カナダの教訓 超大国に屈しない外交 (PHP文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569679525

感想・レビュー・書評

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  • 2013年(底本1992年)刊。著者は元カナダ駐在公使、元防衛大学校教官。ミドルパワーとして独自外交を展開してきたと称されるカナダ。駐加経験、国際情報局局長経験が生きたのか、類書の少ない米加外交の内幕、カナダ国内問題と外交との関連性を、主に戦後に関して簡明に解説。珍しい情報なので読んで損はない。勿論、日本と事情は異なるが、①対米外交は米国議会対策が不可欠、②情報・根拠・哲学に基づく一貫した政策であれば、長期的には米国は承認、③米国世論を味方につけるプロパガンタの重要性(議会対策の意味も付加)は知るべき。
    一方、米国議会や外交政策に関する情報収集、米国人の知日派養成、日米での外交担当者・政治家間での個人的パイプ形成のノウハウ不足の解消は、真摯に取り組むべき課題(現在の日本は国際政治大国ではないのは明らか)か。著者も国際情報局勤務、各国公使を歴任したのだから、陰謀史観とされがちな日米外交論でなく、この種の本をもっと著作したらよいのにと。もっとも、本書の舌足らずな記述は問題。特にカナダ国内問題(ケベック問題等)や世論が、外交政策に与えた影響の解説は少なく、米国議会対策の実像・実例紹介は詳細とは言えない。
    米国議会対策を外交目的成就のために考慮しなければならない、という点は本来は筋違いであり、カナダ政権担当者もそれを理解していた。しかし、議会対策を軽視したために、結果、外交目的を達しえなかった苦い経験がこう言わせている以上、筋論を通すだけで足りない米国相手の交渉の真理をついていることは否定しきれない。

  • 世界一仲が良い時期が長い隣国として有名なアメリカとカナダ。その背景にカナダの様々な立ち回り方があったことを知ることができました。

  • カナダは最初からアメリカと仲が良かったわけではない。アメリカはカナダの自立を快く思わない。様々な圧力をかけてくる。
    WW"以降、カナダは掲示的、政治的独立を求め、アメリカに対してしばし対峙する。
    WW2はカナダを武器供与国にしカナダを工業国にする。
    カナダの首相がアメリカの大統領よりも上にいると思っている、感じた時にアメリカ、カナダの関係は崩壊が始まる。

  • カナダ。
    悪いイメージはない。というか何も知らないだけかも。

    首相が誰かわからないし、ましてやアメリカとどのような外交をしてきたかなど全く知らなかった。

    勉強になった。

  • 日本は米国との関係で苦労している。しかし、米国との関係で世界で最も苦労しているのはカナダである。日本がこの歴史を学べばきっと役立つと助言


    カナダの外務省のビル ピアソンビル
    ピアソン 北爆批判演説をアメリカの大学でして、ジョンソン大統領から吊し上げ

    アメリカの外交に物申すカナダ、ひたすら追随する日本

    トルドー

    アメリカと付き合うときには、自分の考えをしっかりと確立することが、必要だ。思想に一貫性を持つことも重要である。見識なく、アメリカの言うことをはいはいと聞いている者は、結局アメリカにバカにされる
     アメリカは広く、許容度の高い国だ。しっかりした思想があれば、誰かが、耳を傾け、敬意を払ってくれる。しかし、アメリカと見解を異にするときに、どういうふうに、アメリカ側に伝えるかは、きわめて重要である。個人的チャンネルを使い、ハイレベルに伝わるようにする。両国の差異を無用に公開し緊張を高めることは、避けなければならない

    アメリカではどこでも、人が集まれば、自分たちで規則を作り、動かしていくのです。動かす対象が政治なのです。アメリカ人に取り、政治とは自分たちで作るもの、参加するものなのです。その場での民主主義 on spot democracyです。

    1812 アメリカ・カナダ戦争

    反アメリカを貫いたディフェンベーカー

    外交分野には、”良き関係を保ちたいと思う王族同士は決して直接会わずに、よき仲介者を通して意見交換せよ”との格言もある

    国連決議なし イラク戦争不参戦というカナダの決断が加米関係に与えた影響について、短期的な関係悪化はあったにせよ、長期的な加米関係には、大きな悪影響を与えていないことがわかる

