    他の作品との比較してしまうことはある。論理的に説明できるのはすごい。

    21
    「速読の後に残るのは、単に読んだという事実だけだ。スロー・リーディングとは、それゆえ、得をする読書、損をしないための読書と言い換えてもいいかもしれない。」
    32
    相手の発言をスマートな論じ方、伝える力の池上さんのようなトークの内容と思った。
    74
    読者が本を選ぶように、本もまた読者を選ぶのである。

  • これは良書。この本自体をスローリーディングするべき。硬質で清らかな文体は惚れ惚れする。小説よりもある意味文章が生かされているような。決して教条的ではないので、実用性は乏しいが、平野啓一郎の小説に対する姿勢がもっとも興味を引かれる。

  • 一冊一冊を味わい尽くして読む方法を教えてくれる本。

    小説の読み方は、参考になった。今までの読み方では、味わいつくせていなかったと思った。
    読んだ小説を、もう一度読み直してみようと思った

    『なぜ?』と考えながら、著者と会話しながら読むことの大切さを学んだ。

    速読にあき、一冊の本から多くのことを学びたい人にオススメである。

  • 副題の「スローリーディング」という言葉通り、速読などの「量の読書」に異を唱え、より楽しい読書のかたちを示した本。

    違和感のある個所はその違和感をおしてでも作者が主張したかった何かがある、など普段は時々は気付いたり、気づかなかったりとぼんやりやっている作業をここまで綿密にできれば確かに楽しいかもしれない。

  • 参考になった。
    ただ、この本の通りこの本を読めば、こんな感想では終わらないはず。

  • 速読よりも遅読。スローリーディングを説く本。


    量より質。網羅型より選択型。旅行に例えるなら、移動型のパックツアーよりも、数週間現地に滞在するような旅、現地の暮らしに溶け込むような旅。なるほと、著者の言いたいことは良く分かる。でも、私の場合は、ビジネス書は速読、文学作品はスローリーディングと読む本のタイプにより使い分けている。

  • ロランバルト、
    構造の全体を視野に入れて読むこと、言葉の迷路をさまようことを、方向を持った探求に転じるのだ。
    読書を"楽しむ"秘訣は、速読コンプレックスから解放されることにある。
    速読の後に残るのは、単に、読んだという事実だけである。
    今の自分を肯定してくれる本ばかり読んでいては、益々視野を狭めていくことになる。

    即どくかの知識は、単なる志望である。p34
    aruimide ,読書は、読み終わったときにこそ始まる。

    理解率70%の罠ぁ。
    助詞、助動詞

    ある作家のある1つの作品の背後には、さらに途方も無く広大な言葉の世界が広がっている

    再読、再読、再読、再読を生きよう。

  • 本を娯楽としてパパパ…と読む私には非常に考えさせられる本。私はパパパと読んで同じ本はよほど気に入ったものでなければ再読しないのだけれど、この本はすでに2,3回読んでます。

  • 今回この手の速読本は読んだことがあったのですが、そもそも普通に読んでいても実際に頭に入っている実感がとぼしいなと思ったきっかけで、Amazonでこの本を購入しました。実際に読んでいってみると理論はまあどっかで聞いたことのあるようなのが大半なのですが、実践編では名作的な小説を今までに味わったことのない深い奥のほうまで読めました。というより今まで全く表面的なところしか読んでいなかったというほうが性格なのだろうけれども。名作の小説を読むところで一つ一つの表現に注目して読む宇読み方はかなり参考になりました。普段あまり読書できていない人は、読書に興味が出たらぜひ読んでほしい一冊です。

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著者プロフィール

平野 啓一郎(ひらの けいいちろう)
1975年、愛知県蒲郡市生まれ。生後すぐ父を亡くし、母の実家のた福岡県北九州市八幡西区で育つ。福岡県立東筑高等学校、京都大学法学部卒業。在学中の1998年、『日蝕』を『新潮』に投稿し、新人としては異例の一挙掲載のうえ「三島由紀夫の再来」と呼ばれる華々しいデビューを飾った。翌1999年、『日蝕』で第120回芥川賞を当時最年少の23歳で受賞。
2009年『決壊』で平成20年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、2009年『ドーン』で第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2017年『マチネの終わりに』で第2回渡辺淳一文学賞、2019年『ある男』で第70回読売文学賞(小説部門)をそれぞれ受賞。2014年には芸術文化勲章シュヴァリエを受章した。『マチネの終わりに』は福山雅治と石田ゆり子主演で映画化が決まり、2019年秋に全国で公開予定となっている。

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