- Amazon.co.jp ・本 (524ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569663111
作品紹介・あらすじ
奈良の都を震撼させた橘奈良麻呂の乱の鎮圧から、3年半が過ぎた天平宝字四年(七六〇)秋――。ライバルを葬った藤原仲麻呂は、恵美押勝と名を変え、新帝を操って強大な権勢をふるっていた。朝廷で授刀衛の役職を得ていた蝦夷の若者・牡鹿嶋足と、同志の物部天鈴は、押勝の野望が陸奥に向けられることに危機感を募らせる。陸奥の平和を守るため、蝦夷たちの戦いが始まった!▼押勝に対抗する勢力をいかに育てるか。大宰府の吉備真備を都に戻すことで政局を転回させようと目論む嶋足たちは、続いて怪僧・道鏡に接近。しかし、急速に孝謙太上天皇の寵愛を得ていく道鏡の存在が、物語を意外な方向に展開させていく。▼『炎立つ』『火怨』に続く著者渾身の大河長編である『風の陣』は、すでに第一弾[立志篇]が文庫化され、今回は第二弾の文庫化。04年12月中旬には第三弾[天命篇]が単行本として刊行される。壮大な歴史ロマンの相貌が、いよいよ明らかになる!
感想・レビュー・書評
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1巻に引き続き、臨場感たっぷりの舞台展開。名前しか知らなかった歴史上の人物が物語の中で鮮やかに踊ります。よくぞここまで詳しく丁寧に調べ上げ、物語まで昇華なさったなと尊敬です。
余談ですが、天皇まで人間の感情を持って行動する姿が印象的で好ましい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
権力争いの様が読んでいて苦しい。
天鈴や嶋足が、その為に戦っているのではないから少し気が晴れるというか、爽やかな空気になるというか。
いや、だからこそ、権力争いの醜さが際立つのか。 -
序章です。
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風の陣、第二弾。藤原仲麻呂は、恵美押勝として我が世の春を謳歌。弓削道鏡が孝謙太上天皇と接近、恵美押勝が太上天皇らと対立、恵美押勝の乱にてついに失脚。牡鹿嶋足は従四位下まで大出世する。
天鈴の妹の水鈴のほか、紀一族の益女が登場、牡鹿嶋足とどうなっていくのか期待される。
この時代の小説がこんなにも面白いとは。素晴らしい。 -
橘奈良麻呂の乱平定後、恵美押勝の台頭と陸奥支配の野望に対し牡鹿嶋足、物部天鈴らの知略を尽くした戦い。
平城京の激しい権力争いの中で、嶋足と天鈴が蝦夷の平和を守ろうと奮闘する。 -
今回は仲麻呂の変
物部一族にして蝦夷・・・おそらく金売り吉次につながる話だろうが、立志編のような万能感がなく、打つ手がヘマすぎて悔しいったら!
主人公は相変わらず煮え切らないが、天鈴(物部一族の要)のヘマがひどくて相対的に冴えて見えた(笑) -
2巻に入っても相変わらず内裏での権謀術数三昧。栄枯盛衰は世の常なれど、あれほど権勢を誇った押勝すらあっけなく退場を余儀なくされてしまった。権力者の最期をごく簡潔にしか表現しないのは炎立つにも共通するところがあるので、これも高橋流なのかな。
蝦夷の立場から正義の味方のように書かれている天鈴も、反対側から見れば金の力にあかせて政治を操るフィクサーであり、善悪の基準は紙一重だとしみじみ思う。
そんなドロドロした中で嶋足が見せるもどかしいまでの純粋さが、物語に爽やかな印象を与えています。 -
陸奥支配の野望を抱く恵美押勝に対し、牡鹿嶋足、物部天鈴らの知略を尽くした戦いが始まる歴史大河ロマン第2弾。
歴史の学習で少し記憶に残っている奈良時代の人物たちが生き生きと描かれ、改めてこの時代の権力闘争の激しさが伝わってきました。
同時に、貴族を中心とした都から見た蝦夷たちへの差別の辛さを感じました。
果たして陸奥に真の平和が訪れる日がいつ来るのか、大長編の作品ですが、1ページも気を抜くことができずにページをめくる手が止まりませんでした。 -
奈良時代の歴史上の人物、牡鹿嶋足を主人公とする歴史物語シリーズ2巻目。
中央での権力闘争を蝦夷の視点で描いた物語は、なかなかに骨太で、歴史物語としては面白かった。
ただ、エンタメとしてはちょっと物足らないかな。
なんというか、ワクワク感が足らないんだよなあ。
その原因の一番は、主人公嶋足の活躍が少なすぎること。
さらに、性格が律儀すぎて状況に流されることが多く、自分から物語を動かす力に欠けている。
これでは主人公としては役不足と言わざるを得ない。
たぶん、天鈴を主人公にしたほうがずっと面白い物語になったんじゃないだろうか。
二つ目は、その天鈴と嶋足のやり取りがしばしばけんか腰になって、読んでるこっちの気分が悪くなったこと。
傍若無人さも相手を思いやってこそだと思うのだけど、そこの描き方がもう一つだなあ。
そして三つ目は、ロマンスがたらなすぎること。
まあ、歴史物語ではままあることだけど、女性とのロマンスももう少し必要だと思う。
折角、二人も美女が登場してきたのに、全く活かされてない。
次巻以降、嶋足がもう少し主人公らしくなることを期待したい。