黄金旋律 旅立ちの荒野 (PHP文芸文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569679907

作品紹介・あらすじ

事故に遭った臨が目覚めたのは廃墟のような世界。そこで変身する少年や言葉を話す猫、そして「敵」と出会い……。感動と興奮の冒険物語。

感想・レビュー・書評

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  • 本当の「異世界に放り込まれた現代の優秀な少年の物語」だと思った。児童書というより、YA! に近い印象。

    勉強もスポーツもできて人望も厚く、夢は医師という完璧な少年、臨。事情あって同居している同い年の従兄弟の優は、本が好きなだけで、あとはまるでダメ。その優がある日、臨に一冊の本を勧めてきた。「黄金旋律」という有名な本だった。そして物語はゆっくり進んでいく。

    副題の通り、臨が旅立つまでの話になっている(続くらしい)。
    しかしとにかく本の終盤まで重苦しく、読んでいて辛くなってしまった。何度も本を置いてしまった。気持ちが沈みやすい時期は読まないほうがいいかもしれない。
    終盤は伏線も拾われ、パズルがハマるような爽快さと展開があるので、読む方は最後まで読んでほしい。

  • 途中までは、主人公の臨くんを取り巻く環境や消えない後悔など苦しいことばかりで、読んでいるのがとても辛かったです。
    バッドエンドしか見えず、休みながら読んでました。

    でも後半にいくに連れて臨くんがとても成長し、後悔を消すために償いをするのではなく、後悔を生きる目的に変えていく姿を見て、とても感動しました。
    そして、彼ならどこへ旅に出ても大丈夫だと思えました。

    シリーズ1作目ということで、旅はまだまだ始まったばかり…これから臨くんがどんな出会いをして行くのか、先を読むのが楽しみです。
    2作目、早く出ないかなぁ…!!

  • 村上早紀さん「黄金旋律」読了。妙なリアリティを感じさせるファンタジー冒険物語。第1巻(旅立ちの荒野)。家族4人と猫アルトが過ごした楽しく幸せな日々。兄・律の事故により状況は一変。家族に暗い影を落とす。そんな中、医師を目指す臨(りん)の家に同居することになった従兄弟・優。彼は臨に誓う「約束するよ。いつかきっと、ぼくがきみを助ける」と。無理に明るく振る舞う臨は、疲れの中で不思議な夢を見るようになる。そして限界を迎えた時、思わぬ出来事が。。前半は読んでいて、なにかと辛い内容。後半からはワクワクする展開へ。夢に出てきた謎の人物との出逢い、これからの巡る街々とそこでの冒険譚を期待しながら1巻は終了。第2巻「赤い魔女」(仮)が非常に楽しみ♪

  • ジュブナイルで、SFファンタジー、というくくりになるのでしょうか。

    前半の、臨(主人公)の孤独感とか、一見幸せそうなのに歪みまくった家庭とか、胸が痛くなるような思いで読みました。

    子供を亡くすって、親にとっては一番あってはならない不幸だと思うけれど、実際にそうなったとき、親はどうしたら良いのか。。。と、臨の家庭を思うと、わからなくなる。亡くした律は律、臨は臨だと思う気持ちって、ちゃんとあったと思うんだけど、あの家では誰も律の呪縛からは逃れられなかった。

    親だって完璧じゃない。親だって弱い。それでも親はちゃんと臨のことを思っていた。

    そんなことを、何百年も経って、コールドスリープから目覚めたところでわかっても、いったい何になるっていうんだろう。もう、絶対に取り返しがつかないのに。

    臨のことを知る人、臨がコールドスリープに入っていることを知る人が生きている時代は、(臨にとっての)現代から続く平和で穏やかな世の中で、その先にとんでもない未来が待っていることなど誰も予測がつかなかった、、というならまだわかる。でも、世界は破滅へとつき進んでいるまっ最中だったのに。

    たったひとり、いったい何百年経ったかすらわからない世界で、何も知らずに目が覚めるって残酷だなあ。

    なのに、臨はそこから、自分のほかに誰も人類がいないかもしれない世界で、生き始める。

    作者にとっては、前半の「現代」は前置きで、そこから先の未来の世界こそが描きたかった部分なんだろうけれど、私はそこの切り替えに上手くのれなかった。

    未来世界だけを切り取れば、登場人物はみんな、重いものを背負いながらも前向きで、魅力的です。この1冊は、長い物語の序章部分にあたるのだそうで、絶望的な世界でも、人間は強い、そして優しい。そんな物語として続いていってくれたらなと思います。

