カナダの教訓 超大国に屈しない外交 (PHP文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569679525

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  • カナダの教訓
    超大国に屈しない外交

    「日本外交の目指すべき道が見えてくる。」
    「国力は10分の1以下。それでもアメリカの言いなりはならない」とのキャッチフレーズがつけられているが、本書は単に外交だけでなく、
    「圧倒的なパワーに対峙する際の個人としての身の処し方」という点でも大いに示唆的。

    「都合の悪い正論は、圧力をかけて黙らせる」というのが強者アメリカの姿勢。
    それに対し、盲従ではなく、
    「多少のコスト負担に妥協はしながらも、自己の信念を貫徹する」のがカナダの姿勢。貫徹の姿勢をブレずに堅持すれば、それに敬意を払う良識派が、必ずアメリカの中から出てきて、力を恃んだ暴走にブレーキをかける作用をする。逆に、何に対しても無定見に盲従する者が得るのは侮辱でしかない。カナダは建国以来の歴史でこのことを学習し続けてきた、と筆者は綴る。

    私がここで日本外交のあり方について論じるのは差し控える。しかし、個人の処世術という点でカナダのやり方をよく見てみると、会社において上司と如何に接するか、地域において地元有力者と如何に接するか、こういうケースを考える場合でも、大いに通用するように思える。

    両国の外交面でのエピソードを多く紹介しながら、本書は表題の根拠を明示していく。

    人はみな、多かれ少なかれ、有形無形の圧力に悩まされながら生きているのではないかと思う。そんな圧力の「うまいかわし方」のヒントを、本書は与えてくれているように思った。

著者プロフィール

1943年、旧満州生まれ。東京大学法学部を中退後、外務省に入省。
英国、ソ連、イラク、カナダに駐在。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大学校教授などを歴任。現在、東アジア共同体研究所所長。
主な著書『戦後史の正体』(22万部のベストセラー。創元社)、『日本外交 現場からの証言』(山本七平賞受賞。中公新書)、『日米同盟の正体』(講談社現代新書)、『日米開戦の正体』『朝鮮戦争の正体』(祥伝社)、『アメリカに潰された政治家たち』河出書房新社)、『平和を創る道の探求』(かもがわ出版)ほか。

「2023年 『同盟は家臣ではない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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