山本覚馬(かくま) 知られざる幕末維新の先覚者 (PHP文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569679334

作品紹介・あらすじ

維新のリーダーという西郷・高杉・龍馬など、勝者側ばかりが注目されてきた。しかし、敗れた会津藩にも明治維新に大きく貢献した人物がいた、山本覚馬である。「日本の独立が危うい時に、国内で相争っている場合ではない」と、薩長との融和の道を探り、維新後は京都の近代化と同志社大学の設立に奔走。激動の時代を生き抜いた覚馬の生涯から、もう一つの幕末維新史を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 978-4-569-67933-4 275p 2013・1・25 1版1刷

  • 大河ドラマで会津藩の人たちに興味を持ち、購入。

  • 明治維新の影の立役者山本覚馬。
    八重の桜主人公、八重の歳の離れた実兄。

    この人が失明していなかったら歴史は変わっていたはず。
    この時代にこんな拓いた人がいたのかとただただ目から鱗。

  •  NHKの大河ドラマ〝八重の桜”を見ていて、もっと詳しく知りたくなり読み始め、あっという間に読み終えた。自分は〝八重の桜”を見るまで山本覚馬について知らなかった。覚馬の西洋文明についての知識の豊富さ、その理解力と構想力、そして構想をカタチにする力と実行力が抜きんでており、心底驚いた。しかも目が見えず、体も不自由であったのであるから、言葉も無い。
     それにしても、当時の日本には覚馬以外にも多くの逸材がいたのであると思う。歴史に名を残している人達はほんの一握りなのであろう。そうでなければ、武士の世の中を一瞬にして西洋化することはできなかったと思う。実際に、活躍の有無は別として、有名だけど意外と詳しく知られていない人物は多い。それは負けた側にいた為であったり、本当に優秀な人物は手柄を披露しないからなのだろうか。それが武士なのだろうし。
    〝八重の桜”は本当に面白い。この大河ドラマを見るまでは、会津についてはもっと違うイメージを持っていた。やはり負けた側ゆえに悪者にされてしまったのであろうし、会津特有の性格もあると思う。一途で、武士の鑑の様であり、言い訳もせず、ならぬものはならぬと・・・会津の鶴ヶ城が落ちるまでの話は、正直、見ていて可哀そうで、本当に辛かった。
     〝八重の桜”の感想になってしまったが、この本のお陰で山本覚馬という人物をよく知ることができた。

  • <作品紹介>
    維新のリーダーというと西郷隆盛・高杉晋作・坂本龍馬など、勝者側ばかりが注目されてきた。
    しかし、敗れた会津藩にも明治維新に大きく貢献した人物がいた。新島八重の実兄、山本覚馬である。
    「諸外国の脅威の前に日本の独立が脅かされている折、薩摩だ長州だ会津だと、国内で相争っている場合ではない」と薩長との対立を回避すべく奔走。
    維新後は、会津藩とは相容れない関係にあったはずの長州藩の信任を得て、京都の近代化に大きく貢献し、新島襄とともに同志社大学創立にも関わる。
    藩の枠を超えた広い視点と卓越した先見で新国家のビジョンを描いた会津の「坂本龍馬」。
    激動の時代を生き抜いた覚馬の生涯から、もう一つの幕末維新史を描く。
    文庫書き下ろし。

    <感想>
    いまでこそNHKの大河ドラマ「八重の桜」に出てるので、知られた名前だが、幕末の小説を読んでいてもほとんどその名前は出てこない「山本覚馬」。
    もっとも、同志社大学の設立にかかわった人物なので、それなりに有名で私が知らないだけかもしれないが。。。
    幕末、明治初期にはまだまだ私が知らない逸材がいたのかと感嘆させられる作品。
    作品の半ばでは時代の流れの説明になり、一時「覚馬」があまりでてこなったので間延びした感じもあったが、後半の大学設立に関して、内容が盛り返してきた感じである。
    歴史に「たら・れば」は禁句だが、竜馬が暗殺されなければ、松陰が処刑されなければ、と同じレベルで「覚馬が失明しなければ歴史はどうなっていたのか」と思わせられる人物でした。

  • いよいよ始まる2013年大河ドラマの主人公、新島八重の実兄、山本覚馬の生涯をコンパクトにまとめた本である。

    覚馬、八重が生まれた会津藩は文久2年(1862)、藩主松平容保が新設の京都守護職に任じられたことで運命が一変した。親藩である会津藩は幕政に関与しない建前だったが、いわば「特命」を受けての守護職就任で、幕末政治の動乱に巻き込まれ、藩滅亡への道を歩み始める。

    以来、会津といえば、一橋慶喜、容保の実弟で桑名藩主の松平定敬とともに「一会桑政権」を構成して、長州藩、さらには薩摩藩と敵対したということで知られる。これに対し、山本覚馬は薩摩藩と太いパイプを持ち、対立よりも融和を唱えて諸外国への備えを説いたため会津藩内で異彩を放っていた。

    勝者の側(たとえば薩摩藩)も敗者の側(たとえば会津藩における山本覚馬)も、必ずしも一枚板ではなかったということが重要なのだろう。それぞれが内部に複雑な対立を抱えながら歴史が進行したことが、幕末維新政治史の真のストーリーなのである。

    著者、安藤氏によれば、従来の幕末維新史は、勝者である薩長の側からみた歴史観が強く反映されているという。敗者である幕府から見た幕末維新史を提唱してきた著者ならではのバランスのとれた視点は、本書の特にすぐれた点である。両方の立場を公平に見ることで、複雑な幕末維新期の展開も、わかりやすく見えてくる。

    本書の後半は、東京遷都ですっかりさびれてしまった京都の復興に尽くす山本覚馬の業績が描かれている。同じ著者の『新島八重の維新』と一緒に読むことで、今年の大河ドラマの背景がより立体的に理解できると思う。

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著者プロフィール

歴史家。1965年、千葉県生まれ。早稲田大学教育学部卒業、同大学院文学研究科博士後期課程満期退学(文学博士)。JR東日本「大人の休日倶楽部」など生涯学習講座の講師を務める。おもな著書に『江戸の間取り』『大名格差』『徳川幕府の資金繰り』『維新直後の日本』『大名廃業』(彩図社)、『15の街道からよむ日本史』(日本ビジネス文庫)、『東京・横浜 激動の幕末明治』(有隣新書)、『徳川時代の古都』(潮新書)などがある。

「2024年 『江戸時代はアンダーグラウンド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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