- 本 ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569665603
作品紹介・あらすじ
日本の独自性とはいったい何なのか。勤勉性なのか。それとも仏教が広まっても神道は信仰の対象であり続けた、宗教に対する柔軟性なのか。明治維新、外国文化を受け入れた許容力なのか……。もし、これらが日本の独自性であるとすれば、それは、いつ、誰によって、どのようにして創り出されたものなのか。本書は、聖徳太子をはじめ、織田信長、石田梅岩から近現代史まで、日本史上に今なお強い影響力を残す12人の「人物」をとおして、日本の歴史を見直し、日本の独自性について考えた歴史・社会評論である。▼大きな変革期を迎え、日本はどの方向に向かって舵を取ればよいのか、その決断がリーダーと国民に求められている。そうしたなか、日本の独自性を認識し、それをいかにして活かしてかは、避けてとおれない問題である。本書は、その問題に答えを出す一つの有効なヒントとなるだろう。▼同書名でPHP新書として刊行された前編・後編を、文庫化に際し合本。
感想・レビュー・書評
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本書では日本の歴史上の人物に焦点を当てている。
当初は、歴史上有名な人物を簡潔に紹介していく内容の本だと思って購入したのだが、そうではない。
本のタイトルどおり、日本を「創った」12人、ということで、今の日本に根付いている社会や組織のあり方、日本人の価値観、宗教観のもとになる考えを創出したり大きな影響を与えたのが以下に挙げる12人なのだと筆者は論じる。その12人とは
聖徳太子、光源氏、源頼朝、織田信長、徳川家康、石田三成、石田梅岩、大久保利通、渋沢栄一、マッカーサー、池田勇人そして松下幸之助である。
例えば、勤勉を説いた石田梅岩の考えは、鎖国化で拡大経済をなしえなかった日本において、余剰の労働力を細かい心遣い、例えば家具の微細に至るまで装飾を施す方向に向かわせた結果、今の日本人は品質にやたらと煩くなってしまったのだとか。
石田三成はそれほど有力な武将でもなかったのに、関ヶ原の合戦をお膳立てしたのは、下からでも有力者に働きかけることで大きなイベントも起こすことができたからであり、筆者曰くそのような例は歴史上石田三成が最初だという。若き通産官僚であった筆者はこれに勇気づけられ日本の万博開催を発案、成功させたそうだ。
全体的には、光源氏も含め、ほぼ日本の政治、経済の観点からとらえた視点で述べられており、そこはやはり元官僚の目線である。
なるほど、こういう見方で日本史をとらえてみるのも面白い、というのが読み終わっての感想である。 -
娘のお薦め(高校の教材)で読んだ本。大変面白かった。現代日本人の国民性を形成する切っ掛けとして日本史上のレジェンド12名を紹介。
例えば聖徳太子の「神・仏・儒の習合」思想のおかげでその後日本が海外から様々な学問・文化をスムーズに吸収できた、等々。
こんな見方もあるのかと、著者(堺屋太一氏)の慧眼に感服。 -
たしかにこの12人を知れば知るほど、日本を創ったという言葉が大げさでないことがよく分かる。たとえば、神道と仏道が両立できているのはまさしく聖徳太子のおかげ。他の11人も納得いく。個人的にはここに田中角栄も入れてほしかった。
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自分が常識、良識と考えているコトも元をたどれば、誰かが当時の状況に応じて人為的に作り出したモノと考えると、状況が変われば組替えても良いだろうから少し気が楽になる。
書かれた頃から20年近く経って本の中で描かれる日本人像もズレてるような気がするけど、13人目が現れたのか、外部環境が変わっただけで日本人の中身は変わってないのか、どっちなのかは分からない。 -
図書館にて借用。石田梅岩の事が知れてよかった。
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聖徳太子、光源氏、石田梅岩は面白かった。秀吉(創業者社長)、家康(大株主の副社長)、利家(専務取締役)、毛利・上杉(吸収合併された会社の元オーナーで常務)、三成(社長室長兼企画部長)など、現代の会社組織に喩えて説明するあたり、さすが元通産官僚、といった感じ。PHP出版から出しているからなのか、松下幸之助はちょっとほめすぎじゃないかなあ。ところどころ強引なこじつけっぽく感じるところもあるが、総じて読み応えあり。著者の小説、少し読んでみようかな。
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名著
素晴らしいとしか言いようがない。
歴史上の12人の影響が、今日まで強く残っていることがよくわかった。
その12人が生きた時代と現在とか糸で結ばれ橋が渡されたような感覚。
学校の歴史を学んできた意味はこのためだったのかと今さら感動ぴかぴか(新しい)
現在を考える上で最低限知っておかなければならない人たちである。
筆者の意図も最後に明確に書かれており、構成も抜群!
恐らく、全ての人にオススメできる。
私も1年に1度は読み直したいと思う。
ここから、いまの日本について考えていきたいと思う。
何度も言うが最高の本である。 -
自宅ソファーで読了
石田三成、徳川家康の章。
著者プロフィール
堺屋太一の作品