  • 集団を集団が説得する場合、、ほぼpoliticalになるんだなぁというのが正直な感想。今回は「アメリカ‐カナダ」の関係ですが、、某通信業界も某鉄道業界も基本、今回の相似系です。。物事を動かすにはUnder water/Undergroundでの動きが全てですね。「謀攻篇(戦わずして勝つ)」そのままですね。

  • 20年前に書かれた「カナダの教訓」という本を再編集した本である。20年前に出版されたこの本は、当時麻生太郎議員が宮澤喜一首相に進めた本でもある。カナダはアメリカの隣国で、圧力も大きいにもかかわらず、アメリカのなし崩し的な正論にきっぱりとノーをいう歴史を持ち、現在は、アメリカの最も信頼出来るパートナーのうちの1国になっている。対米従属の日本の政治家にもカナダを見習って欲しいと思った。ただ、国民の意識が低い結果が民主党の鳩ポッポのような外交力のない首相を生んだのであり、我々もっと外交を学ばなければならない。

  • カナダのアメリカとの関係を歴史をもとに検証。
    日本と対比して書かれているが、立地条件、過去の戦争を考えると筆者の見解はちょっと行き過ぎの感はあるが、国際的な立ち居地を踏まえて超大国アメリカと接していくエッセンスがある。
    日本はアメリカを怒らせず、良好な関係を続けることが政治家の重要なスタンスということであるが、今後自立をしていく上でアメリカとの関係を検証していくことは必要なのかと考えさせてくれた。

  • カナダの教訓
    超大国に屈しない外交

    「日本外交の目指すべき道が見えてくる。」
    「国力は10分の1以下。それでもアメリカの言いなりはならない」とのキャッチフレーズがつけられているが、本書は単に外交だけでなく、
    「圧倒的なパワーに対峙する際の個人としての身の処し方」という点でも大いに示唆的。

    「都合の悪い正論は、圧力をかけて黙らせる」というのが強者アメリカの姿勢。
    それに対し、盲従ではなく、
    「多少のコスト負担に妥協はしながらも、自己の信念を貫徹する」のがカナダの姿勢。貫徹の姿勢をブレずに堅持すれば、それに敬意を払う良識派が、必ずアメリカの中から出てきて、力を恃んだ暴走にブレーキをかける作用をする。逆に、何に対しても無定見に盲従する者が得るのは侮辱でしかない。カナダは建国以来の歴史でこのことを学習し続けてきた、と筆者は綴る。

    私がここで日本外交のあり方について論じるのは差し控える。しかし、個人の処世術という点でカナダのやり方をよく見てみると、会社において上司と如何に接するか、地域において地元有力者と如何に接するか、こういうケースを考える場合でも、大いに通用するように思える。

    両国の外交面でのエピソードを多く紹介しながら、本書は表題の根拠を明示していく。

    人はみな、多かれ少なかれ、有形無形の圧力に悩まされながら生きているのではないかと思う。そんな圧力の「うまいかわし方」のヒントを、本書は与えてくれているように思った。

  • 本書はカナダ、アメリカ間の外交の歴史について記述されているが、この辺の事情に疎いので知識としては頭の中に蓄積されないだろうなと思いつつ読んだ。多分、首相の名前すら忘れてしまうだろう。

    結局、外交上重要なのは、どこ(誰)にどのようにアプローチしたら効果的なのかを考えることなんだろうと思った。それは仕事でも同じ。

    本書を読み終えて、一番印象に残ったのは
    P218
    今日のアメリカのカナダ政策は「ニクソン・ドクトリン」政策と同じで
    ニクソン・ドクトリン政策の前提は
    ・成熟したパートナーは自己の独立した政策をもつ
    ・各国は自国の利益を明確化し、自己の安全に必要なものは、独自に確保し、自己の進む方向は独自に決めるもの
    ・国家間であれ、国内間であれ、もっとも強い一体性は多様性を尊重するところにある
    これは「7つの習慣」とも一致する

    筆者の他の著書も読んでみようと思う

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著者プロフィール

1943年、旧満州国鞍山生まれ。1966年、東京大学法学部中退、外務省入省。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使等を歴任。著書『戦後史の正体』(創元社)、『日米同盟の正体』(講談社現代新書)、『小説 外務省』(現代書館)、鈴木邦男氏との共著『いま語らねばならない戦前史の真相』(現代書館)等多数。

「2018年 『アーネスト・サトウと倒幕の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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