はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内 (PHP文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569662039

作品紹介・あらすじ

「考える」ってどうすること?「わかる」ってなに?-本書では、もっと上手に考えるための方法を心なごむ絵とともに解説。"問題そのものを問う""「考えてる」と「考えてない」の違い""コップと飲み物の関係""「論理」ってなんだ?""自分ひとりで考えるのではない"…みるみる考える力が湧いてくるヒントが満載。ものごとの見えない枠組をはずし、本当の「考える力」が身につく哲学絵本。

感想・レビュー・書評

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  • 「考える」って何をしてるんだろう

    その問いこそが考えるということそのもののように感じるけど、考えるって実際に何をしてるのかわからない。

    考えている時と考えていない時の違いや、そもそも考えるってどういうことなんだろう、という漠然とした問いをわかりやすく説かれている本だなと思った。

    軽い気持ちで、簡単に哲学の考え方にも触れられる本かも

  • 「考えるって、何だろう」
    「何をすれば、考えてるって言えるんだろう」

    「考えているとき、きみは何をしているのだろう。
    「何って、考えているんだよ」うん、だからさ。そうだな。「考える」っていうことがまだわからない子どものことを想像してみよう。
    そしてその子が大人に「よく考えなさい」とか言われたとする。
    だけどその子にはそれがどういうことかわからない。それできみに質問する。
    「考えるって、どういうこと?」」(p14)

    こういう本質的で難しいことを、例を通して積み上げていって、最後に「考える技術」に行きつきます。

    哲学に欠かせない推論や観察、論理などは、
    考えるためのいくつかの技術にすぎず、
    問題解決のもとに取捨選択してうまくつなげることこそ重要であると語りかける。

     1.問題そのものを問う
     2.論理を有効に使う
     3.ことばを鍛える
     4.頭の外へ
     5.話し合う

    ■「考える」っていうのも、けっきょく、ぜんぜん心の状態や心の働きなんかじゃないんだ。頭の中で「思考」という作業をしているわけじゃない。P26

    ■答えの候補があらわれたとき、いつでもそれを捕まえられるように「チューニング」している、ということ。P29

    ■考えるっていうのは、耳を澄ますこと、研ぎ澄ますこと。P30

    いい換えれば、他の声に耳を貸さず、すべてをその問題に関係させて、鋭敏に研ぎ澄まされた心で、「これだ!」という声を待っている状態であるという。その間、何をしていても良いのである。

    「考える」とは何もうんうんうなって頭を抱えることではない。
    「考える」とは問いを携えつつ世界に耳を傾けることである。
    問いが生まれるのはすでに常識という足場があるからだ。そして常識を否定しその地平から離陸できるのは、言葉の力を持った人間だけである。
    さらに常識の地平をゆるがす地震をもたらすのは、自分とは異なるパラダイムを持った他者の存在にほかならない――。

    ・変なヒト、本に出会う
    それが哲学を広げること

    ・考えるってのは
    足場を変えること
    軽やかに踊ってみせること(146頁)

    大きく6つの章で構成された一冊。
    【「考える」って何をすることだろう】
    【問いのかたち】
    【論理的に考えるだって?】
    【ことばがなければ考えられない】
    【見えない枠】
    【自分の頭で考える?】

  • あまりに自分が考えるという行為に鈍感かつ苦手意識があると最近痛感したので手にとった本。哲学の本ではないかもしれない。しかし細やかに考えるという行為の意味を段階に分けてひとつひとつ問い、より良く考えることについて穏やかに書いてあった。たくさん学び、吸収し、この本に書いてあるように細やかに考え柔軟さを持つ人間になりたいとおもった。少なくとも、考えるということには、大きな価値がある。考え続けたい。

  • 「考える」ってどうすること?「わかる」ってなに?
    本書では、もっと上手に考えるための方法を、心なごむ絵とともに解説。ものごとの見えない枠組みをはずし、本当の「考える力」を提示する哲学絵本。

    この本は読めば読むほど理解が深まって、味が分かる本だなと思う。
    考えるためには「ことば」が必要だ、という章が個人的に好き。動物と人間の違いがよく分かる。ような気がしてくる。
    冗談まじりの文も親しみがもてて好き。

  • 秩序があるから問題が生まれる
    考えることで"観察"が変わる
    つめこんで、ゆさぶって、空っぽにする。

    1番のお気に入りはフレーズは、
    "「この部屋にはパンダがいない」と言える者は、ただ、この部屋にパンダがいる可能性を掴んでいる者だけだ。"

    否定が頭の中を渦巻く時って沢山あるけど、それはきっと、自分の可能性を掴んでいるからこそなんだと、勇気を貰えた。

  • 文庫Xで有名なさわや書店フェザン店の書店員さんの[包丁を知らない人に包丁を渡すようなもの]というポップに惹かれて読んだ。

    そのポップには、料理をするにあたり、包丁を知らなければ切ったりむいたりするのに四苦八苦する。その人に包丁を渡すことで料理をしやすくする。ということの考えることに置き換えたときの包丁にあたる書物だと書いてあった。

