捨てる力 (PHP文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569679532

作品紹介・あらすじ

ひとつの手を選ぶことは、それまで考えた手の大部分を捨てること-史上初の七冠独占を25歳で成し遂げ、その後も記録を塗りかえ続ける天才棋士、羽生善治。彼が進化し続ける秘密は、意識的に過去の経験やアイディアを「捨てる」ことにあった!「忘れることは、次に進むための大事な境地」「創造的な思考をする際に、記憶は足を引っ張る」など、最強頭脳の真髄に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 覚えている必要のないものは、忘れてしまう必要がある。なぜなら、人間には一定の記憶量あるからだである。沢山の情報を得るためには、選ぶというよりいかに捨てるかである。また、新しい閃きを得るためにも、過去のデーターを捨てることが必要であると言うことを言っている。
    この本から僕が学んだことは、新しい閃きを得るには過去のデータにとらわれないようにすることである。

  • 一流の棋士ならではの格言が多い。

    年をとっても守り続けない、
    リスクをとることは将来のリスクをつぶすこと、
    など勝負師ならではの考え方が痺れる。

    自分の状況を客観的に見るために異業種の人と会話すること、
    相手の懐に入ってみること、
    負けることで新しい戦術を身に着ける
    など、新規分野を開拓するビジネスマンに刺さることもたくさん。

    孤高の天才、羽生マジックといわれる芸術家のようなイメージがあるが、一流ビジネスマンにも通じる、地道な泥臭い努力があってこその自信、信じた道はあきらめない粘り強さが大事なのだな。

  • 再読です。史上初の七冠独占を25歳で成し遂げた羽生さんの、思考法。
    40歳を迎え、「変化」を求める攻めの姿勢と状況にあわせた思考の厚みをますことを、これまで以上に充実させ進化していきたいと述べる羽生さんの哲学が詰まったこの1冊は、何度読んでも心に響きます。

    一流と言われる人は例外なく、それぞれが自分の哲学を持っていて、単純に「才能があるから」という一言で終われるものでなく、攻める姿勢や継続する忍耐力、不調のときとの向き合い方などを兼ね備えていて、その強さに痺れるとともに自分を省みるばかりです。

    ついつい守りに入ったり、楽な方に流されてしまうけど、プロとして生きる人の己への厳しさや対象への愛情に触れると、本当に背筋が伸びる想いです。

    中でも印象に残っているが、羽生さんが好きだという『運命は勇者に微笑む』という言葉。そして、その根っこにある自分で決めたことを思い切ってやるという決断。

    そしてタイトルにある「捨てる力」について。
    膨大な情報にアクセスできる今、年齢を重ねて知識や経験が増えていきます。そうすると、選択肢や判断材料が多くて決められないということがでてきてしまう。
    失敗や挫折の経験からくる恐れが直感を鈍らせる可能性もある。
    だからこそ、捨てる力が大事になってくるし、「知識」として得た情報を積み重ねて「知恵」に変えていくために自分で考えることが大切。

    勝敗ももちろん大事だし、負けると悔しいというけれど、羽生さんの視線はいつももっと遠くの「美しい棋譜を残したい」という理想や、夢中になるほど大好きという想いがプロたる所以に感じます。
    挑戦することを辞めたらきっと、残りの人生は余生ですよね。何かを極めるというプロフェッショナルな姿勢がとにかくかっこよくて。ガツガツしていない熱い魂に触れられる1冊でした。

  • 本のタイトルはあくまで羽生善治さんの考え方の1項目に過ぎない。
    基本的には彼の棋士としての将棋哲学というべき、考え方を記した本です。

    考え方は経験で得た結果を元に語られた哲学的なものであるが、羽生さん自身、とても感覚的な人だと思ぃした。また、それをちゃんと説明出来ているのが素晴らしいと思いました。

  • 今の情報洪水の中で、情報にどう立ち向かうか
    と言うことは、情報を集め、整理するより、
    捨てることの方が重要だと思う。
    将棋で、数々の実績を積み重ねている羽生善治が
    「捨てる力」を 出版しているので、読んでみた。

    何を、どのように、捨てて、捨てることで何が変わるのか?
    ということを知りたいと思った。

    「変化を求める攻めの攻勢と状況に合わせた思考の厚み」
    いわゆる ポジションを明確化して、攻めていくこと。
    知識を積み重ねて理解していくことで、知恵に変える。
    どういう風につかったらいいのか?
    知識では変わらない。
    現実主義と理想主義が一人の人間の中に存在する。
    通用してきた記憶は、保守的になり、足を引っ張る結果になる。
    情報は 分類、整理しても、どこが問題かをしっかりとらえることだ。
    一番大切なのは、形勢判断なのだ。
    安全なところにいたい。リスクを避けたい。現状維持。
    それでは、形勢を帰ることはできない。