  • たそがれ堂で、村山早紀先生デビューを飾った私としては、驚きのSF?設定で始まるこのシリーズ。どうも序章となるそうで、これから続刊が予定されているようです。
    最初は、律お兄さんの居なくなった家の、ギシギシと音を立てて歪んでいく音が聞こえてくるようで、もうほんとに辛くて、臨くんが可哀想で、読むのも苦しかったのですが、先生はそんな悲しいままで、終わらせる人ではありませんから。
    勿論、臨くんの目覚めの後、従兄弟の優くんの語る話には、涙涙で。
    実際には…どうなんでしょうね。
    きっと、こんなにうまい事いかない事の方が、ずっと多いと思います。
    正直、私がお母さんなら一緒に死にたいと思うし、お父さんも耐えられなくて、一家心中…だったかもしれない。
    でも、あぁ…だから、優くんという登場人物が必要だったのかな。彼が一人になるのは…二人にはそんな無責任な事は出来なかったかもしれないね。
    でも、それでも私には耐えられないと思う。臨くんのご両親は強いね。負けないくらい、強い人になりたいと思います。
    あのお母さんは、何も無かったフリをしてちゃいけなかったんだね、きっと。どうしたら、息子さんが喜んでくれるか、を考えて暮らせたら、ずっと良かった。
    でも、そんなの大人にだって、ほんとに難しいもの。きちんと感情を爆発させなきゃいけなかった。もっと早くにね。お父さんもそれを促してあげればよかった。きっと、あの写真を片付けてあげればよかったのね。
    あの時の臨くんが抱えるには、お母さんの毒は重すぎた。
    だからこそ、臨くんは、目覚めた今、家族や優くんが喜んでくれるような生き方をしようと、前を向いて歩き出したのかもしれない。強い子だなぁ。これから、彼に何が待ち受けているのか、ずっと追って見ていきたいと思います。

  • 最初はよくある異世界に
    迷いこんじゃうファンタジーかと
    思ったけれど、途中から
    SFになったので驚いた。

    胸が痛くなるほど辛い状況でも
    笑顔で頑張っていた主人公の少年、臨が
    コールドスリープした状態で
    未来で一人ぼっちになるのは
    また辛い展開だけれども
    そこには再生と希望が満ちている。

    前半暗い展開なだけに後半の
    ロボット看護婦ひまわりさんや
    くまのロボットテディには
    本当に救われる…

    シリーズの1巻なようなので
    続きが楽しみ。

  • 前半は、児童書にしておくにはあまりにヘビー。シリーズ物とは知らずに読んだため、盛り上がりきらない印象が強いのはもったいなかった。

  • 暗い前半にいったん読むのを放棄

    でも、気になって斜め読み

    途中から話が面白くなった

    前半も、新しい旅立ちの意味を

    鮮明にさせる為に必要だったんだろうけど

    暗すぎた

  • 泣いた泣いた。
    疾走感すごい。

  • 【あらすじ】
    「約束するよ。いつかきっと、ぼくがきみを助ける」優は、臨に誓うように言った。―医師をめざす少年・臨の家に同居することになった、弱気で引っ込み思案の従兄弟・優。しかし臨の家庭も、かつて事故で兄・律が亡くなったことが影を落としていた。それでも明るく振る舞う臨だったが、その限界を迎えた時、思わぬ出来事が…。少年たちの勇気と友情が、温かい感動とさわやかな興奮を誘う冒険物語、開幕。

    【感想】

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著者プロフィール

1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。著書に『シェーラ姫の冒険』(童心社)、『コンビニたそがれ堂』『百貨の魔法』(以上、ポプラ社)、『アカネヒメ物語』『花咲家の人々』『竜宮ホテル』(以上、徳間書店)、『桜風堂ものがたり』『星をつなぐ手』『かなりや荘浪漫』(以上、PHP研究所)、げみ氏との共著に『春の旅人』『トロイメライ』(以上、立東舎)、エッセイ『心にいつも猫をかかえて』(エクスナレッジ)などがある。

「2022年 『魔女たちは眠りを守る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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