    読んでみた結果は、確かに、考えることとは何か。考えることがわからなくなったとき、どのように対応するか。がなるほどなあと思う形で書いてあった。

    ・考えることは、頭の中で論理を練り練りすることではなく、問いに対して耳を澄ませてそれが結びつくのを待つということである。

    ・自分の頭で考える と言うが、考えるためにはイメージや言葉や実際のものを動かして考える。人や外界からの刺激はむしろ考えるために必要なもの。

    全体的にほんわかした語り口で読むのが苦にならない。プーさんの話も非常に和んだ。また読みたい本。

  • フレーム問題が目から鱗だった。
    常識ってもんは無数にあって、ころころと変わっていく。
    自分の常識を知るには、違う常識と触れること。勝手に自分の常識というフレームがあぶり出される。
    場面に応じた常識。何となく使い分けてる目安というか、この常識は、機械には無いということ。
    これも鱗だった。

    ティーカップにお湯を入れたら株価が暴落するかもしれない?
    考えるわけない。
    常識。


    論理に大事なのは
    前提の正しさじゃなくて
    前提の意味。

    は、または、ではない
    こいつらの意味が大事なんだ。
    例えば

    イコールなのか属するという意味なのか


    夢の内容は全部論理的だ!
    ってのも鱗だったな。
    ただ単に非常識なだけだって。

    丸い四角とか
    結婚してる独身者とか
    そんなんが非論理的というんだ。
    確かに夢でもみない。

    「ずっと考えていた」
    ほんと?ほんとだよ。
    なんでもかんでもそれに結びつけてしまうんだ。
    考えていなかったら結びつくことがないようなことでもね。


    頭の中で考えることだけが考えることではない。
    外に出せ書き出せ話合え!!!

    なるほど。
    私は鱗が落ちる本が良い本だと思っています。
    沢山落ちました。哲学って頭痛くなるけど。

  • "考えること"についての重要なエッセンスが詰め込まれているのにも関わらず、平易な言葉で語られている。読もうと思えばすぐにでも読み終えられるけれど、読みこんだり挿絵を眺めてぼぅとしたりするといつのまにか時間が過ぎてしまう----そんな不思議な本。

    むしろ平易な言葉だからこそ、より深い思考を楽しめるのかもしれない。何度も読みたいなと感じた。

  • 「考えること」ってなんだろうって思ってたけど、霧が晴れるようなそんな気がした。
    考えることってあまりにも意識しなさすぎてわかろうともしていなかったけど、あ、そういうことか!って閃いた。

    問いが何であるのか、ということについての記述がこれまた面白くて。
    あるがままを受け入れ続けるのであれば問題は発生しないけど、それはそれで何もないということでもある(ということがあると言える?笑)

    いろんなことを知れば知るほど問いは生じる。
    だからこそいろんな角度から世界を見ることができるのかなーなんて思ったり。

    アンテナをいっぱい張って、時にはそれを手放して…そうやって思考することを楽しもうかなって思えました。

  • 高校くらいまでに学校で習うことはあらかじめ答えは決まっていて、そこにたどり着くためのルートを学ぶことだから考える必要は実はそれほど多くない。でもそこから先の人生では、答えのない問いにぶつかっていくことばかり。でも学校で教わったことが無駄かというとそうでもなくて、無数にある可能性のうち、必要のない演繹を省くのに、「常識」とか「知識」は役に立つ。答えのない問題に向き合うこと、解決に導く、あるいは手掛かりをつかむために問いを立てること、もやもやを形にするために言葉があること。読んでいて心地よい一冊だった

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著者プロフィール

1954年(昭和29年)東京都に生まれる。85年東京大学大学院博士課程修了。東京大学大学院教授を経て、現在、立正大学文学部教授。専攻は哲学。著書に、『論理学』(東京大学出版会)、『心と他者』(勁草書房/中公文庫)、『哲学の謎』『無限論の教室』(講談社現代新書)、『新版論理トレーニング』『論理トレーニング101題』『他者の声 実在の声』(産業図書)、『哲学・航海日誌』(春秋社/中公文庫、全二巻)、『はじめて考えるときのように』(PHP文庫)、『ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む』(哲学書房/ちくま学芸文庫)、『同一性・変化・時間』(哲学書房)、『ここにないもの――新哲学対話』(大和書房/中公文庫)、『入門!論理学』(中公新書)、『子どもの難問――哲学者の先生、教えてください!』(中央公論新社、編著)、『大森荘蔵――哲学の見本』(講談社学術文庫)、『語りえぬものを語る』『哲学な日々』『心という難問――空間・身体・意味』(講談社)などがある。訳書にウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(岩波文庫)、A・アンブローズ『ウィトゲンシュタインの講義』(講談社学術文庫)など。

「2018年 『増補版 大人のための国語ゼミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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