    個人の波と時流の波をどう会わせるのか?
    努力と成果のモノサシが、重要で、
    心で考えることが必要である。
    曇りなく自信をもって、次にすすむ。
    最後に必要なのは、継続する力がポイントとなる。

  • 基本を疎かにしない
     →誤った時に修正がききやすい
     →初心に帰る点でも良い
    決めたことを思い切ってやる
     →気持ちと決断が大事
     →選んだものに対して責任を持つ
     →決断に費やした時間や努力が安定剤になる
     →決断したことに対して揺るがない
     →選んだ以上は後悔しない、振り返らない
    変化は必須
     →でも留まりたい、守りたくなるもの
     →意識的に「変化」にベクトルを向ける
     →今決断すれば先延ばした後よりリスクが減る
    欠点の裏返しが一番の長所
    仕事の醍醐味は情熱を持続すること
    夢中で打ち込んだから上達した
     →低い階級から上がるごとにカードがもらえた
     →子供心にそれが嬉しかった
     →目に見える形での進歩が夢中に繋がった
    伸び悩んでいる時「本当に好きか試される」
    考え続けることができるのが才能

  • 本書の中で特に印象的だったフレーズを以下*に抜粋。
    最初は何事も真似ることが必要、その後、物事の表面を滑るだけではなく経験を通して本質を理解し、定着する知恵にさせていくことが大切、ということを改めて感じました。

    *知識は単に得ればよいというものではなく、知識を積み重ねていく過程で "知恵" に変える必要がある。
    *真似から理解へのステップは想像力を養う基礎力になる。

  • 教訓や生きてく上でのヒントが散りばめられてる。すぐ読めてしまうのでペースを落として読んだ。ただ、こういうのは実践しなきゃあんまし意味ないから、そこが注意点かなぁ(>_<)

  • <まとめ>

    ★例えば「1日何時間、研究する」と言う枠組みは決めないこと→決めてしまうと、それをこなすことに必死になってしまうから
    ★新しいものを入れるために必要のないものは「忘れる」
    ★時間制限があるからこそ目標に向かって集中できる
    ★新しい戦型は実践で試して1度も開けないとマスターできない
    ★自分自身を裏切らない努力の姿勢が未来の結果として現れてくる
    ★直感力とは物事の進むべき道すじを示す羅針盤のようなものである
    ★道の途中でもその時にしか感じることができないものもある
    ★仕事に行き詰まった時は整理整頓
    ★ごちゃごちゃ考えすぎずにシンプルな思考を心がける
    ★才能とは10年、20年と同じ姿勢で同じ情熱を傾けられる力のことである
    ★自分の調子の波を極力小さくして常にフラットに近いような状態にもっていく
    ★羽生善治の本質とは何か?
    →自分で決めたことを思い切ってやるところ。どんな時もためらわずに進んでいけるわけではないが、自分で決断したことに対しては絶対に揺るがないようにしている。

  • 将棋の一手一手、一局一局を指すために決断するということは、他の手を捨てるということ。
    人として、プロとして、社会人として、生き方にもつながる一冊。
    将棋に詳しくなくても読みやすいと感じた!

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著者プロフィール

1970年9月27日、埼玉県所沢市生まれ。1982年、関東奨励会に6級で入会。1985年12月、プロ四段に。1989年、19歳で竜王獲得。これが初タイトルとなる。以降、数々のタイトルを獲得。1996年には、当時の七大タイトル(竜王・名人・棋聖・王位・王座・棋王・王将)全冠独占の快挙を成し遂げる。2017年に、八大タイトル戦のうち永世称号の制度を設けている7タイトル戦すべてで資格を得る、史上初の「永世七冠」を達成した。タイトル獲得は通算99期、棋戦優勝45 回(ともに2022 年6月時点)。主な表彰として、2007 年特別将棋栄誉賞(通算1000 勝達成)、2018 年国民栄誉賞、同年紫綬褒章。さらに2022年、史上初の通算1500勝を達成し、特別将棋栄誉敢闘賞を受賞。将棋大賞は最優秀棋士賞など多数受賞。

「2022年 『改訂版 羽生善治のこども将棋入門 中盤の戦い方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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